2015 5.21 thu. - 5.23 sat.
GREGORY PORTER
artist GREGORY PORTER
原田和典のBloggin' BLUE NOTE TOKYO
男性ジャズ系ヴォーカルを牽引するシンガー・ソングライター、グレゴリー・ポーターが来日中です。伴奏メンバーはチップ・クロフォード(ピアノ)、アーロン・ジェームズ(ベース)、エマニュエル・ハロルド(ドラムス)、佐藤洋祐(アルト・サックス、フルート)という不動の顔ぶれ。初日のファースト・セットから力強い歌声、バンドの絶妙なコンビネーションは魅力全開です。
かねてから、ぼくは不思議に感じていました。世の中のジャズ・シンガーと呼ばれるほとんどのひとたちは、どうして70年も80年も前に作られた曲を歌うことが多いのだろう。ビング・クロスビーやフランク・シナトラの時代ならともかく、大昔にミュージカルや映画で使われた曲が、今を生きているその歌手とどんな関係があるのだろう。歌謡曲でもロックでも他のポピュラー音楽は基本的に新曲が主体なのに、どうしてなんだろう。グレゴリーは基本的に自作曲でジャズを表現します。現在進行形のメッセージを歌に込め、自分の言葉で表現するのです。しかもそれは決してひとりよがりになることなく、適度にファンキー、適度にポップです。聴くほうは、その曲に長年慣れ親しんだような気持ちで、肩の力を抜いて楽しめます。
「これまで出してきたすべてのアルバムから選曲した」というMC通り、『ウォーター』から「1960 What?」、『ビー・グッド』から「On My Way to Harlem」「Work Song」(オスカー・ブラウンJr.のカヴァー)、第56回グラミー賞の最優秀ジャズ・ヴォーカル・アルバムに輝いた『リキッド・スピリット』から「No Love Dying」「Musical Genocide」等を聴かせてくれました。グレゴリーは2年前の「ブルーノート東京」初登場時よりもさらに貫禄がついた感じで、マイクから意図的に離れて生声でシャウトしたり、ファルセットを混ぜたスキャットで観客を乗せていくあたり、まさしく第一人者の風格があります。ブロードウェイ・ミュージカルでも活動してきたというだけあって、一挙一動が絵になり、目をひくのです。時にエフェクターを使いながら"ひとりサックス・アンサンブル"的な効果も生み出す佐藤をはじめ、どのメンバーもふんだんにソロをとり、卓越した実力を発揮していました。"グラミー・ウィナーの真髄"を直に感じられるステージ、ぜひどうぞ!
(原田 2015 5.21)
2015 5.21 THU.
1st | |
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1. | WATER |
2. | ON MY WAY TO HARLEM |
3. | NO LOVE DYING |
4. | LIQUID SPIRIT |
5. | WOLFCRY |
6. | WORK SONG |
7. | MUSICAL GENOCIDE |
8. | HEY LAURA |
9. | 1960 WHAT? |
EC. | THE WAY YOU WANT TO LIVE |
2nd | |
1. | PAINTED ON CANVAS |
2. | ON MY WAY TO HARLEM |
3. | BE GOOD |
4. | MUSICAL GENOCIDE |
5. | WATER UNDER BRIDGES |
6. | LIQUID SPIRIT |
7. | WOLFCRY |
8. | WORK SONG |
9. | THE WAY YOU WANT TO LIVE |
10. | FREE |
11. | BUT BEAUTIFUL |