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LOU DONALDSON QUARTET

artist LOU DONALDSON

REPORT

原田和典のBloggin' BLUE NOTE TOKYO


先日、ワシントンDCで行なわれたブルーノート・レコード創立75周年コンサートでも、ひときわ大きな声援を浴びていたルー・ドナルドソン。その好調を維持しながら、今、待望の日本公演を行なっています。2年前の公演では曲によっては演奏に参加しないこともありましたが、ぼくが見た初日のファースト・セットでは全曲にわたってアルト・サックスを吹きまくり、歌やダジャレにも磨きがかかっていて、元気倍増という印象を受けました。1926年生まれですから、今年で88歳。世界一ファンキーな「米寿」なのではないか、と思います。

オープニングは「Blues Walk」。ドナルドソンは、もう何千回とこの曲を演奏してきたはずです。MCでは「私のテーマ・ソングなんだ」と申しておりました。いつものようにネクタイとスーツでビシッと決め、年季の入ったアルト・サックスから親しみやすく、飛び切り楽しいアドリブ・フレーズを放ちます。途中、ブレイク(他のメンバーが演奏を休む場面)を含みながらの、堂々たる快演です。

「今日はストレート・アヘッド・ジャズだけをお届けします。ビ・バップとスイングを、存分に楽しんでください」という語りに続いて現われたのは、チャーリー・パーカーの演奏で知られる「Wee」。飛ぶようなアップ・テンポに乗って、ドナルドソンは今できる技の限りを表現します。パーカーは34歳で亡くなりました、ということは、ドナルドソンは彼の2.5倍以上の長さを生きているわけですね。

「ジャズ界で最も偉大なミュージシャンへのオマージュだ」といって始まったのは、ルイ・アームストロングの名唱で知られる「What A Wonderful World」。ベトナム戦争への反対をこめて書かれた曲を、いま、聴くのは実に意義のあることだと思います。エンディングではルイの声真似を聴かせるサービスも。ドナルドソンと30年以上の交友を誇る田井中福司は「Fast And Freaky」(スタンダード曲「Fine And Dandy」のコード進行に基づく)で絶妙な"歌うドラミング"を披露し、オルガンの敦賀明子も「Bye Bye Blackbird」を筆頭に、暖かな音色、よく歌うソロ、そして体が揺れてくるようなベース・ラインで楽しませてくれました。

聴き終えた後、「やっぱりジャズっていいなあ」と言わずにはいられない、極上の一夜を味わいました。公演は25日まで続きます。
(原田 2014 5.23)

SET LIST

2014 5.23 FRI.
1st
1. BLUES WALK
2. WEE
3. WHAT A WONDERFUL WORLD
4. FAST AND FREAKY
5. WHISKY DRINKIN' WOMAN
6. ALLIGATOR BOGALOO
7. BYE BYE BLACKBIRD
EC. THE BEST THINGS IN LIFE ARE FREE
 
2nd
1. BLUES WALK
2. WEE
3. WHAT A WONDERFUL WORLD
4. FAST AND FREAKY
5. WHISKY DRINKIN' WOMAN
6. ALLIGATOR BOGALOO
7. THERE WILL NEVER BE ANOTHER YOU
8. GRAVY TRAIN

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