2014 4.11 fri. - 4.14 mon.
GORDON GOODWIN'S BIG PHAT BAND
artist GORDON GOODWIN'S BIG PHAT BAND
原田和典のBloggin' BLUE NOTE TOKYO
祝、グラミー賞連続受賞!
ますます波に乗るビッグ・ファット・バンド(編曲指揮=ゴードン・グッドウィン)が今年もパワフルなステージを繰り広げています。高らかに駆け上がるトランペット・セクション、コクのあるハーモニーをこれでもかと聴かせるトロンボーン・セクション、超絶フレーズを一糸乱れぬアンサンブルで楽しませるサックス・セクション、それらをタイトにバックアップするリズム・セクション。しかも全員が大変なユーモアの持ち主です。最高峰のテクニシャンにしてエンターテイナーでもある彼らが、一丸となってビッグ・バンドの魅力を伝えてくれるのです。
ゴードンは英語のMCに加え、日本語でも挨拶。ファンキーな16ビートの「Hit The Ground Running」で場内を暖めた後は、5月に国内発売の新作『ライフ・イン・ザ・バブル』からのナンバーが続きます。「Garaje Gato」(ガラヘ・ガート)は、スペイン語でGarage Catという意味で、ゴードンが飼っている21歳の猫を題材にしたとのことです。むかし日本で流行した「コーヒー・ルンバ」風のメロディは、老若男女のファンに親しまれることでしょう。猫の曲なのに、サル・ロザーロのサックスがフィーチャーされているのも個人的には興味深いところでした。「Synolicks」はシャッフル・ブルースの雰囲気を取り入れたナンバー、そして「The Passage」はアルト・サックス奏者エリック・マリエンサルが大活躍するバラード。「彼は万能な奏者だけど、バラードが本当にいいんだ。そこをたっぷり味わってほしい」とゴードンはMCで語っておりました。
ここでスペシャル・ゲスト、オーストラリア出身のジェームズ・モリソンが登場します。ゴードンのMCを再録しましょう。「あるコンサートでジェームズを初めて聴いた。なんて素晴らしいトランペット奏者なんだと思ったよ。別のときに、とんでもないトロンボーン演奏に接した。よく見ると、この前トランペットを吹いていた彼じゃないか。驚いたね。しかも彼はサックスも、ピアノも、ギターも、ベースもプレイできるんだ。もちろん作曲の才能もある。さらに飛行機やレーシングカーも操れるんだよ」。
ぼくがモリソンの演奏を初めて聴いたのは80年代後半、『ポストカード・フロム・ダウン・アンダー』というレコードでした。2000年には故レイ・ブラウンと共に「ブルーノート東京」に出演していますね。とにかく"パーフェクト"の一言に尽きる奏者です。ブラス楽器のおいしさそのものと呼ぶべき豊かで輝かしい音色、自由自在に飛び出すハイノート、よく歌うアドリブ。「Blues And Dues」ではトランペットで、「I'm Getting Sentimental Over You」ではスーパーボーン(スライド、ヴァルヴ、バスの3つを併せもつトロンボーン)で、思わず口をあんぐりせずにはいられないプレイを聴かせてくれました。また「Blues~」ではゴードンが、オリヴァー・ネルソンを思わせるテナー・サックスの演奏も披露しました。
場内、割れんばかりの拍手です。「スペシャル・ゲストじゃなくて、バンドの正式メンバーになりたいな。オーディションを受けさせてくれないか」とモリソン。やがてビッグ・ファット・バンドのトランペット・セクションに紛れ込み、始まったのが同バンドの定番「Backrow Politics」。この5トランペットのド迫力、言っちゃ悪いですが録音物ではとうてい再現不可能だと思います。これを浴びるためだけにライヴに足を運んでもモトはとれるでしょう。
昨年末に来日したマリア・シュナイダー・オーケストラがニューヨークの雑踏だとすれば(もっとも、マリアはミネソタ出身ですが)、ゴードン・グッドウィンのサウンドにはカリフォルニアの太陽とハリウッドの華やぎがあります。両者の生演奏を味わうと、いかに現代のビッグ・バンド・ジャズ界がバラエティに富み、幅広いサウンドを追求しているかが、よりはっきりおわかりになるでしょう。公演は4月14日まで続きます。
(原田 2014 4.12)
2014 4.11 FRI.
1st | |
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1. | SHOW OPEN ~ WHY WE CAN'T HAVE NICE THINGS |
2. | LIFE IN THE BUBBLE |
3. | DOES THIS CHART MAKE ME LOOK PHAT? |
4. | RHAPSODY IN BLUE |
5. | BLUES AND DUES |
6. | BODY & SOUL |
7. | BACKROW POLITICS |
8. | CHEROKEE |
EC. | THE JAZZ POLICE |
2nd | |
1. | SHOW OPEN ~ HIT THE GROUND RUNNING |
2. | GARAJE GATO |
3. | SYNOLICKS |
4. | THE PASSAGE |
5. | BLUES AND DUES |
6. | I'M GETTING SENTIMENTAL OVER YOU |
7. | BACKROW POLITICS |
8. | CHEROKEE |
EC1. | THE JAZZ POLICE |
EC2. | THE CANNONBALL RUN |