2014 6.24 tue. - 6.27 fri.
LISA ONO "BRASIL" with special guest MARIO ADNET
artist MARIO ADNET , 小野リサ
原田和典のBloggin' BLUE NOTE TOKYO
原点回帰というべき最新作『Brasil』を発表したばかりの小野リサが、ワールドカップ熱の盛りあがるこの時期、ハートウォーミングなパフォーマンスを届けてくれています。スペシャル・ゲストは彼女の盟友にして、素晴らしく小粋なシンガー/ギタリスト/プロデューサーのマリオ・アジネー。超満員のクラブは開演を待つ期待ゆえか少しざわついていましたが、メンバーが登場し、1曲目「Garota De Ipanema」(イパネマの娘)のワン・フレーズを奏で終わる頃にはオーディエンスの誰もがゆったりとリラックスし、ニコニコしながら小野リサの歌声に耳を傾けています。「クラブ内に、ブラジルの微風が吹いているのではないか」。そう思わずにはいられない気持ちよさです。
マリオは3曲目のエドゥ・ロボ作「Upa Neguinho」から登場します。それまで椅子に座ってギターを弾いていた小野リサは立ってマイクを持ち、その向かって左側でマリオが豊かな歌声とアコースティック・ギターを響かせます。ジョルジ・ベン作「Mas Que Nada」はセルジオ・メンデス&ブラジル'66がカヴァーしたことで世界中に広まりましたが、マリオはジョルジのオリジナル・ヴァージョンを参考に新しいアレンジを完成させました。ホーン・セクションをフィーチャーした、ちょっとブルース調の響きが、この名曲から新たな魅力を引き出しました。ドリ・カイミ作「O Cantador」、ジョアン・ジルベルトの数少ない自作曲のひとつである「Bim Bom」、「祈り」という邦題もあるエドゥ・ロボ作「Reza」、ジルベルト・ジル作「Roda」など不滅のブラジリアン・ソングブックが、マリオと小野リサのハーモニー、ユニゾン、掛け合いによって次々と蘇ります。「O Cantador」の前に、マリオはこういいました。"この曲は60年代に作られたものだけど、全然古くない。いまでも驚くほどフレッシュだ"。それはこの日プレイされた、すべてのレパートリーに通じることだと思います。マリオの書き下ろし「Fred Astaire do Samba」も無類の楽しさでした。
メンバーの全員が最善のプレイをしていたことも、ライヴ成功の要因だったといえましょう。マリオの弟であるシコ・アジネー(ピアノ)、グスターボ・アナクレート・ダ・シルヴァ(サックス、フルート)らブラジル陣はもちろん、キューバ出身のルイス・バジェは切れ味鋭いトランペットとまろやかなフリューゲルホーンを巧みに持ち替えて名手ぶりを発揮します。ベースはニューヨーク生まれのクリス・シルヴァースタインが担当し、日本からは山口新語(ドラムス)、池田雅明(トロンボーン)が参加。国籍を超えて人々を結びつけるボサ・ノヴァの魅力を、とことん堪能した1日でした。公演は27日まで続きます。
(原田 2014 6.25)
2014 6.24 TUE.
1st & 2nd | |
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1. | GAROTA DE IPANEMA |
2. | DOMINGO DE VERAO |
3. | UPA NEGUINHO |
4. | EU QUERO UM SAMBA |
5. | MAS QUE NADA |
6. | TIM DOM DOM |
7. | LAPINHA |
8. | O CANTADOR |
9. | BIM BOM |
10. | REZA |
11. | SA MARINA |
12. | BOSSA NA PRAIA |
13. | CHOVE CHUVA |
14. | RODA |
EC. | FRED ASTAIRE DO SAMBA |