LIVE REPORTS

ARTIST ARCHIVES

MONTHLY ARCHIVE

VIDEO ARCHIVES


SPHÈRES featuring CHIHIRO YAMANAKA, KAREN TEPERBERG, DANA ROTH

artist CHIHIRO YAMANAKA

REPORT

原田和典のBloggin' BLUE NOTE TOKYO


常に新たなプロジェクトに取り組み、話題を集め続ける山中千尋。今回は全員女性からなるユニット"スフィアズ"を組んでの登場です。

ドラムスは山中のバークリー音楽院時代からの旧友であるカレン・テパーバーグが担当。クリス・ボッティやスティングのバックも務めてきた実力者です。そしてエレクトリック・ベースのダナ・ロスはグループ最年少の22歳。まだ名前が知られ始めたばかりといったところですが、イマジネーションに富んだプレイは「将来性豊か」という言葉がぴったりです。ふたりともイスラエル出身、山中は2014年、ドラマーのアヴィヴ・コーエン、ベーシストのアヴリ・ボロコフとツアーに出ていますが、本当に今のジャズ界のイスラエル・コネクションには驚異的なものがあります。

山中は今年でメジャー・デビュー10周年を迎えます。ぼくが見た初日のセカンド・セットは、それ以前、澤野工房に吹き込んでいた頃の作品がけっこう選ばれていたように思います。「Taxi」、「Madrigal」、ジョージ・ラッセルのカヴァー「Living Time Event V」など、「久しぶりに聴く」という気持ちと同時に、「今も曲が成長しづけている」という印象を受けました。山中はアコースティック・ピアノだけではなく、セロニアス・モンクの「Bemsha Swing」ではショルダー・キーボードを弾き、ピー・ウィー・エリスの「Chicken」ではシンセサイザーからハモンド・オルガンのような響きを出しました。持ち換えた各楽器の音色がバンド全体のパフォーマンスにさらに変化を加え、7月8日発売のニュー・アルバムからもいち早く「Syncopation Hazard」を聴かせるなど、大サービスのプログラムで満員のオーディエンスを楽しませました。

7月2日には、ニューヨークの「ディジーズ・クラブ・コカ・コーラ」で行なわれるジェイムズ・P・ジョンソン("ストライド・ピアノの父"と呼ばれる大巨匠)へのトリビュート・プログラムに、ジョージ・ケイブルスやイーサン・アイヴァーソン等と共に登場。その後はヨーロッパやアメリカ西海岸での演奏予定が目白押しだそうです。ますますエネルギッシュな山中千尋のブルーノート東京公演は本日も開催されます。
(原田 2015 6.1)

SET LIST

2015 5.31 SUN.
1st
1. LIVING WITHOUT FRIDAY
2. LIVING TIME EVENT V
3. THE ENTERTAINER
4. SUN FLOWER SLOW DRAG
5. EVIDENCE
6. YAGI BUSHI
EC. SALVE SALGUEIRO
 
2nd
1. QUAND BIRON VAULUT DANCER
2. LIVING TIME EVENT V
3. TAXI
4. BEMSHA SWING
5. SYNCOPATION HAZARD
6. MADRIGAL
7. INSIGHT FORESIGHT
EC. THE CHICKEN

INDEX