2014 10.31 fri. - 11.2 sun.
THE GOASTT featuring Sean Lennon & Charlotte Kemp Muhl
artist
原田和典のBloggin' BLUE NOTE TOKYO
ショーン・レノンとシャーロット・ケンプ・ミュールのユニット、ザ・ゴースト(ザ・ゴースト・オブ・ア・セイバー・トゥース・タイガー)が待望の初来日を果たしました。ショーンは黒いマント(ケープ)を身に着けての登場、ファッション・モデルとしても活躍するシャーロットは赤い髪の毛、赤い上着、穴のあいたストッキングで存在感をふりまきます。ショーンのマイクの前には虎の頭部のぬいぐるみが飾られ(ずっと緑のライトを浴びていました)、パフォーマンス中は後部のスクリーンに幻想的な映像がずっと写されています。ドラムスのティモシー・キュールとギターのロバート・マンガノは骨格がプリントされた上着を着ています。演目は最新作『ミッドナイト・サン』からのものが中心。ショーンのソングライティングはポップでありながら、どこか奇妙にねじれていて、スクリーンの映像とあいまって、まるでだまし絵を見ているような気分にさせてくれました。
ループやディレイを駆使した自由奔放なギター・ソロも聴きごたえたっぷり。"リフ"を大切にしながら、曲を仕上げているところにも好感が持てます。シャーロットのけだるい歌声、堅実なベース・プレイもユニットの大きな魅力。ちょっとしたアイコンタクトからも、ふたりの互いに寄せる信頼が感じられました。まだアルバム化されていない新曲「Great Expectations」をいち早く聴かせてくれたのも嬉しかったですし(「名古屋ブルーノート」公演につづいて2回目のパフォーマンスだったそうです)、最新作に入っているヴィクター・ヤング作のポピュラー・ソング「Golden Earrings」のカヴァーも、生で味わうと感興ひとしおです。「日本の友人はこの曲を"演歌みたいだね"と言うんだけど、僕にはよくわからない。これはアメリカン・ジプシーの曲なんだよね」というMCに、客席も湧きます。
父親ジョン・レノンゆかりの曲に頼らないところにも、大きな拍手を送りたくなります。「彼は彼、俺は俺」ということなのでしょう。あまりにも有名なカリスマ、スーパースター(しかもドラマティックな最期をとげた)を親に持つということが、どれだけ大変なことなのか、正直いって想像がつきません。しかしショーンはほかに替えの利かない素晴らしい個性派であるということを、ぼくはこのライヴで改めて認識しました。ちなみにルックスという点では、キーボード奏者のジャレッド・エリオセフも、エルトン・ジョンと組んでいた頃のジョンにとても似ているように思いました。公演は2日まで。2010年代のサイケデリック・ロックが、ここにあります。
(原田 2014 10.31)
2014 10.31 FRI.
1st & 2nd | 1. | TOO DEEP |
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2. | XANADU |
3. | ANIMALS |
4. | MIDNIGHT SUN |
5. | CAROTTE BLEU |
6. | JARDIN DU LUX |
7. | GOLDEN EARRINGS |
8. | JOHANNESBURG |
9. | POOR PAUL GETTY |
10. | GREAT EXPECTATIONS |
11. | RAINBOWS IN GASOLINE |
12. | LAST CALL |
13. | DEVIL YOU KNOW |
14. | MOTH TO A FLAME |
15. | WORLD WAS MADE FOR MEN |
EC1. | LONG GONE |