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LOGAN RICHARDSON

artist LOGAN RICHARDSON

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原田和典のBloggin' BLUE NOTE TOKYO


この日が来るのを楽しみにしておりました。アルト・サックスの俊英、ローガン・リチャードソンの公演です。

1980年、米国カンザス・シティ生まれ。同地の伝説的サックス奏者、アーマッド・アラディーンの手ほどきを受けています。ぼくは2000年にカンザスの「ミュージシャンズ・ユニオン」を訪れ、アラディーンに話をきいたり、彼やボビー・ワトソンが指導する授業風景に接したことがあります。良きコーチ、肥沃な音楽環境に恵まれたことで、ローガン少年の潜在能力はどんどん開花していったのでしょう。そして2007年、名門レーベルのフレッシュ・サウンド・ニュー・タレントからファースト・アルバム『Cerebral Flow』を発表。日本における同社のディストリビューターからの依頼に応え、完成前のCDRを聴きながら、こんなキャッチ・コピーを書いたことを覚えています(通販サイトにも転用されました)。「次世代ジャズを担う、スティーヴ・コールマン~グレッグ・オズビー路線のサックス奏者、デビュー。一聴しただけで、これぞニューヨークのサウンド!とわかるかっこよさ」。

それから約10年が経ち、ローガンは世界をまたにかけて演奏しながら、彼以外の何者でもないサウンドを持つスタイリストになりました。そして昨年秋にはジャズ界最高峰のレーベル、ブルーノートからアルバム『シフト』を日本先行発売。原盤はローガンが制作しており、「フレッシュ・サウンド・ニュー・タレントから出る」という話もおととしの年末ぐらいにあったはずですが、ブルーノートへのディールが成立したことによって(パット・メセニーの参加もセールス・ポイントになったのだと思います)、こうして国内盤もリリースされるようになりました。

ローガンは同名アルバムが出る前から"シフト"というバンドを率いています。今回の共演メンバーは、マイク・モレーノ(ギター)、天才肌のサム・ハリス(ピアノ)、ハリッシュ・ラガヴァン(ベース)、トミー・クレーン(ドラムス)。ステージでは全員にスポットが当たり、"ひとりのソリストのバックを他のメンバーが務めている"とか"手の空いた演奏家が所在なさそうにソリストのソロが終わるのを待っている"とか"テーマ→各メンバーのアドリブ→テーマというローテーションがひたすら続く"、といった図式とは異なる、"常に曲のすべての瞬間に全員がいる"と表現したくなるような世界を繰り広げました。なんと鮮烈なジャズであることでしょう。ローガンはメタルのマウスピースを口から垂らし気味に加え、前かがみになって、頬の筋肉を細かく動かしながらトーンに陰影を付け加えます。デヴィッド・サンボーン、ジョン・ゾーン、オリヴァー・レイクなどメタル・マウスピースを使うアルト奏者の多くに、ぼくは"音の立ち上がりがハード"という印象を受けるのですが、ローガンの音色はよりまろやかで、包み込むような魅力があります。『シフト』を愛聴している方も、まだ聴いていないひとも、とにかく足を運べば熱くなること間違いなしのライヴ。断然、推薦いたします。
(原田 2016 2.3)

SET LIST

2016 2.2 TUE.
1st
1. MIND FREE
2. ALONE
3. TIME
4. IMAGINE
5. SLOW
EC. DREAM WEAVER
 
2nd
1. MIND FREE
2. ALONE
3. TIME
4. IN YOUR NEXT LIFE
5. CREEPER
6. IMAGINE
7. SLOW
EC. UNTITLED

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