2015 7.7 tue. - 7.9 thu.
Bluey presents "CITRUS SUN"
インコグニートの総師ブルーイは、いくつもの派生プロジェクトを立ち上げているが、このシストラス・サンは、70sソウルとジャズ・フュージョンへの想いをラテン風味でくるんだようなバンドで、2年前に『People Of Tomorrow』で日本アルバム・デビューを飾っており、今回が初来日となる。キーボードほか、脇を固めるリズム・セクションの3人は鉄壁のインコグニート仲間で、僕が観たのは初日7日の1stセット。珍しく用意されたオープニング・アクトは、ブルーイが心酔する若手ポルトガル人ギタリスト、フランシスコ・サレスによる独演だ。と言っても、サンプラーを駆使した"ひとり多重演奏"というユニークなスタイルで、繊細な音色のアコギも、時折ロック的感性を覗かせるという個性派である。
本隊の演奏は、ブルーイの2ndソロから"Caught Up In The Grey"でスタート。ブルーイ自身の「歌ヂカラ」が益々逞しくなっていることに、改めて驚く。続くインコグニート92年作からの"L'Arc En Ciel De Miles"からは、前出のサレスと共に、同曲のライターにも名を連ねる名手ケヴィン・ロビンソン(tp)が参加する。かつて、スカイ・ハイ・プロダクション・トリビュートのみごとなライヴも披露してくれたブルーイだが、この日も終盤近くでドナルド・バードの"Think Twice"を取り上げたように、トランペットをフロントに立てた意図は明白だ。そして3曲目からは、シトラス・サン最大の聴きモノといえるギタリスト、ジム・マレンが登場。アヴェレージ・ホワイト・バンドでの活動をはじめ、70年代からそのジャジーなスキルで敏腕ぶりを発揮した、御年70にもなろうというレジェンドである。かつて鬼才オルガニストのブライアン・オーガーとマレンが組んだクラブ・ライヴを「年が若すぎて入れなかったから、窓の外から観ていた」とブルーイが思い出を語って演り始めたのは、マレンがディック・モリッシーと組んでいた時代の"Soul Eyes"。シトラス・サンのアルバムでは、コロコロと玉を転がすような軽やかなフル・アコ・サウンドを聴かせてくれるこの長老ギタリストだが、ライヴではよりアタックの強いエッジの効いたプレイが光る。しかも、まったく穴のないそのプレイを、親指一本の素早いパッセージで弾きこなしてしまうのだから脱帽だ。この日は、マレンのプレイを間近で観ることができただけでも忘れがたいステージとなった。
text : 岩間 慎一(いわま しんいち)
フリー・エディター/ライター。もと『bmr(Black Music Review)』編集長。ブルーイ関連では、今年4月にリリースされたソロ2作目『Life Between The Notes』のライナーノーツを執筆。
Photo by Takuo Sato
●Bluey presents "CITRUS SUN"
2015 7.11 sat. SAPPORO CITY JAZZ
@SAPPORO MUSIC TENT (札幌 大通公園2丁目特設テント)
2015 7.7 TUE.
1st | |
---|---|
1. | CAUGHT UP IN THE GREY |
2. | L'ARC EN CIEL DE MILES |
3. | SOUL EYES |
4. | MAIS UMA VEZ |
5. | SEND ME YOUR FEELINGS |
6. | RIDE LIKE THE WIND |
7. | WHAT'S GOING ON |
8. | WHAT COLOR IS LOVE |
9. | COLUMBUS AVENUE |
10. | COOKING WITH WALTER |
11. | THINK TWICE |
12. | LOVE HAS COME AROUND |
13. | PEOPLE OF TOMORROW |
EC. | FUNKIN' FOR JAMAICA |
2nd | |
1. | CAUGHT UP IN THE GREY |
2. | L'ARC EN CIEL DE MILES |
3. | SOUL EYES |
4. | MAIS UMA VEZ |
5. | SEND ME YOUR FEELINGS |
6. | RIDE LIKE THE WIND |
7. | WHAT COLOR IS LOVE |
8. | COLUMBUS AVENUE |
9. | COOKING WITH WALTER |
10. | THINK TWICE |
11. | LOVE HAS COME AROUND |
12. | PEOPLE OF TOMORROW |
EC. | FUNKIN' FOR JAMAICA |