2013 9.3tue. - 9.5thu.
BOB JAMES & DAVID SANBORN
featuring STEVE GADD & JAMES GENUS
artist BOB JAMES , DAVID SANBORN
原田和典のBloggin' BLUE NOTE TOKYO
ふたりの共演盤では、多くのファンが『ダブル・ヴィジョン』を思い浮かべることでしょう。グラミー賞にも輝いたベスト・セラーです。サンボーンは、こういいます。「続編を作ろうと思っているうちに、あっという間に26年が経ってしまった。その間、ボブもぼくも年輪を重ねた。今回のアルバムには、それぞれのmaturity(成熟)が反映されていると思う」。
そしてボブはいいました。「まったくのアコースティック、アンプラグドでいこうと思った。アコースティック・ピアノ、アルト・サックス、アコースティック・ベース、ドラムスという編成だね。これは往年のデイヴ・ブルーベック・カルテットと同じ組み合わせなんだ。私は大学時代、デイヴのプレイを研究した。このアルバムは彼に捧げようと思ったんだ。そうしたらレコーディングの途中、(ブルーベックの)訃報が届いた」。
ブルーベックはクラシック、現代音楽、民族音楽の要素をジャズに取り入れた第一人者です。晩年はオペラも作曲していました。クラシックのバックグラウンドを持つボブが共感したのもうなずけます。'50年代から'60年代にかけて、アルト・サックス奏者ポール・デスモンドとのコンビで人気を博しました。ブルーベックのミリオン・セラー「Take Five」は、デスモンドの作曲です。
ライヴはブルーベック的というか、現代音楽的なボブのイントロダクションから始まりました。彼のピアノにしても、サンボーンのサックスにしても、明らかに自分自身のバンドで演奏しているときとは違います。ここにあるのは、たんなる大物のセッションではなく、「カルテット・ヒューマン独特のサウンド」です。スティーヴ・ガッドのドラムスは音量を抑えに抑え、ソリストをそっと盛りたてます。アコースティック・カルテットではありながら、伝統的なジャズでもなく、いわゆるフュージョンとも肌ざわりが違うサウンドが流れます。
もちろん、プログラム途中では『ダブル・ヴィジョン』からのナンバーもいくつか披露。26年前には都会的なフュージョン・サウンドに彩られていた楽曲が、アコースティック編成で新鮮に蘇ります。そしてラストは'60年代に流行した「Comin' Home Baby」。超満員のファンからはごく自然に手拍子が飛び出し、約90分にわたるステージは大盛況のうちに幕を閉じました。
ボブ・ジェームス、デヴィッド・サンボーン、ジェームス・ジナス、スティーヴ・ガッド。この大物4人が近いうちに日本で揃うことが、果たしてあるかどうか。公演は5日まで。奇跡を目撃しましょう!
(原田 2013 9.3)
●STEVE GADD BAND
featuring MICHAEL LANDAU, LARRY GOLDINGS, JIMMY JOHNSON & WALT FOWLER
2013 10.10 thu. - 10.12 sat.
2013 9.3 TUE.
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