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LEE RITENOUR & DAVE GRUSIN

artist DAVE GRUSIN , LEE RITENOUR

REPORT

原田和典のBloggin' BLUE NOTE TOKYO


グラミー賞に輝いたベスト・セラー・アルバム『ハーレクイン』の発表から、ちょうど30年。リー・リトナーとデイヴ・グル--シンの黄金コンビが、久しぶりにブルーノート東京に戻ってきてくれました。

サポートはメルヴィン・デイヴィス(ベース)、イエロージャケッツのウィル・ケネディ(ドラムス)。超強力なリズム隊が、大御所ふたりのメロディアスなプレイを巧みにバックアップします。前半は「A Little Bit Of This And A Little Bit Of That」など、リトナーの最新作『ツイスト・オブ・リット』からのナンバーが中心。グルーシンはアコースティック・ピアノとシンセサイザーの両方で魅力をふりまき、リトナーは時にピック弾きから親指弾きのオクターヴ奏法に変えて、伝説的ジャズ・ギタリストであるウェス・モンゴメリーへの敬愛を滲ませます。メルヴィンはまた、スキャットでも才能を発揮。リチャード・ボナ、ウィル・リー、ネイザン・イースト、そしてこのメルヴィンと、エレクトリック・ベーシストに名ヴォーカリストが多いのは偶然でしょうか。

「私の最も愛するピアニスト、ビル・エヴァンスの楽曲だ」というグルーシンの紹介の後、プレイされたのは「Waltz For Debby」。リトナーを除く3人による演奏です。原曲をリハモナイズした(原曲に新たなハーモニーをつけた)グルーシンの指先からは彼のルーツのひとつであるクラシック音楽への造詣が伝わってきます。メルヴィンが多弦ベースの高音部を使いながら、チェロの弓弾きのような効果を出していたのも印象的でした。その後もグルーシンが'80年に発表したソロ・アルバム『マウンテン・ダンス』からのタイトル曲、前述『ハーレクイン』の表題曲などが次々と届けられました。

今回のライヴにちなんで、リトナーとグルーシンはスペシャル・カクテルをプロデュースしました。グルーシンのそれは、10月に亡くなった盟友ラリー・ローゼンに捧げられています。彼は'50年代にニューポート・ユース・バンドという少年グループでドラムを担当し(当時の演奏仲間には中学生だったエディ・ゴメスや高校生だったロニー・キューバーがいます)、'60年代にグルーシンのアルバム『カレイドスコープ』で演奏した後、録音エンジニアやプロデュースの仕事に向かいました。そして'70年代後半、グルーシンと共同でフュージョン・ミュージックを象徴するレーベル"GRP"を設立します。カクテルだけではなく、ライヴ・ステージ全体がローゼンへのトリビュートだったのでは?・・・・メンバー4人のエモーショナルなパフォーマンスに接して、ぼくはそう思う気持ちを抑えられませんでした。公演は5日まで続き、リトナーはさらに23日、イヴァン・リンスをフィーチャーしたスペシャル・ユニットで再登場します。
(原田 2015 11.4)

SET LIST

2015 11.3 TUE.
1st
1. LITTLE BIT OF THIS & LITTLE BIT OF THAT
2. OOH YEAH
3. PEARL
4. STOLEN MOMENTS
5. WALTZ FOR DEBBY
6. MOUNTAIN DANCE
7. WILD RICE
8. HARLEQUIN
 
2nd
1. LITTLE BIT OF THIS & LITTLE BIT OF THAT
2. OOH YEAH
3. PEARL
4. STOLEN MOMENTS
5. ON GOLDEN POND
6. SERENGETI WALK
7. WILD RICE
EC. HARLEQUIN

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