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CHUCHO VALDÉS & THE AFRO-CUBAN JAZZ MESSENGERS

artist CHUCHO VALDES

REPORT

原田和典のBloggin' BLUE NOTE TOKYO


チューチョ・ヴァルデス(バルデース)率いる注目のバンド、アフロ・キューバン・ジャズ・メッセンジャーズの日本初公演が今、行なわれています。

日本で最も愛されているキューバ人ミュージシャンのひとりといっても過言ではないチューチョ。毎年のように来日しては、様々なプロジェクトで楽しませてくれました。今回の公演のポイントは、チューチョの「ジャズ愛」、そして「パーカッションとの壮絶なせめぎあい」にあると、ぼくは感じました。そして、彼がキャリアの初期に残した歴史的名盤『Jazz Bata』を思い出しました。あの興奮が時空を超えて「ブルーノート東京」に蘇った印象を受けたのです。

ステージにあがったチューチョの姿を見る限り、以前よりも少しスリムになったようです。しかしそれでも、ピアノの椅子に座ると楽器がずいぶん小さく見えることに変わりありません。大きな手、太く長い指でソロ、ハーモニー、グリッサンド等を自由自在に駆使しながら、大海のようなチューチョ・ワールドに誘ってくれます。ビル・エヴァンスの「Waltz For Debby」をイントロに用いた米国のスタンダード・ナンバー「But Not For Me」から"チューチョの考えるジャズ"が炸裂します。パーカッションふたり+ドラムスひとりが生み出す分厚いリズムに、チューチョの雄大なピアノが溶け込んでいきます。

続く「Bebo」はこの3月、94歳で亡くなった偉大なピアニストでありチューチョの父であるベボ・ヴァルデスに捧げたオリジナル。どこかアントニオ・カルロス・ジョビンの「Lament」に似た美しいメロディを、チューチョはしっとりと奏でます。クラブの空気をクールダウンした後は、再び炎のアップ・テンポ曲「Las Dos Caras」です。乱舞するパーカッションを突き破るかのように響くピアノの豊かな音色、ファンキーそのもののベース・ライン・・・ぼくは何度もチューチョの実演を聴いていますが、なにしろクラシックの造詣も深い奏者だけにあまりにも格調が高すぎて、「まるでピアノ・コンチェルトを聴いているみたいだな」という気分になったことも一度や二度ではありません。しかし、このユニットにおけるチューチョはファンキーなストリート・ガイそのものです。

「Dos Caminos」ではパーカッション奏者のDreiser Durruthy Bombale(1977年生まれ)がヴォーカルで観客とコール&レスポンスを繰り広げるばかりか、超絶的なダンスまで披露。メンバーの持ち味をしっかりアピールしながら、肝心なところはビシッと締める。チューチョの持つ、ピアニスト/リーダーとしての魅力を満喫できるステージでした。ブルーノート東京での公演は29日まで続き、30日には昭和音楽大学・南校舎でも演奏します。
(原田 2013 11.28)


●モントルー・ジャズ・フェスティバル・ジャパン・イン・かわさき 2013
【神奈川 川崎】テアトロ・ジーリオ・ショウワ 昭和音楽大学・南校舎
CHUCHO VALDÉS & THE AFRO-CUBAN JAZZ MESSENGERS
opening act / Chihiro Hosokawa
2013 11.30 sat.
詳細はこちら

SET LIST

2013 11.27 WED.
1st
1. CONGADANZA
2. JULIAN
3. YANSA
4. AFRO-COMANCHE
5. CARIDAD AMARO
6. ABDEL
7. YORUBA FUNK
 
2nd
1. BUT NOT FOR ME
2. BEBO
3. LAS DOS CARAS
4. PILAR
5. ALL BLUES
6. AFRO-COMANCHE
7. YORUBA FUNK

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