9.13sat.-9.14sun. @ブルーノート東京 / 9.16tue. @コットンクラブ
TERRI LYNE CARRINGTON featuring LIZZ WRIGHT @Blue Note Tokyo
artist LIZZ WRIGHT , TERRI LYNE CARRINGTON
原田和典のBloggin' BLUE NOTE TOKYO
最高峰の実力を持つドラマー、テリ・リン・キャリントンが、グラミー賞のベスト・ジャズ・インストゥルメンタル・アルバム賞受賞作品『Money Jungle: Provocative In Blue』を携えて来日中です。ちなみにこのアルバムはデューク・エリントン、チャールズ・ミンガス、マックス・ローチが1962年に吹き込んだ『Money Jungle』(以下エリントン盤)へのオマージュです。
パフォーマンスは、まずインストゥルメンタルから始まりました。テリ・リンの縦横無尽なドラム・プレイが、他のメンバーを煽ります。ジョシュア・レッドマンやダイアン・リーヴスとの共演でも知られるピーター・マーティン(ピアノ、フェンダー・ローズ)、ビヨンセやエスペランサ・スポルディングのバンドでも活動しているティア・フラー(アルト・サックス、ソプラノ・サックス、フルート)、『Money Jungle: Provocative In Blue』でも重要な役割を果たしていたザック・ブラウン(ベース)、誰もがテリ・リンとの共演を楽しんでいます。演目は「Money Jungle」、「Fleurette Africain」、「A Little Max (Parfait)」の順。「A Little Max (Parfait)」はエリントン盤が初CD化されたときに初公開された曲なので、テリ・リンは『Money Jungle』のアナログ盤ではなくCDのほうを聴いてオマージュを捧げようと思ったのでしょう。「Money Jungle」はどこかレッド・ツェッペリンの「移民の歌」を思わせるリズム・パターンが使われ、エリントン盤では短調のブルース・コードであったはずの「Fleurette Africain」も、やけにカラフルな和音を使ってプレイされます。「A Little Max (Parfait)」は、まるでウェザー・リポート時代のウェイン・ショーターが書いたような曲調に衣替えされていました。カヴァーというよりも、リクリエイション(再創造)。編曲も含めた、こうした演奏姿勢が、グラミー賞の獲得につながったのでしょう。
中盤からはお待ちかね、歌姫リズ・ライトが登場します。『Money Jungle: Provocative In Blue』でフィーチャーされていたのはもちろん、近作『Fellowship』も大好評の彼女ですが、「ブルーノート東京」に登場するのは本当に久しぶりです。「Nature Boy」から始まり、フローラ・プリンの代表曲である「Open Your Eyes」などバラエティに富んだナンバーをリズならではの節回しで歌いこみます。ドラムスの繊細なサポートに乗って、気持ちよさそうに歌う彼女の声を聴いていると、テリ・リンがMCで言った「我々の世代の最高のヴォーカリストのひとり」という紹介にまったく誇張のないことがわかります。
14日までブルーノート東京に出演後、16日にはコットン・クラブでも公演するテリ・リンとリズ。ふたりのしなやかなコンビネーションを、ぜひお楽しみください!
(原田 2014 9.13)
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●TERRI LYNE CARRINGTON featuring LIZZ WRIGHT
2014 9.13 SAT.
1st | |
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1. | MONEY JUNGLE |
2. | FLEURETTE AFRICAIN |
3. | A LITTLE MAX |
4. | NATURE BOY |
5. | OPEN YOUR EYES,YOU CAN FLY |
6. | SIMPLY BEAUTIFUL |
7. | BACKWARD COUNTRY BOY BLUES |
8. | UNCONDITIONAL LOVE |
9. | GRASS ROOTS |
2nd | |
1. | MONEY JUNGLE |
2. | FLUERETTE AFRICAIN |
3. | LITTLE MAX |
4. | OPEN YOUR EYES |
5. | COME SUNDAY |
6. | SHOW ME A SIGN |
7. | UNCONDITIONAL LOVE |
8. | GRASS ROOTS |
EC. | NATURE BOY |