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DEE DEE BRIDGEWATER featuring THEO CROKER

artist DEE DEE BRIDGEWATER , THEO CROKER

REPORT

原田和典のBloggin' BLUE NOTE TOKYO


驚くべきダイナミクス(緩急)、尽きることのないイマジネーション、観客の視線を捉えて離さないアクション(動き)の数々、そして圧倒的な声量。'70年代から第一線で活動しているディー・ディー・ブリッジウォーターですが、今の彼女は、円熟というよりは更に更にパワーアップして、とんでもない高みに達しているようです。昨日のセカンド・セットも乗りに乗って1曲あたりの時間がどんどん長くなり、結果、2時間に及ぶパフォーマンスが繰り広げられました。なんというパワー、スタミナでしょう。これからディー・ディーのライヴに足を運ぶ方は、ぜひ早めに会場に向かい、飲食をたっぷりとった後に(彼女が考案したカクテルもあります)、ド迫力のライヴを楽しむことをお勧めいたします。オーディエンスと一体となって盛り上げていくパフォーマンスは、どんなリスナーにも確かな手ごたえを与えてくれるはずです。

わりと最近までディー・ディーは、伝説の歌手であるビリー・ホリデイを題材にしたミュージカルで主役を演じていました。オープニングはそこから、「A Foggy Day」(ジョージ・ガーシュウィン作)。しかし彼女の歌はビリーに敬意を表しながらも、"ディー・ディー節"そのものです。ワン・コーラス目から大きくメロディを崩し、2コーラス目からは怒涛のスキャットに。ドラマーと向かい合いながら、まるでバトルをしているかのようにスキャット・フレーズを次から次へと繰り出します。メンバーのソロ・スペースもたっぷり与えられていて、誰もが実力を存分に発揮します。今回、フィーチャリング・メンバーとして名前が記載されているトランペット走者のテオ・クロッカーは、ディー・ディーが大変に高く評価する逸材(彼の最新作のプロデュースも手がけています)。テオは曲によってエフェクターも使い、「Blue Monk」ではなんとも幻想的な音色を生み出して客席を盛りあげていました。

後半ではスティーヴィー・ワンダーの「Living For The City」や、'40~'50年代のR&B系ビッグ・バンドの雄であるバディ・ジョンソンの「Save Your Love For Me」なども登場。これらもすべてディー・ディーは彼女独自の解釈で届けます。そしてさらに、"この曲は'60年代に作られたプロテスト・ソングだけど、その役割は終わっていない。悲しいことに"という前置きについで「Compared To What」が歌われました。ユージーン・マクダニエルズが書き、レス・マッキャン、ロバータ・フラック、レイ・チャールズ、最近ではジョン・レジェンド&ザ・ルーツがとりあげていましたが、高らかに声を張り上げ、歌詞を誇り高く表現するディー・ディーの解釈も絶品でした。

公演は4日まで続きます。今夜はいったい、どんなパフォーマンスで魅了してくれるのでしょうか。
(原田 2014 5.3)

SET LIST

2014 5.2 FRI.
1st
1. AFRO BLUE
2. BLUE MONK
3. SAVE YOUR LOVE FOR ME
4. I CAN'T HELP IT
5. ONE FINE THING
6. LIVIN' FOR THE CITY
7. THE MUSIC IS THE MAGIC
 
2nd
1. A FOGGY DAY
2. BLUE MONK
3. THE MUSIC IS THE MAGIC
4. GOOD MORNING HEARTACHE
5. ONE FINE THING
6. LIVIN' FOR THE CITY
7. SAVE YOUR LOVE FOR ME
8. I CAN'T HELP IT
9. COMPARED TO WHAT

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