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RICHARD BONA GROUP

artist RICHARD BONA

REPORT

天に二物を与えられ、世界中の音楽をひとつにする本物のエンターテイナー


 2013年の暮れにラウル・ミドンと来日したリチャード・ボナが、自身のバンドを引き連れて戻ってきた。黒のジャケットに鮮やかなオレンジのシャツ、ジーンズという出で立ちでステージに現れたボナは、開口一番「アケオメ!」の挨拶で会場を和ませる。

 10日のファースト・セットは『Reverence』収録の「Te Misseya」で幕を開ける。続くは『Munia』でサリフ・ケイタとデュエットした「Karabancoro」。ひとりで歌ってもボナの存在感は圧倒的だ。3曲目は『Tiki』でジョン・レジェンドとデュエットした「Please Don't Stop」。ボナはいつものドゥアラ語ではなく、英語で歌う。アダム・ストーラーのワウ・ギターがファンキーな色彩を添える。

 4曲目は新作『Bonafied』からタンゴ風バラッドの「Mut' Esukudu」。切々と歌い上げるリー・グリーンブラットのミュート・トランペット、抑制の効いたエチエンヌ・スタドウィクのピアノ、優しく語りかけるボナのベースというソロの連携で、美しい物語を紡ぐ。前作『The Ten Shades Of Blues』から、インドで書いたという「Shiva Mantra」でスパイシーな香りを振り撒いた後、ボナのライブではお馴染みのジャコ・パストリアスの「Teen Town」で盛り上がる。「ドラマーのラドウィック・アフォンソがキューバ出身と言うとみんなびっくりしたけれど、2週間前からは事情が変わった」と、新しい話題を織り込んだユーモラスなメンバー紹介もステージを盛り上げる。

 ボナのステージでは、ディレイ・ループを駆使した"リアルタイム多重録音"のソロ・パフォーマンスもお馴染みだが、今回は新作の「Tumba La Nyama」でそれを披露。アルバムの曲は口パーカッションとコーラスによるアフリカンな雰囲気だが、ライブではベースやキーボード、ギターなどのパートを盛り込んだバンドのサウンドになっている。セット本編は「ロックっぽいのをやろう!」と言って新作の「Diba La Bobe」で締めくくる。

 会場には、ボナの初来日のきっかけを作った渡辺貞夫が来ており、アンコールは彼に捧げたボナのソロによるマイク・スターンの「Still There」。歌とベースのテクニックという"二物"に恵まれたボナは、それに頼ることなく、常に客席の空気を読みながらステージを進める本物のエンターテイナーで、今回も最後まで観客の心をつかんで離さなかった。曲の新旧を問わず常に新鮮な演奏が聴けるのは、彼が常に進化していることの証だ。

text : 坂本 信
札幌市出身。レコード会社や音楽出版社、楽器メーカーのための翻訳、数百人のアーティストのインタヴュー、通訳を務める。また、ベーシストとしても活動し、高崎晃や伊藤たけし、仙波清彦などとも共演している。


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●RICHARD BONA GROUP
1.12 mon. @COTTON CLUB
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SET LIST

2015 1.10 SAT.
1st
1. TE MISEA
2. KALABANCORO
3. PLEASE DON'T STOP
4. MUT'ESUKUDU
5. SHIVA MANTRA
6. TEEN TOWN
7. TUMBA LA NYAMA (BONA'S SOLO)
8. DIBA LA BOBE
EC. STILL THERE (BONA'S SOLO)
 
2nd
1. TE MISEA
2. KALABANCORO
3. PLEASE DON'T STOP
4. MUT'ESUKUDU
5. SHIVA MANTRA
6. TEEN TOWN
7. SUNINGA
8. O SEN SEN SEN
9. DIBA LA BOBE
EC1. TE DIKALO
EC2. STILL THERE (BONA'S SOLO)

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