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Montreux Jazz Festival Japan 2015 JOHN McLAUGHLIN & THE 4TH DIMENSION

artist JOHN McLAUGHLIN

REPORT

原田和典のBloggin' BLUE NOTE TOKYO


今年の秋はギター好きにとってたまらない季節です。先月行なわれた「Blue Note JAZZ FESTIVAL in JAPAN」でパット・メセニーとジェフ・ベックがステージをわけあったことも記憶に新しいですが、「ブルーノート東京」では今、ベックの盟友であるジョン・マクラフリンが炎のステージを繰り広げています。あのワン&オンリーの音色、いまなお尖り続ける超絶フレーズの数々を、手の届くような距離で楽しむことができるのです!

バンドはもちろん、現在の彼のマザーシップというべき"ジョン・マクラフリン&ザ・フォース・ディメンション"。結成から11年を経て、そのサウンドはさらに磨きこまれ、バラエティを増しています。メンバーはカメルーン出身のベース奏者エティエンヌ・ンバッペ、マクラフリンが「ジャズ・フュージョンと伝統的インド音楽の両方をここまで表現できる人物はいない」と称賛するインド系ドラマーのランジット・バロット、そしてマクラフリンと同じく英国出身のゲイリー・ハズバンド(キーボードとドラムを兼任。かつてアラン・ホールズワースのバンドに在籍)という不動の顔ぶれ。マクラフリンの、あの、とんでもなく集中力の必要な音楽を、笑顔を見せながら余裕たっぷりにプレイできる破格のメンバーです。

「新作からの曲も、かなり古めの曲も演奏するよ。我々はビッグ・セレクションを用意してきたんだ」という前置きの後、近年の十八番「Raju」で最初のクライマックスが起こります。ハズバンドがキーボードからドラム・セットの前に移動すると、ニュー・アルバム『ブラック・ライト』から「Kiki」の登場です。ハズバンドは冒頭でティンバレスを叩き、かと思えばあっという間にキーボードのところに移動、左手でストリングス的なトーンを出しながら、右手ではフェンダー・ローズ風やアコースティック・ピアノ風など音色を細かく変えてアドリブをとります。「いったい、彼の指や腕は何本あるのか」状態です。ドラム・ソロのパートではバロットがターラ(インド音楽のリズム周期)のフレーズを口ずさみながら、やはり「手や足は何本あるのか」状態の音の渦を放出します。新作からはまた、インドのシタール奏者ラヴィ・シャンカルに捧げた「Panditji」も取り上げられました。

1992年のアルバム『ケ・アレグリア』に収められていた「Hijacked」はンバッペのショウケース。黒い手袋をはめた両手が、猛烈にシンコペーションの利いた重低音を奏でます。ラストの「Abbaji」は、インドを代表するタブラ奏者、ウスタッド・アラ・ラカへのトリビュート。冒頭ではバロットとハズバンドのツイン・ドラムをフィーチャーしながらアグレッシヴに、しかし途中から叙情的な作風となり、やがてバロットが"Love and Understanding"と切々と歌うという組曲仕立ての展開で魅了してくれました。

マハヴィシュヌ・オーケストラの壮大な響き、シャクティのインド・テイスト、そしてフリー・スピリッツやハート・オブ・シングスでフィーチャーされた自由奔放な即興。そのすべてが"ザ・フォース・ディメンション"に盛り込まれているといっても良いのではないでしょうか。ジョン・マクラフリン、73歳。ギタリストとして、音楽家として、空前の高みに達しています。
(原田 2015 10.23)

SET LIST

2015 10.23 FRI.
1st
1. RAJU
2. KIKI
3. LIGHT AT THE EDGE OF THE WORLD
4. PANDITJI
5. NEW BLUES
6. HIJACKED
7. SENOR C.S.
8. ECHOS FROM THEN
EC. ABBAJI
 
2nd
1. CLAP YOUR HAND
2. GUITAR LOVE
3. GAZA
4. THE JIIS
5. CREATOR HAS A MASTERPLAN
6. EL HOMBRE
7. MISS VALLEY
8. SENOR C.S.
9. MOTHER TONGUES
EC. SULLY

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