2015 10.7 wed. - 10.9 fri.
CHRISTIAN SCOTT ATUNDE ADJUAH
artist CHRISTIAN SCOTT , ELENA PINDERHUGHES
原田和典のBloggin' BLUE NOTE TOKYO
ハイエイタス・カイヨーテ、ロバート・グラスパー、ロベルト・フォンセカと"旬"を立て続けに紹介している「ブルーノート東京」。昨日からはクリスチャン・スコット・アトゥンデ・アジュアーのステージが始まっています。痛快無比なトランペット奏者であり、バンド・リーダーとしても超一流(これまでマシュー・スティーヴンス、アーロン・パークス、ジェマイア・ウィリアムスといった逸材を輩出しています)、作曲家としてもとてつもない才能の持ち主であることはCDを聴けば直ちにわかることでしょう。そのスコットが待望のニュー・アルバム『ストレッチ・ミュージック』を携えて、最新ユニットと共に日本を訪れているのです。ぼくもわくわくしながら客席への階段を降り、メンバーの登場を待ちました。
オープニングは「Twin」、そして新作の1曲目「Sunrise in Beijing」。スコットの表情は精悍そのものです。ベル(朝顔)が上向いたトランペットは彼のトレードマークといってよいでしょう。ベルの真正面にマイクをおくだけではなく、ドラムの前にも低い位置でマイクを立てています。そして時折、背中を曲げ、そのマイクにおおいかぶさるようにトランペットを吹きます。フレーズや音色だけではなく、その一挙一動がかっこいいのです。メンバーのうちローレンス・フィールズ(ピアノ)とクリストファー・クリス・ファン(ベース)はスコットを追っているリスナーにはおなじみでしょう。ドラムスのジョー・ダイソンは、7月にオルガン奏者ロニー・スミス、8月にアルト・サックス奏者ドナルド・ハリソン(スコットの叔父)のバンドでも来日している超売れっ子です。他のメンバーは24歳のブラクストン・クック(アルト・サックス)、21歳のドミニク・ミニックス(ギター)、20歳のエレナ・ピンダーヒューズ(フルート)。「エレナのようなサウンドでフルートを吹いた者は、これまで誰もいないはずだ」とスコットはMCで言いましたが、確かにトランペットやサックスの熱いサウンドと涼し気なフルートの調和には、癖になるような魅力があります。またダイソンは曲によってエレクトリック・ドラムスも使いながら、すさまじいポリリズムを生み出していました。これを聴くと、「年長ミュージシャンのバンドでは、やはり相当パワーを抑えていたのだな」と思わざるを得ません。クライマックスというべき最終曲「K.K.P.D.」は旧作『イエスタデイ・ユー・セッド・トゥモロウ』からのナンバー。ギターが荒れ狂い、泣き叫ぶようなトランペットの響きがフィーチャーされます。演奏を終えた帰り、銃を持った9人の警察官に追いかけられ、車から引きずり出された自身の経験をもとに、彼はこの曲を書きました。「ここでシリアスな話を聞いてもらいたい。アメリカでは警察による黒人への暴力が後を絶たないんだ」と前置きしてから、スコットは厳しい表情でプレイにとりかかりました。
途中、ハービー・ハンコックが'60年代に書いた「Eye Of The Hurricane」をカヴァーするなど、古典的なモダン・ジャズにも抜きんでた実力を発揮した約80分。少し気が早いかもしれませんが、今年のベスト・ライヴのひとつに挙げたいほど至高のパフォーマンスでした。そしてスコットに限らず全員の演奏が、日を追うにつれてさらに充実していくに違いありません!!
(原田 2015 10.8)
2015 10.7 WED.
1st | |
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1. | TWIN |
2. | SUNRISE IN BEIJING |
3. | KIND OF NEW |
4. | EYE OF THE HURRICANE |
5. | K.K.P.D. |
2nd | |
1. | TWIN |
2. | SUNRISE IN BEIJING |
3. | PERSPECTIVES |
4. | WEST OF THE WEST |
5. | KIND OF NEW |
6. | K.K.P.D. |
EC. | NEW HEROES |