2014 1.16 thu. - 1.18 sat.
ELLIS MARSALIS QUARTET
artist ELLIS MARSALIS
原田和典のBloggin' BLUE NOTE TOKYO
小曽根真とのデュオ・アルバム『ピュア・プレジャー・フォー・ザ・ピアノ』が大好評のエリス・マルサリスが、自身のユニットを率いて来日しています。何度も日本で演奏しているエリスですが、ぼくが覚えているのは「マウント・フジ・ジャズ祭」や「東京JAZZ」といった大フェスティヴァルに出演している姿です。しかし今回は待ちに待ったクラブ出演。あの美しい音色と格調高いピアノ・タッチが、手の届くような距離で味わえます。
彼が大黒柱を務めるマルサリス一家は、ジャズ界で最も有名なファミリーといっていいでしょう。そのスケールは、ポップス界のジャクソン・ファミリーに勝るとも劣らないはずです。ブランフォード、ウィントン、デルフィーヨ、ジェイソンら、エリスの息子たちはいずれもしっかり地位を築いています。なのですが、エリスはこう言います。「私は一度も英才教育を施したことはないし、ジャズ・ミュージシャンになってほしいと頼んだこともない。みんな、息子たち自身の意思だよ」。
しかしエリスの教育者、指導者としての手腕を疑う者はいないでしょう。今回、集まったメンバーも、彼の門下生ばかり。テナー・サックスとソプラノ・サックスのデレク・ドウゲットはニコラス・ペイトンやテレンス・ブランチャードとの共演歴も持っています。オーネット・コールマンやチャーリー・パーカーの演奏を聴いてジャズ・サックス奏者を志したとのことですが、高音を多用した滑らかなプレイにぼくはジョシュア・レッドマンとの共通点を感じました。ベースのジェイソン・スチュアートはビル・ハンティントンに奏法を師事し、エリスだけではなくジェイソンやデルフィーヨのバンドにも起用されています。ドラムスのジョセフ・ダイソンはハーリン・ライリーやアドニス・ローズに習い、ドナルド・ハリソン、ハリー・コニックJr.、エスペランサ・スポルディングらと共演を重ねてきました。ぼくが聴いた感じ、プレイは若い頃のロイ・ヘインズを彷彿とさせます。
ステージでは、キング・オリヴァーの「Dr.Jazz」やファッツ・ウォーラーの「The Jitterbug Waltz」などの古典、そしてスタンダード曲「On Green Dolphin Street」などが次々と演奏されました。ひとりの大ベテランと3人の若手が一体となって、くつろいだアコースティック・ジャズの世界を演出します。途中、故ジェイムズ・ブラック(ニューオリンズの伝説的ドラマー)やハロルド・バティースなど、エリスの盟友たちが書いたオリジナル曲が取り上げられたのも個人的にはとても嬉しかったです。公演はまだまだ続きます。ニューオリンズ産モダン・ジャズの暖かさを、心ゆくまで味わってください!
(原田 2014 1.16)
2014 1.16 THU.
1st | |
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1. | TWELVE'S IT |
2. | JITTERBUG WALTZ |
3. | LIMEHOUSE BLUES |
4. | Dr. JAZZ |
5. | ON GREEN DOLPHIN STREET |
6. | WHISTLE STOP |
7. | BEAUTIFUL OLD LADIES |
8. | BLOOMDIDO |
9. | OUTRO : LATER |
2nd | |
1. | SOFTLY, AS IN A MORNING SUNRISE |
2. | TELL ME A BEDTIME STORY |
3. | MOZART-IN' |
4. | MY FAVORITE THINGS |
5. | CREPUSCULE WITH NELLIE |
6. | MONK'S MOOD |
7. | EVIDENCE |
8. | DJANGO~LARON |
9. | OUTRO: LATER |