2015 7.20 mon. - 7.21 tue.
"A Love Supreme & Beyond" JOE LOVANO featuring YOSUKE YAMASHITA with ERENA TERAKUBO, GERALD CANNON & FRANCESCO MELA - In celebration of John Coltrane's Music -
artist JOE LOVANO , 山下洋輔
原田和典のBloggin' BLUE NOTE TOKYO
ぼくはジョー・ロヴァーノを現代最高のカリスマ・ジャズマンのひとりだと確信しています。その彼が1週間以上、日本に滞在し、2種のセッティングで至芸を繰り広げるとは、これをラッキーと言わずして何と言いましょう。7月20日、都内は猛烈な暑さでした。しかしロヴァーノが手の届く距離で聴けるのなら、暑さも湿気もなんのその。しかも20日と21日の公演テーマは、今年でリリース50周年を迎えるジョン・コルトレーンの名作『至上の愛』へのオマージュです。
かつてスティーヴ・キューンとの共演盤『モストリー・コルトレーン』でコルトレーン・ナンバーをたっぷり演奏したロヴァーノ。ローランド・カークやオーネット・コールマンからも大きな影響を受けている彼ですが、コルトレーンの音楽も欠くことのできない養分です。ぼくは数年前、コルトレーンの問題作『アセンション』を題材にしたロヴァーノの大編成バンドによるライヴをニューヨークで聴きました。本家『アセンション』は1曲40分ほどの、かなりアヴァンギャルドな音作りで突っ走る内容ですが、ロヴァーノは山あり谷ありの編曲をほどこし、たとえばヴィンセント・へリングのアルト・サックスが活躍する個所ではブルース調のコード進行にしたり、フリー・ジャズしかやらないサビア・マティーンのソロ・パートではコードもリズムもとっぱらった展開にして、約80分かけて『アセンション』を再生しました。そして今、『至上の愛』(全4楽章)を、ロヴァーノが吹きます。
共演者は寺久保エレナ(アルト・サックス)、山下洋輔(ピアノ)、ジェラルド・キャノン(ベース)、フランシスコ・メラ(ドラムス)。山下洋輔はニューヨーク・トリオによる『クルディッシュ・ダンス』や『ダズリング・デイズ』でロヴァーノをゲスト・ソリストに迎えたことがあります。メラはロヴァーノのグループ"アス・ファイヴ"とマッコイ・タイナー・トリオを兼ねる凄腕。彼とキャノンは、7月23日から始まるマッコイ&ロヴァーノ公演でもバックをつとめます。パート1「Acknowledgement」から、ロヴァーノのプレイが炸裂します。テナー・サックスの音色は太く暖かで、フレーズもリズムも変幻自在。ぼくがテナー奏者だったら、彼が吹くアドリブをその場で採譜して、家に帰るや否や徹底的にコピーしたことでしょう。よくもこんなに、かっこよく新鮮なフレーズが出てくるものです。寺久保エレナのプレイも堂々たるものでした。ロヴァーノがソロを終えた直後にサックスを吹くのは誰にとっても大変なプレッシャーだと思いますが、パート3「Pursuance」における彼女の火の玉のようなブロウは、いままでぼくが聴いたどの寺久保エレナよりも鮮烈に心に迫りました。
約1時間かけて『至上の愛』を完奏した後は、「I Want To Talk About You」と「Lonnie's Lament」が取り上げられました。コルトレーンは'64年のアルバム『クレッセント』で後者をスロー・テンポにアレンジしましたが、録音以前はアップ・テンポで演奏していました(ライヴを収めた私家版に記録されています)。ロヴァーノは自身の名盤『Quartets - Live at the Village Vanguard』に収録した時と同様、アップ・テンポで吹きまくります。王者の風格、そう呼びたくなるプレイでした。
(原田 2015 7.21)
2015 7.20 MON.
1st | |
---|---|
1. | ACKNOWLEDGEMENT |
2. | RESOLUTION |
3. | PURSUANCE |
4. | PSALM |
5. | I WANT TO TALK ABOUT YOU |
EC. | LONNIE'S LAMENT |
2nd | |
1. | ACKNOWLEDGEMENT |
2. | RESOLUTION |
3. | PURSUANCE |
4. | PSALM |
5. | I WANT TO TALK ABOUT YOU |
EC1. | LONNIE'S LAMENT |
EC2. | WELCOME |