LIVE REPORTS

ARTIST ARCHIVES

MONTHLY ARCHIVE

VIDEO ARCHIVES


THE BRUBECK BROTHERS JAZZ QUARTET 
"TRIBUTE TO DAVE BRUBECK"

artist THE BRUBECK BROTHERS

REPORT

原田和典のBloggin' BLUE NOTE TOKYO


「アメリカ国民芸術文化勲章」、「グラミー賞特別功労賞」など数多くの栄誉に輝くピアニスト/作曲家のデイヴ・ブルーベック。20世紀アメリカを代表する音楽家のひとりといっていいでしょう。日本に4、5回来ているはずです。初来日公演は1964年、東京オリンピック開催の年に行なわれています。余談ですがオバマ大統領は幼少の頃、ハワイで初めて彼のライヴを聴き、すっかりジャズが好きになってしまったとのことです。

デイヴはジャズだけではなくサウンド・トラック、オペラ、ミュージカルなど幅広い分野に才能を発揮しましたが、同時に大の愛妻家でもあり、子沢山としても知られていました。今、来日している"ブルーベック・ブラザーズ・ジャズ・カルテット"は、エレクトリック・フレットレス・ベースとバス・トロンボーンを演奏するクリスと、その弟であるドラム奏者のダンが双頭リーダーをつとめています。ピアノ&キーボードのチャック・ラムにはベラ・フレックやジンジャー・ベイカー等との共演歴があり、ギターのマイク・デミコはガース・ハドスン、モーズ・アリスン、マイケル・フランクス等とセッションを重ねてきました。父デイヴのカルテットにはポール・デスモンド、ジェリー・マリガン、ビル・スミスなどのサックス/クラリネット奏者が去来しましたが、息子たちのグループは管楽器に替わってギターが活躍します。そこも特徴といえましょう。

ぼくが聴いたファースト・セットのレパートリーは、すべて父デイヴの十八番ばかりでした。5拍子のボサ・ノヴァ「Bossa Nova U.S.A.」に始まり、愛娘キャシー(息子たちにとっては、姉妹にあたります)に捧げた「Kathy's Waltz」が登場します。1959年、名盤『タイム・アウト』で発表された曲ですね。この曲、一部ではビートルズの「All My Loving」に影響を与えたのでは?ともいわれています。なるほど、とてもよく似たパートがあります。マイルス・デイヴィス、ビル・エヴァンスらもとりあげた「In Your Own Sweet Way」は、まずチャックのソロ・ピアノからスタート。つづいてクリスがトロンボーンでメロディを奏で、アドリブに突入します。いつの間にかギターとドラムスが入り、チャックはキーボードでベース・ラインを奏でます。プログレッシヴ・ロックにも影響を与えた「Blue Rondo à la Turk」をファンク風に聴かせたあとは、ミリオン・セラー曲「Take Five」で大団円。クインシー・ジョーンズ、ジョージ・ベンソン、アル・ジャロウなど無数のミュージシャンにもカヴァーされている人気ナンバーですね。デイヴ・ブルーベックの息子として音楽を続けていく以上、誰も永久にこの曲のリクエストから逃れることはできません。父デイヴの初演からちょうど55年、息子たちはさらにリズムを複雑かつタイトにして、今ならではの「Take Five」を創造していました。

本日と明日は「コットンクラブ」、31日には「モーション・ブルー・ヨコハマ」で公演が行なわれます。父デイヴのDNAを受け継ぐ男たちが演奏する「Take Five」は、格別です。
(原田 2014 1.29)

------------------
●THE BRUBECK BROTHERS JAZZ QUARTET 
"TRIBUTE TO DAVE BRUBECK"

コットンクラブ公演
2014 1.29wed.-1.30thu.
詳細はこちら

モーション・ブルー・ヨコハマ公演
2014 1.31fri.
詳細はこちら

SET LIST

2014 1.28 TUE.
1st
1. BOSSA NOVA U.S.A.
2. KATHY'S WALTZ
3. BLUES FOR NEWPORT
4. IN YOUR OWN SWEET WAY
5. BLUE RONDO A LA TURK
6. TAKE FIVE
 
2nd
1. MARIAN MCPARTLAND
2. DANCE OF THE SHADOWS
3. THE DUKE
4. KATHY'S WALTZ
5. JAZZANIANS
6. STRANGE MEADOWLARK
7. BLUE RONDO A LA TURK
8. TAKE FIVE

INDEX