2016 1.6 wed., 1.7 thu.
BLUE NOTE TOKYO ALL-STAR JAZZ ORCHESTRA directed by ERIC MIYASHIRO with special guest ELIANE ELIAS
artist BLUE NOTE TOKYO ALL JAZZ ORCHESTRA , ELIANE ELIAS
原田和典のBloggin' BLUE NOTE TOKYO
ニュー・イヤーにふさわしい華やかなライヴが始まっています。もう説明不要といっていいでしょう、"ブルーノート東京オールスター・ジャズ・オーケストラ directed by エリック・ミヤシロ"の公演です。昨年秋に行なわれた「Blue Note JAZZ FESTIVAL in JAPAN」ではパット・メセニーとのコラボレーションを大成功させたばかりの彼らですが、今回はブラジル出身のピアニスト/シンガー、イリアーヌ(イリア--ニ・イリアス)をスペシャル・ゲストに迎えてのステージ。ボサノヴァ・ナンバーも交えながら、エキサイティングそのもののプレイが続きました。
2014年正月のライヴで初カヴァーされた「Trains」から、オーケストラのエンジンは全開です。多彩なリズム、厚みのあるアンサンブル、技巧と親しみやすさを見事に両立させたアドリブ・ソロに笑顔がこぼれます。メセニーのソングブックからも「Song For Bilbao」がプレイされました。先のフェスティバルでは作者自身のプレイが大きくフィーチャーされていましたが、今回はエリック・ミヤシロのトランペットを中心にメロディが奏され、宮本大路(バリトン・サックス)、近藤和彦(アルト・サックス)、奥村晶(トランペット)、岩瀬立飛(ドラムス)がソロをとります。つづいてはイリアーヌが書いた「Just Kiddin'」が演奏されたのですが、なぜか彼女は登場しません・・・・と思ったら、途中でエリックがイリアーヌの名をアナウンス。観客の声援に応えながらステージに登場した彼女は椅子に座るなり、いきなり入魂のピアノ・プレイを繰り広げました。粋な演出です。
ところでイリアーヌは1997年に、ボブ・ブルックマイヤー編曲指揮のデニッシュ・ラジオ・ジャズ・オーケストラと『Impulsive!』というアルバムを残しています。ブルックマイヤーはまた、エリックのフェイヴァリット・アレンジャーのひとりです。エリックは『Impulsive!』における、イリアーヌの優しい曲作りとブルックマイヤーの"音の濁り"を生かした編曲のコンビネーションが大好きで、今回のライヴにあたり、ブルックマイヤーのアレンジをぜひ演奏したいとイリアーヌにお願いしたそうです。ブルックマイヤーといえば、マリア・シュナイダーの師匠のひとりであり、サド・ジョーンズ=メル・ルイス・オーケストラ(現ヴァンガード・ジャズ・オーケストラ)の創設メンバーでもありました。今は亡き彼のアレンジを、この2016年に生で聴けるのは「喜び」以外のなにものでもありません。「So In Love」(イリアーヌの自作で、コール・ポーター作のスタンダード・ナンバーとは同名異曲)、組曲風の展開でたたみかけた「The Time Is Now」・・・・イリアーヌとオーケストラが一丸となった熱演に満員のオーディエンス、そして今なお圧倒的に新鮮なブルックマイヤーのアレンジに酔いしれるばかりです。
もちろんステージでは、イリアーヌのもう一つの一面、すなわちボサノヴァ・シンガーとしての魅力もしっかりフィーチャーされました。この日のために用意されたブラジル・メドレーではハンド・マイクで「Mas Que Nada」等を歌い、オーラスでは大定番「Garota de Ipanema(イパネマの娘)」を取り上げて、既に100%盛り上がっていた客席をさらに、これでもか、と熱狂させました。「イパネマ」はまた3フルート+2クラリネットからなる、この上なく美しいアンサンブルも聴くことができました。
オールスター・ジャズ・オーケストラとイリアーヌの公演は本日も行なわれます。また8日から10日にかけてはイリアーヌ自身のトリオが出演します(夫君のマーク・ジョンソンがベースで参加)。爽快なライヴ・ミュージックに触れて、最高の2016年を始めましょう!
(原田 2016 1.7)
Photo by Yuka Yamaji
●ELIANE ELIAS TRIO
2016 1.8 fri., 1.9 sat., 1.10 sun. ブルーノート東京
2016 1.6 WED.
1st & 2nd | |
---|---|
1. | TRAINS |
2. | SONG FOR BILBAO |
3. | JUST KIDDIN' |
4. | SO IN LOVE |
5. | BRAZILIAN MEDLEY (MAS QUE NADA~O PATO~ONE NOTE SAMBA~SÓ DANÇO SAMBA) |
6. | THE TIME IS NOW |
7. | DOMINGO |
EC. | GAROTA DE IPANEMA |