2015 6.9 tue. - 6.10 wed.
ARTO LINDSAY'S RESTLESS SAMBAS / guest : KEIGO OYAMADA (6.9 tue.), JIM O'ROURKE(6.10 wed.)
artist ARTO LINDSAY , 小山田圭吾
原田和典のBloggin' BLUE NOTE TOKYO
リズミカルなアコースティック・ギターと重量感たっぷりのパーカッションの間を縫うように、12弦エレクトリック・ギターの爆音が鳴りわたります。その響きは猛獣の叫び声のようであり、作業中の鉄工所に迷い込んだようでもあります。かと思えばポルトガル語と英語で綴られる歌唱は丁寧で繊細そのもの、つい前のめりになって聴き入らずにはいられません。
これほど極端な二面性を持っているミュージシャンは、世界を探しても数少ないことでしょう。ワン&オンリーのギタリスト/ヴォーカリストのアート・リンゼイが、昨年に引き続き来日公演を開催中です。今回はレストレス・サンバズという新プロジェクトでの登場。"落ち着きのないサンバ"とは、よくつけたものだと思います。アコースティック・ギターのルイス・フィリッピ・ヂ・リマはベッチ・カルヴァーリョ、エルザ・ソアレス、モレーノ・ヴェローゾ等と共演を重ねてきたリオ出身の名手で今回が初来日。ぼくが見た初日セカンド・セットでは7弦に専念しておりました。パーカッションのマリヴァウド・パイムは昨年も登場した名手。パンデイロ、スルド、ハイハット等を使い分けて、アートのパフォーマンスを鼓舞します。演目はフォーク・サンバというべき「Alegria」、アントニオ・カルロス・ジョビン作でジョアン・ジルベルトも名唱を残した「Este Seu Olhar」等。アートのソロによる弾き語りナンバー(叩き叫び、といったほうがいいかもしれません)も聴くことができました。
プログラム後半ではアートの盟友、小山田圭吾(エレクトリック・ギター)と大野由美子(ベース、キーボード)が加わり、いっそう音の厚みが増しました。「Simply Are」を皮切りに、次々と英語曲が続きます。「Prize」の間奏ではアートがペグ(糸巻き。ギターの弦のテンションを保つ)を左右にねじりながら、ただでさえ不思議なチューニングをさらに不思議にしていきます。アート流ソウル・バラードと個人的に呼んでいる「Simply Beautiful」が目の前で聴けたのも感激でした。
本日の公演には、小山田に代わってジム・オルークがゲスト参加します。"落ち着きのないサンバ"は、今日もファンの心をかき乱してくれることでしょう。
(原田 2015 6.10)
2015 6.9 TUE.
1st & 2nd | |
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1. | MANEIRAS |
2. | UM POR UM |
3. | ALEGRIA |
4. | IMITACAO |
5. | ESTE SEU OLHAR |
6. | ESTAÇÃO DERRADEIRA |
7. | PARA NÃO CONTRARIAR |
8. | INVOKE |
9. | SIMPLY ARE |
10. | PRIZE |
11. | SIMPLY BEAUTIFUL |
12. | ILLUMINATED |
EC. | BEIJA-ME |