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DAVID MURRAY BIG BAND featuring MACY GRAY

artist DAVID MURRAY , MACY GRAY

REPORT

原田和典のBloggin' BLUE NOTE TOKYO


デヴィッド・マレイ・ビッグ・バンドが今、来日しています。しかもスペシャル・ゲストに現代屈指のR&Bディーヴァ、メイシー・グレイを迎えた公演です。すでにヨーロッパ・ツアーを大成功させている顔合わせとはいえ、まさか日本で聴けるとは思いませんでした。こんなに骨太でソウルフルなジャズをナマで味わうのは本当に久しぶりです。マレイの最新作『BE MY MONSTER LOVE』にもメイシーは参加していますが、それは小編成のバンドによる作品でした。しかし今回は16人のメンバーを従えて、メイシーが歌うのです。エキサイティングではないですか。

マレイはこれまで、ワールド・サキソフォン・カルテットやキップ・ハンラハンのプロジェクトでも登場してきました。しかし、リーダーとして「ブルーノート東京」のステージにあがるのはデイヴ・バレル(ピアノ)とのデュオ以来かもしれません。太く、大きいテナー・サックスの音色がクラブ中に充満したのを思い出します。それから20数年が経った現在も、相変らずパワフルなのが嬉しいですね。

ビッグ・バンドのメンバーも精鋭揃いです。サックス・セクションにはセネガル出身のアブドゥライエ・ンディアイエ、キューバ出身のロマン・フィリウがいて、トランペット・セクションにはデューク・エリントン・オーケストラでも活動したジェームズ・ゾラーがいます。故フレディ・ウェイツを父に持つナシート・ウェイツは、90年代からジャズ・シーンの最重要ドラマーのひとりでありつづけています。ギターのミンガス・マレイは、もちろんデヴィッド・マレイの息子。ぼくは90年頃、パルテノン多摩のジャズ・フェスでデヴィッドに抱っこされて登場した彼を見ています。あのときの坊やが、こんなにファンキーなギタリストに成長したのですから時の流れは速いものです。

いろんなリズムの絡み合いや、渦を巻くようなアンサンブルが登場したあと、最終的にはシャッフル・ブルースにまとまっていく「Stressology」のあと、「21世紀が誇る偉大なディーヴァ」というマレイのMCに導かれてメイシーが登場します。紫と赤を基調としたコスチューム、逆立てた髪の毛は、いつもよりさらに彼女を大きく見せているようです。歌のサポートであっても、ビッグ・バンドの音量は下がりません。「伴奏」ではなく、「対等」に歌に接しているのです。全力でプレイする楽器陣と、全力でシャウトするヴォーカルのぶつかりあいは、圧倒的というひとことに尽きました。その間に挟まれた、マレイ+メイシー+ジャリブ・シャヒド(ベース)によるバラード「Solitude」(デューク・エリントン作)も実に効果的でした。

ブルーノート東京では毎回、アーティストがプロデュースしたカクテルが用意されますが、マレイはそれを「Monster Love」と名づけました。彼いわく、「とんでもなくおいしいよ、ぜひ飲んでくれ」。皆さんも「Monster Love」を味わいつつ、熱いビッグ・バンド・サウンドに酔いしれてはいかがでしょうか?
(原田 2013 7.23)

SET LIST

2013 7.22 MON.
1st
1. STRESSOLOGY
2. RELATED TO A PSYCOPATH
3. NATURALLY
4. BE MY MONSTER LOVE
5. LET'S TALK ABOUT JESUS
6. (IN MY) SOLITUDE
7. ARMY OF THE FAITHFUL
8. RED CAR
2nd
1. STRESSOLOGY
2. BE MY MONSTER LOVE
3. EVERY NOW AND THEN
4. FRENCH KISS FOR VELERIE
5. (IN MY) SOLITUDE
6. WAKE UP
7. RED CAR
8. I TRY

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