2015 3.17 tue. - 3.19 thu.
CASSANDRA WILSON
artist CASSANDRA WILSON
原田和典のBloggin' BLUE NOTE TOKYO
カリスマ・シンガー、カサンドラ・ウィルソンのプレミアム公演が昨日からスタートしています。
今回のライヴは、日本先行発売されたばかりの最新アルバム『カミング・フォース・バイ・デイ』の世界をたっぷりお届けしようという内容です。これは、ことし生誕100年を迎える伝説的シンガー、ビリー・ホリデイゆかりのナンバーをカサンドラ流に解釈した大変な力作です。「私の本当に最初のアルバムは、日本のレコード会社の制作だったの。JAL(日本航空)とのタイアップだった。それから30年ぐらい経ったと思うけど、また今回、いち早く日本のオーディエンスに新作を届けることができてとても嬉しい」と前置きしながら、カサンドラはビリーが1930~40年代に録音した不滅の古典に2015年の息吹きを加えました。ちなみに前述のファースト・アルバムは『ニューヨーカー/イン・ア・センチメンタル・ムード』というタイトルで1985年にジェット・ストリームというところから発売されています。
いつもすごいメンバーを連れてくるカサンドラですが、今回はブライアン・ブレイド・フェロウシップ等の活動でも知られるジョン・カウハード(ピアノ、フェンダー・ローズ)、ブランドン・ロスの後任として加わったケヴィン・ブライト(ギター)のプレイが異彩を放っていました。とくにカナダ出身で、普段はロックやフォークをプレイしているというケヴィンは小型ボディの楽器を使い、ハーモニクス、トレモロ、スライド、ループ等を駆使した自由奔放なアプローチでカサンドラの歌に絡みます。ベースのロニー・プラキシコ、ヴァイオリンのチャールズ・バーンハム(個人的にはジェームズ・ブラッド・ウルマーとの共演が忘れられません)といった、カサンドラ・ファンにはすっかりおなじみの面々も充実と安定のサポートを聴かせてくれました。
あるインタビューでカサンドラは「10代の頃に初めてビリーのレコードを聴いてから、ずっと魅了されっぱなしだった」と語っています。しかしビリーの持ち歌を自分で解釈するにあたって、「トリビュートという美名を借りた原曲トレース」を断じてすることなく、独自の楽器編成をほどこし、コード進行やリズムを変え、新たにイントロをつけ、ワン&オンリーの歌唱で各曲の核に迫りました。「Don't Explain」、「Crazy He Calls Me」、「Good Morning Heartache」などなど、ぼくはビリーのファンでもあるので、「ああ、この曲がこんな風になるのか」という驚きや興奮を存分に味わいましたが、クラブを埋め尽くしたオーディエンスは誰もがカサンドラの歌に酔い、同時に今から60年近くも前に他界したビリー・ホリデイへの関心をさらに深めたのではないでしょうか。
ステージにはハーモニウム(足踏みオルガン)と、カサンドラが弾くためのギターも置かれていましたが、ぼくが見た初日はプレイされませんでした。今日はどんな不朽の名曲が、新鮮に生まれ変わるのでしょうか。
(原田 2015 3.18)
2015 3.17 TUE.
1st | |
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1. | THE WAY YOU LOOK TONIGHT |
2. | DON'T EXPLAIN |
3. | WHAT A LITTLE MOONLIGHT CAN DO |
4. | CRAZY HE CALLS ME |
5. | YOU GO TO MY HEAD |
6. | ALL OF ME |
7. | GOOD MORNING HEARTACHE |
8. | THESE FOOLISH THINGS |
9. | LAST SONG (FOR LESTER) |
10. | BILLIE'S BLUES |
EC1. | GOD BLESS THE CHILD |
EC2. | I'LL BE SEEING YOU |