2015 1.10 sat. - 1.11 sun.
RICHARD BONA GROUP
artist RICHARD BONA
天に二物を与えられ、世界中の音楽をひとつにする本物のエンターテイナー
2013年の暮れにラウル・ミドンと来日したリチャード・ボナが、自身のバンドを引き連れて戻ってきた。黒のジャケットに鮮やかなオレンジのシャツ、ジーンズという出で立ちでステージに現れたボナは、開口一番「アケオメ!」の挨拶で会場を和ませる。
10日のファースト・セットは『Reverence』収録の「Te Misseya」で幕を開ける。続くは『Munia』でサリフ・ケイタとデュエットした「Karabancoro」。ひとりで歌ってもボナの存在感は圧倒的だ。3曲目は『Tiki』でジョン・レジェンドとデュエットした「Please Don't Stop」。ボナはいつものドゥアラ語ではなく、英語で歌う。アダム・ストーラーのワウ・ギターがファンキーな色彩を添える。
4曲目は新作『Bonafied』からタンゴ風バラッドの「Mut' Esukudu」。切々と歌い上げるリー・グリーンブラットのミュート・トランペット、抑制の効いたエチエンヌ・スタドウィクのピアノ、優しく語りかけるボナのベースというソロの連携で、美しい物語を紡ぐ。前作『The Ten Shades Of Blues』から、インドで書いたという「Shiva Mantra」でスパイシーな香りを振り撒いた後、ボナのライブではお馴染みのジャコ・パストリアスの「Teen Town」で盛り上がる。「ドラマーのラドウィック・アフォンソがキューバ出身と言うとみんなびっくりしたけれど、2週間前からは事情が変わった」と、新しい話題を織り込んだユーモラスなメンバー紹介もステージを盛り上げる。
ボナのステージでは、ディレイ・ループを駆使した"リアルタイム多重録音"のソロ・パフォーマンスもお馴染みだが、今回は新作の「Tumba La Nyama」でそれを披露。アルバムの曲は口パーカッションとコーラスによるアフリカンな雰囲気だが、ライブではベースやキーボード、ギターなどのパートを盛り込んだバンドのサウンドになっている。セット本編は「ロックっぽいのをやろう!」と言って新作の「Diba La Bobe」で締めくくる。
会場には、ボナの初来日のきっかけを作った渡辺貞夫が来ており、アンコールは彼に捧げたボナのソロによるマイク・スターンの「Still There」。歌とベースのテクニックという"二物"に恵まれたボナは、それに頼ることなく、常に客席の空気を読みながらステージを進める本物のエンターテイナーで、今回も最後まで観客の心をつかんで離さなかった。曲の新旧を問わず常に新鮮な演奏が聴けるのは、彼が常に進化していることの証だ。
text : 坂本 信
札幌市出身。レコード会社や音楽出版社、楽器メーカーのための翻訳、数百人のアーティストのインタヴュー、通訳を務める。また、ベーシストとしても活動し、高崎晃や伊藤たけし、仙波清彦などとも共演している。
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2015 1.10 SAT.
1st | |
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1. | TE MISEA |
2. | KALABANCORO |
3. | PLEASE DON'T STOP |
4. | MUT'ESUKUDU |
5. | SHIVA MANTRA |
6. | TEEN TOWN |
7. | TUMBA LA NYAMA (BONA'S SOLO) |
8. | DIBA LA BOBE |
EC. | STILL THERE (BONA'S SOLO) |
2nd | |
1. | TE MISEA |
2. | KALABANCORO |
3. | PLEASE DON'T STOP |
4. | MUT'ESUKUDU |
5. | SHIVA MANTRA |
6. | TEEN TOWN |
7. | SUNINGA |
8. | O SEN SEN SEN |
9. | DIBA LA BOBE |
EC1. | TE DIKALO |
EC2. | STILL THERE (BONA'S SOLO) |