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DAVID SANBORN GROUP

artist DAVID SANBORN

REPORT

原田和典のBloggin' BLUE NOTE TOKYO


"ワン・アンド・オンリー"という言葉が、これほどふさわしいアーティストも数少ないでしょう。デヴィッド・サンボーン、堂々の登場です。今回もあの、力強く鋭く美しい音色をクラブに充満させています。

バック・メンバーはリッキー・ピーターソン、ニック・モロック、リチャード・パターソン、ジーン・レイクという不動の面々。彼らがファンキーなイントロを奏でる中、ヴィンテージもののサックスを持ったサンボーンが登場します。

曲は「Comin' Home Baby」。1960年にベース奏者ベン・タッカーが作曲し、ハービー・マンやメル・トーメの演唱でヒットしたブルース調のナンバーです。サンボーンのアドリブは、まさに泉のよう。ポール・バターフィールド・ブルース・バンドへの参加やB.B.キングとの共演等で培ってきた"サンボーン流ブルース"の真骨頂に触れた思いです。続く「Brother Ray」は、レイ・チャールズに捧げた近年の代表的レパートリー。サンボーンは少年時代、レイのバンドでサックスを吹いていたハンク・クロフォードとデヴィッド・ニューマンに大きな影響を受けたそうです。"ホンカー"(R&B系のサックス奏者)のようにブロウするサンボーンに、会場のボルテージは上昇するいっぽうです。

続いてはフュージョン全盛期のナンバーが続きます。「Maputo」、「Camel Island」、「Chicago Song」、「Run For Cover」と書いていくだけで、懐かしい気分になる方もいらっしゃるでしょう。しかしそれぞれ、タイトルのラストに"2014"と付け加えたくなるほど、ファンキーでディープな演奏でした。サンボーンのアドリブ・フレーズは往年と確実に変化していますし(個人的にはビ・バップに近づいているように感じました)、リッキー・ピーターソンはオルガン、フルート、ヴィブラフォンなどさまざまな音色をキーボードから出して演奏に彩りを加えます。加えて彼はヴォーカル(スキャット)でも魅力を発揮しました。リッキーの歌声とサンボーンのサックスの絡みもまた、現サンボーン・バンドの魅力のひとつです。「Full House」は、CDよりもかなり速いテンポでプレイされました。ニック・モロックがリトル・リチャードの有名なロックンロール「Lucille」のメロディを引用すると、今度はサンボーンがJB'sの「Doing It To Death」のリフを吹きます。「あのおなじみの曲が、こんなふうに深化・発展していくのか」と、ぼくは目の覚めるような気分を味わいました。

公演は8日まで続きます。いったいどんな名曲を届けてくれるのか、楽しみです。
(原田 2014 10.6)

SET LIST

2014 11.5 WED.
1st
1. COMIN' HOME BABY
2. BROTHER RAY
3. MAPUTO
4. CAMEL ISLAND
5. LISA
6. RUN FOR COVER
7. CHICAGO SONG
8. FULL HOUSE
EC. THE DREAM
 
2nd
1. COMIN' HOME BABY
2. BROTHER RAY
3. MAPUTO
4. CAMEL ISLAND
5. LISA
6. CHICAGO SONG
7. RUN FOR COVER
8. FULL HOUSE
EC. THE DREAM

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