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AVISHAI COHEN TRIO -From Darkness- @COTTON CLUB

artist AVISHAI COHEN

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原田和典のBloggin' BLUE NOTE TOKYO


ベーシスト、作曲家として自己最高記録を更新し続けるアヴィシャイ・コーエン。最新作『フロム・ダークネス』も大好評の彼が、今年も会心のプレイを日本のオーディエンスに届けています。14日からの「ブルーノート東京」公演に先立ち、ぼくは「コットンクラブ」公演の初日を楽しみました。

メンバーは、ニタイ・ハーシュコヴィッツ(ピアノ)、ダニエル・ドー(ドラムス)との不動のトリオ。'90年代にチック・コリアのバンドに抜擢され、世界的な存在となったアヴィシャイですが、彼自身も優れたバンド・リーダーです。あのマーク・ジュリアナも、シャイ・マエストロもアヴィシャイのバンドから羽ばたいたといっても過言ではありません。ニタイ、ダニエル、アヴィシャイの3人は、まるでひとりが同時に3つの楽器をこなしているかのようにピッタリと息を合わせ、一糸乱れぬ緻密なアンサンブルを披露します。ぼくが見た場所はステージ上手寄り、つまりドラムのそばだったのですが、ダニエルのプレイは"驚嘆"の一言に尽きます。丹念にチューニングされたのであろう5枚のシンバルを並べ、スティック、ブラッシュ、ブラスティックを使い分けるだけではなく、ハンド・ドラミング、さらには両手で膝を叩いてリズムを生み出すなど多彩そのもの。さらにはハイハットの下側を左手の肘で押さえ、さらにスティックで連打して微妙に音程を変えるといった技もみせてくれました。アヴィシャイのプレイは、もう「アコースティック・ベースの指弾きの上限」に達したといっていいでしょう。粒のそろったフレーズ、美しい音程、決して生の響きを失わない音色・・・そのどれもに彼の努力と才能が反映されています。曲によってはベースを弾きながら楽器の胴体を叩き、打楽器のような効果を生み出していました。数曲で聴かせた弓弾きも絶品でした。

あともうひとつ、改めて驚いたのは、見た限り1つも譜面がバンドスタンドに置かれていなかったことです。アヴィシャイの曲は、テーマ・メロディが終わった後に一定のリズムが続き、一定のコード進行によってアドリブが回される、というものではありません。イントロからエンディングまでが一つの芸術作品であり、丹念にアレンジされ、同じパターンの繰り返しは皆無といっていいほどです。それをメンバーは暗譜しきっているのでしょう。ときに笑顔をうかべながら、超絶的なフレーズを楽々とこなします。

さらにアヴィシャイは、最後の最後でベースの弾き語りも聴かせてくれました。これがまた、うまい! 軽くこぶしを聴かせながら渋い声で、バラードをしっとりと表現するのです。かつてピアノに専念したアルバムを出したこともあるアヴィシャイですが、近いうちにヴォーカル・アルバムのリリースもあるのかも、と思いました。ほんとうに、彼にはいくつ才能があるのでしょう。来たる「ブルーノート東京」公演でも、アヴィシャイ・トリオは最高峰の感性と技術で、オーディエンスをノックアウトするに違いありません。
(原田 2015 5.12)

●AVISHAI COHEN TRIO -From Darkness-
2015 5.12 tue. - 5.13 wed. コットンクラブ
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2015 5.14 thu. - 5.15 fri. ブルーノート東京
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Photo by Y.Yoneda

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