2014 9.4 thu.
HERBIE HANCOCK -One Night Premium Live-
artist HERBIE HANCOCK , VINNIE COLAIUTA
原田和典のBloggin' BLUE NOTE TOKYO
ピアニスト、そしてユネスコ親善大使として多忙を極めるハービー・ハンコックが、約13年ぶりに「ブルーノート東京」に登場しました。近年の彼はライヴ活動のほとんどをコンサート・ホールやフェスティバルに限定しているので、クラブへの出演は世界的にも貴重なものといえましょう。メンバーはジェームス・ジナス(エレクトリック・ベース)、ヴィニー・カリウタ(ドラムス)、そしてハービーの秘蔵っ子といっても過言ではない西アフリカ出身のリオーネル・ルエケ(ギター)です。
オープニングの「Actual Proof」から、ハービーはアコースティック・ピアノとシンセサイザーの両方で華麗なプレイを繰り広げます。続く「Watermelon Man」はルエケ作「Seven Teens」(4分の17拍子だそうです)とミックスして演奏されます。「Watermelon Man」のアレンジ自体は、'73年の大ヒット作『ヘッド・ハンターズ』のそれ(ハーヴィー・メイソンが編曲した)を使っていました。エフェクターを用いてギターのような音で弾きまくるジナス、逆にギターらしい音を排除するかのように魔可不思議な響きを出すルエケの対比が印象に残りました。またハービーは「Come Running To Me」でヴォコーダーによる歌唱も聴かせてくれました。
途中ではルエケのソロ・コーナーも登場。いわゆる"クリック音"(吸着音と呼ばれる、欧米やアジアにはない発音の仕方。アフリカ南部のコイサン語族およびそれと接触したズールー語、コサ語など一部のバンツー語で使われるらしい)を用いたヴォイス・パフォーマンスで観客を沸かせます。そして、流れるように「Speak Like A Child」や「Cantaloupe Island」へ。観客の反応もさらに高まりますが、もちろん過去のレコードに入っているアレンジとは別物です。ワン・コードでうねるリズム隊の上でハービーが奔放なソロを繰り広げ、そこにルエケが効果音的な役割で絡むといえばいいでしょうか。一度メンバーが下がったあと、どこからともなくターンテーブルの音が聴こえてきます。ハービーがショルダー・シンセサイザーに持ち替えるやいなや、「Rockit」が始まりました。そしてノンストップで「Chameleon」へ。ベスト・オブ・ハービーと呼ぶにふさわしい2時間でした。
改めて「ハービーって、こんなにたくさんの有名曲を作ってきたのか」と驚き、そのひと本人が健在なことに喜び、プレイを至近距離で見ることができるクラブ公演のありがたみに酔いしれました。会場を埋め尽くしたどのオーディエンスにとっても、当公演はかけがえのないものになったことでしょう。
(原田 2014 9.5)
2014 9.4 THU.
1st | |
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1. | ACTUAL PROOF |
2. | SEVENTEEN ~ WATERMELON MAN |
3. | COME RUNNING TO ME |
4. | LIONEL SOLO |
5. | HERBIE SOLO |
6. | SPEAK LIKE A CHILD |
7. | CANTALOUPE ISLAND ~ FLYING ~ CANTALOUPE ISLAND |
EC1. | ROCK IT |
EC2. | CHAMELEON |