2013 7.14 sun. - 7.16 tue.
KYLE EASTWOOD
artist KYLE EASTWOOD
原田和典のBloggin' BLUE NOTE TOKYO
テクニック、音楽性、ルックス、血筋。そのすべてに恵まれた男がカイル・イーストウッドです。名優/名監督クリント・イーストウッドを父親に持ち、カリフォルニアで才能を開花させ、現在はパリを拠点に活動しています。クリントが大のジャズ・ファンだったため、幼い頃からジャズに親しみ、よく親子で「モンタレー・ジャズ・フェスティヴァル」を見に行ったそうです。
今回は、ニュー・アルバム『ビュー・フロム・ヒア』を携えてのステージ。ベーシストには、いろんなバンドを渡り歩くひとも少なくないですが、カイルは自身のグループを率いて、自分の作編曲を演奏することに全力を注いでいます。彼にはリーダーとして、表現したいことが山のようにあるのでしょう。バンド・メンバーの顔ぶれにも殆ど変動がありません。カイルだけではなく、グループ全員がハンサムです。男前5人が一同に会して、親しみやすく、楽しいサウンドを繰り広げるのですから、盛り上らないわけがないのです。
1曲目は新作からの「From Rio To Havana」。カイルはエレクトリック・ベースを使って、和音をボサノバ風にかき鳴らします。軽やかなラテン・フュージョンといえばいいでしょうか。続いてはモロッコ滞在中に書き上げたという「Marrakech」。このあたり、コスモポリタン的なライフスタイルを持つカイルならではといえましょう。前半のルバート部分(楽曲の基本的テンポは崩さずに個々の音符の長さを変化させて演奏すること)は変形アコースティック・ベースを弓で弾き、後半のファンク風リズムのパートではエレクトリックに持ち替えます。アコースティックとエレクトリックを曲によって使い分けるのではなく、1曲の中で持ち替えるベーシストはとても珍しいのですが、カイルのプレイを聴いていると、「ここは絶対にアコースティック(エレクトリック)でなければいけない」という強いこだわりが感じられます。本編ラストの曲は「Une Nuit Au Senegal」。「セネガルの夜」という意味でしょうか。近年のカイルはアフリカに相当、深い関心を寄せているようです。途中、無伴奏ピアノ・ソロのパートを設けたり、サックスとトランペットが掛け合う場面を作るなど、趣向を凝らした編曲も見事でした。
新作を聴いてからライヴに行くのもよし、ライヴに行ってから新作を聴くのもよし。2013年のカイル・イーストウッドを、ぜひどうぞ。
(原田 2013 7.14)
2013 7.13 SUN.
1st & 2nd | |
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1. | FROM RIO TO HAVANA |
2. | MARRAKECH |
3. | BIG NOISE |
4. | LETTERS FROM IWO JIMA |
5. | LUXOR |
6. | UNE NUIT AU SENEGAL |
7. | BLOWIN' THE BLUES AWAY |