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SATORU SHIONOYA TRIO "LIVE 2014"

artist SATORU SHIONOYA

REPORT

原田和典のBloggin' BLUE NOTE TOKYO


あっという間に8月です。今月最初の2日間は、塩谷哲トリオによる公演が行なわれています。塩谷(ピアノ)、井上陽介(ベース)、山木秀夫(ドラムス)という、超売れっ子の凄腕ばかりで構成されたオールスター・レギュラー・ユニットです。塩谷は上妻宏光とのデュオ"AGA-SHIO"で、井上と山木は"ブルーノート東京オールスター・ジャズ・オーケストラ・ ディレクテッド・バイ・エリック・ミヤシロ"のリズム・セクションとしてヨーロッパで演奏してきたばかり。世界を舞台に活動する3人ならではの、自由奔放で飛び切り楽しいトリオ・ミュージックを満喫することができました。

オープニングは、ギタリストの鳥山雄司のセッションのために塩谷が書いた軽快なナンバー。タイトルは「GINZA」(仮)、まだレコーディングしていない出来たての楽曲です。「メンバーが3人しかいないことをフルに味わいながら演奏したい」というMCのあと、飛び出したのはスティーヴィー・ワンダーの名曲「Superstition」。アルバム『Arrow of Time』に収録ずみとはいえ、スティーヴィーがエレクトリック・キーボード(クラヴィネット)を弾きながら歌っていた曲を、アコースティック・ピアノ・トリオ用の楽曲にリメイクしてしまうのですから、これはやはり大変な驚きです。井上陽介の超速弾きベースもフィーチャーされました。右手の親指でネックを押さえることをせず、ほかの指を浮かせるようにして、楽器をほぼ垂直に立てながら目まぐるしいソロを聴かせます。

続いてはふたたび新曲の「Delicious Breeze」。ちょっと「酒とバラの日々」を思わせるスウィンギーなナンバーで、レコーディングされたらアルバム随一の人気レパートリーになるのではないでしょうか。続いては、塩谷の大学の先輩である坂本龍一のオリジナル曲から「The Seed And The Sower」。まだ中学生か高校生の頃に聴いて、大きなインパクトを受けたという『戦場のメリークリスマス』のサウンドトラックからのナンバーです。あの有名なテーマ・ソングではなく、こうした渋目のナンバーを極上のジャズにして聴かせるのも、このトリオのいいところ。井上の弓弾き、山木のマレットを用いたプレイも絶品でした。

塩谷のライヴといえば、素敵な演奏と共に爆笑MCがたっぷり楽しめるのも特徴です。この日もユーモアとウィットに富んだトークで、オーディエンスをガンガン沸かせていました。こんなに面白いひとが一度鍵盤に向かうと、切なさたっぷりのバラードで観客から溜息を引き出すのですから、本当にアーティストって奥が深い。このライヴのために持ち込んだヤマハの新型アコースティック・ピアノも、実にコクのある音を出していました。
(原田 2014 8.2)

SET LIST

2014 8.1 FRI.
1st
1. GINZA(仮)
2. SUPERSTITION
3. DELICIOUS BREEZE
4. THE SEED AND THE SOWER
5. LOS TOREROS
6. HEAT OF MIND
EC. SPIRITUAL
 
2nd
1. GINZA(仮)
2. SUPERSTITION
3. DELICIOUS BREEZE
4. THE SEED AND THE SOWER
5. SPIRITUAL
6. HEAT OF MIND
EC1. PATIO
EC2. FLYING SHOES

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