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KAT EDMONSON

artist KAT EDMONSON

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原田和典のBloggin' BLUE NOTE TOKYO


話題のニュー・スター、待望の初来日です。ニューヨーク・タイムズが「春の花束のようにフレッシュ」と評したシンガー・ソングライター、キャット・エドモンソンのライヴが始まっています。

彼女はテキサス州オースティン出身。2009年にファースト・アルバムを発表し、2012年にミッチェル・フル--ム(スザンヌ・ヴェガやロン・セクスミスの作品で知られる)をプロデューサーに迎えた『ウェイ・ダウン・ロウ』で一躍、名が知られるようになりました。現在はニューヨーク・ブルックリンを拠点に活動しています。

大変に特徴のある声の持ち主です。甘さの中にほんの少し塩辛さがあるといえばいいでしょうか、非常に個性的でありながら魅力的なヴォーカルを聴かせます。その味わいはCDからも十分に伝わってきましたが、ライヴで接するとさらに細かなニュアンスが聴き取れます。楽器は演奏せず、歌に専念。そのかわりというわけでもないでしょうが、ローラ・スカボローは小型の鉄琴、アコーディオン、キーボード(メロトロンのような音を出します)、メロディカ(ピアニカ)などを細かく使い分け、ボブ・ハートもエレクトリック・ベースとアコースティック・ベースだけではなくアコースティック・ギターも演奏、さらにアーロン・サーストンは右手でドラムスを叩きながら左手で小型の鉄琴(ローラのものよりさらに小さい)を弾き、さらに左足のペダルにタンバリンをくくりつけてリズムをとる等、何人分もの活躍でバンドの音に厚みを加えます。キャットは19歳の時、オースティンでローラと知り合ったそうです。ショート・カットで小柄なキャットと、長身ロング・ヘアのローラは見た感じ好対照ですが、プレイの相性はぴったりです。

ジョージ・ガーシュウィンの古典「Summertime」も、あっと驚くようなアレンジで取り上げられましたが(ラストにはレスリー・ブリッカスの「Feelin' Good」の一節も挿入されました)、基本的にステージはキャットの自作曲で構成されています。これが面白いのです。どことなくノスタルジックで、フォーキーで、洒落ていて、途中から加わったアーロンのボストン時代の友人(バークリー音楽大学で一緒だったようです)、岡崎好朗のトランペットがそこに程よいジャズ風味を付け加えました。

どの自作からもキャットのメロディ・メイカーぶりは伝わってきましたが、ぼくが心底うなったのは「Avion」という曲です。優しい歌声と鉄琴が織りなす極上のソフト・ロック、まるでロジャー・ニコルズやテディ・ランダッツォの音作りが時空を超えて現代によみがえったような錯覚に陥りました。皆さんはどの曲がお気に入りになるでしょうか? 公演は本日までです!
(原田 2015 5.10)

SET LIST

2015 5.9 SAT.
1st
1. RAINY DAY WOMAN
2. OH MY LOVE
3. YOU SAID ENOUGH
4. YOU CAN'T BREAK MY HEART
5. LONG WAY HOME
6. I'M NOT IN LOVE
7. CHAMPAGNE
8. SUMMERTIME
9. CRYING
10. ALL THE WAY
11. HOPELESSLY BLUE
12. AVION
13. LUCKY
14. I DON'T KNOW
EC. JUST LIKE HEAVEN
 
2nd
1. RAINY DAY WOMAN
2. OH MY LOVE
3. THE BEST
4. YOU SAID ENOUGH
5. YOU CAN'T BREAK MY HEART
6. LONG WAY HOME
7. I'M NOT IN LOVE
8. CHAMPAGNE
9. SUMMERTIME
10. CRYING
11. ALL THE WAY
12. HOPELESSLY BLUE
13. AVION
14. LUCKY
15. I DON'T KNOW
EC. JUST LIKE HEAVEN

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