LIVE REPORTS

ARTIST ARCHIVES

MONTHLY ARCHIVE

VIDEO ARCHIVES


TERRI LYNE CARRINGTON featuring LIZZ WRIGHT @Blue Note Tokyo

artist LIZZ WRIGHT , TERRI LYNE CARRINGTON

VIDEO

REPORT

原田和典のBloggin' BLUE NOTE TOKYO


最高峰の実力を持つドラマー、テリ・リン・キャリントンが、グラミー賞のベスト・ジャズ・インストゥルメンタル・アルバム賞受賞作品『Money Jungle: Provocative In Blue』を携えて来日中です。ちなみにこのアルバムはデューク・エリントン、チャールズ・ミンガス、マックス・ローチが1962年に吹き込んだ『Money Jungle』(以下エリントン盤)へのオマージュです。

パフォーマンスは、まずインストゥルメンタルから始まりました。テリ・リンの縦横無尽なドラム・プレイが、他のメンバーを煽ります。ジョシュア・レッドマンやダイアン・リーヴスとの共演でも知られるピーター・マーティン(ピアノ、フェンダー・ローズ)、ビヨンセやエスペランサ・スポルディングのバンドでも活動しているティア・フラー(アルト・サックス、ソプラノ・サックス、フルート)、『Money Jungle: Provocative In Blue』でも重要な役割を果たしていたザック・ブラウン(ベース)、誰もがテリ・リンとの共演を楽しんでいます。演目は「Money Jungle」、「Fleurette Africain」、「A Little Max (Parfait)」の順。「A Little Max (Parfait)」はエリントン盤が初CD化されたときに初公開された曲なので、テリ・リンは『Money Jungle』のアナログ盤ではなくCDのほうを聴いてオマージュを捧げようと思ったのでしょう。「Money Jungle」はどこかレッド・ツェッペリンの「移民の歌」を思わせるリズム・パターンが使われ、エリントン盤では短調のブルース・コードであったはずの「Fleurette Africain」も、やけにカラフルな和音を使ってプレイされます。「A Little Max (Parfait)」は、まるでウェザー・リポート時代のウェイン・ショーターが書いたような曲調に衣替えされていました。カヴァーというよりも、リクリエイション(再創造)。編曲も含めた、こうした演奏姿勢が、グラミー賞の獲得につながったのでしょう。

中盤からはお待ちかね、歌姫リズ・ライトが登場します。『Money Jungle: Provocative In Blue』でフィーチャーされていたのはもちろん、近作『Fellowship』も大好評の彼女ですが、「ブルーノート東京」に登場するのは本当に久しぶりです。「Nature Boy」から始まり、フローラ・プリンの代表曲である「Open Your Eyes」などバラエティに富んだナンバーをリズならではの節回しで歌いこみます。ドラムスの繊細なサポートに乗って、気持ちよさそうに歌う彼女の声を聴いていると、テリ・リンがMCで言った「我々の世代の最高のヴォーカリストのひとり」という紹介にまったく誇張のないことがわかります。

14日までブルーノート東京に出演後、16日にはコットン・クラブでも公演するテリ・リンとリズ。ふたりのしなやかなコンビネーションを、ぜひお楽しみください!
(原田 2014 9.13)

------------------
●TERRI LYNE CARRINGTON featuring LIZZ WRIGHT

2014 9.16tue. @コットンクラブ
詳細はこちら

SET LIST

2014 9.13 SAT.
1st
1. MONEY JUNGLE
2. FLEURETTE AFRICAIN
3. A LITTLE MAX
4. NATURE BOY
5. OPEN YOUR EYES,YOU CAN FLY
6. SIMPLY BEAUTIFUL
7. BACKWARD COUNTRY BOY BLUES
8. UNCONDITIONAL LOVE
9. GRASS ROOTS
 
2nd
1. MONEY JUNGLE
2. FLUERETTE AFRICAIN
3. LITTLE MAX
4. OPEN YOUR EYES
5. COME SUNDAY
6. SHOW ME A SIGN
7. UNCONDITIONAL LOVE
8. GRASS ROOTS
EC. NATURE BOY

INDEX