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EDDA MAGNASON with NIELS LAN DOKY TRIO "Homage to MONICA ZETTERLUND"

artist EDDA MAGNASON , NIELS LAN DOKY

REPORT

原田和典のBloggin' BLUE NOTE TOKYO


好評上映中の映画「ストックホルムでワルツを」の一場面が、手の届くような距離で蘇ったかのようです。主人公のモニカ・ゼタールンド(セッテルンド)を演じていた歌手、エッダ・マグナソンの初来日公演が昨日から行なわれています。

映画をご覧になった方には説明不要かと思いますが、モニカは1950年代から90年代にかけて活動を続けたジャズ・シンガー/女優です。アルネ・ドムネルスなどスウェーデンのトップ・ミュージシャンと共演する一方、ビル・エヴァンス、スティーヴ・キューン、サド・ジョーンズ=メル・ルイス・ジャズ・オーケストラ(ヴァンガード・ジャズ・オーケストラの前身)とアルバムを制作するなど、卓越した実力は世界に轟いていました。そんなモニカに扮したエッダは、2010年にファースト・アルバムを発表したシンガー・ソングライター。自己名義の作品ではフォーク〜ロック寄りのサウンドも聴かせていますが、この日はモニカに敬意を表して、彼女なりのジャズ・ヴォーカルを届けてくれました。伴奏はピアニスト、ニルス・ラン・ドーキーのトリオ。かつてニューヨークに住んでトニー・ウィリアムス等のバンドで演奏していたベース奏者アイラ・コールマン(ストックホルム生まれ)も、健在ぶりを発揮していました。

補助席が出るほどの超満員なのに、パフォーマンスが始まると物音ひとつしません。全オーディエンスが音楽に聴き入っています。「Come Rain Or Come Shine」、「Some Other Time」を英語でしっとり歌い上げた後、スウェーデン語の「Monica's Vals」が登場します。これはビル・エヴァンスの名曲「Waltz For Debby」にモニカが歌詞をつけたもので、映画でも大きくフィーチャーされていました。この曲をきっかけにモニカのファンになった方も多いのではないでしょうか。その後もミシェル・ルグラン作「Once Upon A Summertime」(先日、ティル・ブレナーの公演でとりあげられたばかりですね)、ニルス作「Between A Smile And A Tear」やエッダ作「Anchor」「Hombre I Know」(この曲のみ彼女のピアノ弾き語り)等、バラエティに富んだセレクションが続きました。

この公演を通じて、モニカ・ファンはエッダの才能をさらに知ることになるでしょう。そしてエッダ・ファンは、伝説化して久しいモニカのことを一層身近に感じることになるでしょう。二日間のみの公演というのがもったいない、充実のプログラムです。
(原田 2014 12.21)

SET LIST

2014 12.20 SAT.
1st & 2nd
1. CONTEMPLATION FROM A MOUNTAIN TOP (INST)
2. COME RAIN OR COME SHINE
3. SOME OTHER TIME
4. MONICA'S VALS (WALTZ FOR DEBBIE)
5. SO LONG BIG TIME
6. ONCE UPON A SUMMERTIME
7. BETWEEN A SMILE AND A TEAR
8. ANCHOR
9. HOMBRE I KNOW
10. TRUBBEL
11. WHAT A LITTLE MOONLIGHT CAN DO
EC. YOU'RE EVERYTHING

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