2015 6.2 tue. - 6.3 wed.
THE NELS CLINE SINGERS
artist NELS CLINE , SCOTT AMENDOLA
原田和典のBloggin' BLUE NOTE TOKYO
この日が来るのを指折り数えておりました。ネルス・クライン・シンガーズ、遂にブルーノート東京に登場です。
グループ名とは裏腹に歌手は参加していません(メンバーそれぞれがヴォイスを聴かせることはありますが)。リーダーのネルス・クラインはロック・グループ"ウィルコ"の一員としても多忙を極める奏者。ジャズ・ギタリストとしても抜群のセンスの持ち主で、その豊かなイマジネーションはアンドリュー・ヒル作品集『ニュー・モナスタリ』やジュリアン・ラージとのギター・デュオ・アルバム『ルーム』でうかがえる通りです。トレヴァ―・ダンは伝説のバンド"ミスター・バングル"の元メンバーであり、オノ・ヨーコとショーン・レノン親子との共演でもなじみ深いテクニシャン。アコースティック・ベースとエレクトリック・ベースの双方を操り、しかもどちらでも指弾きと弓弾きの両方をします。
先日、チャーリー・ハンターとのデュオでブルーノート東京に出たことも記憶に新しいドラマー、スコット・アメンドーラが日本に戻ってきてくれたことも嬉しい限りです。太く豊かな音色、抜群の手足さばきは今回も輝かしいばかりです。パーカッションのシロ・バティスタはブラジルのサンパウロ生まれ。スティング、ヨー・ヨー・マ、ジョン・ゾーン、ハービー・ハンコック、カサンドラ・ウィルソンら数多くの才人が彼と共演しています。クイーカ、パンデイロ、ビリンバウ、トライアングル、桶の真ん中をくりぬいてたくさんの鈴をくっつけたような楽器等、様々なパーカッションを駆使するだけではなく、七色のヴォイスや複雑な手拍子(手首が異様にやわらかい)でバンドの音作りに図太いグルーヴを加えます。
この4人が集まっているのですから、どう考えてもありきたりの音になるわけがありません。変幻自在、奇想天外、予想不可能、とにかく一刻一秒が聴きのがせないのです。ジャズもロックもサンバも飲み込んだ、音楽の快楽が渦巻く濃厚な世界です。ぼくが見た初日のファースト・セットは猛烈な集団即興から始まり、ノンストップで40分ほど疾走した後、芸術家の草間彌生に捧げた「Macroscopic」、カーラ・ブレイの古典的名盤『Escalator Over the Hill』からのカヴァー「A.I.R. (All India Radio)」等を織り交ぜながら最後まで起伏に富んだプレイで楽しませてくれました。
ぼくは海外で何度かネルスのライヴを聴いたことがありますが、今回はそれ以上の感動を受けました。このバンドが日本にいながらにして楽しめるのはものすごく尊いことだと思います。公演は今日まで。新鮮な音楽体験を、ぜひどうぞ! (※ネルスは6月4日に行なわれるチボ・マット公演にも参加します)
(原田 2015 6.3)
2015 6.2 TUE.
1st | |
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1. | FORGE |
2. | A MUG LIKE MINE |
3. | KING QUEEN |
4. | A MUG LIKE MINE (REPRISE) |
5. | DIVINING |
6. | RESPIRA |
7. | MACROSCOPIC |
8. | CANALES' CABEZA |
9. | SEVEN ZED HEAVEN |
EC. | A.I.R. |
2nd | |
1. | INTRO |
2. | A MUG LIKE MINE |
3. | KING QUEEN |
4. | A MUG LIKE MINE (REPRISE) |
5. | THURSTON COUNTY |
6. | RESPIRA |
7. | SASCHA'S BOOK OF FROGS |
8. | MACROSCOPIC |
9. | MERCY |
10. | CAUSE FOR CONCERN |
EC. | A.I.R. |