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GOGO PENGUIN

artist GOGO PENGUIN

REPORT

原田和典のBloggin' BLUE NOTE TOKYO


来日公演が決まった時から、わくわくしていました。どんな新鮮な音を、どのように突き付けてくるのか。一音残さず味わい尽くして、食い尽くしてやろうと思いながら、ぼくはライヴに耳を傾けました。英国マンチェスターからやってきた3人組、ゴーゴー・ペンギンの日本初ライヴです。

メンバーはニック・ブラッカ(ベース)、クリス・アイリングワース(ピアノ)、ロブ・ターナー(ドラムス)の3人。2009年に結成され、2014年リリースのセカンド・アルバム『V2.0』が欧米日で話題を集めました。現ブルーノート・レコード社長のドン・ウォズもこれを聴いて即座に気に入り、さらにヨーロッパに飛んでライヴを聴き、その結果、ゴーゴー・ペンギンはブルーノート・レコードと複数枚契約を締結します。その第1弾が、1月にリリースされたばかりの『マン・メイド・オブジェクト』なのです。ドンがヘッドになってから、ブルーノートは"ジャズの名門"から"かっこいい音楽を幅広く取り扱うレーベル"へと切り替わっています。ポスト・ロック(一部ではアコースティック・エレクトロニカともいわれているようですが)への関わりは、まさに快挙です。

ニックが弾いている楽器は見かけこそウッド・ベースですが、指板の先にはエレクトリック・ベースやエレクトリック・ギターで使われるようなピックアップがはりついています。そして足元にエフェクターがあり、さまざまに変化させた音をアンペグ社の大きめのアンプ('70年代にロン・カーターが使っていたような)から出します。アコースティックとエレクトリックの中間をゆくようなトーンには、なんともいえない粘っこさがあり、弓弾きによるプレイは神秘的ですらありました。クリスのピアノの音色には深い残響がかかっており、ロブはハイハットの左にもバスタムを置き、すさまじい速さで各シンバルやタムを叩きまくりました(シンバルの弓弾きも異彩を放ちました)。1曲の長さはほぼ4~5分のシングル盤サイズで、エンディングはほとんどの場合、唐突にやってきます。ドラムンベースを感じさせるナンバーあり、CDの音飛びをそのまま3人の見事なユニゾンで再現するパートあり、「Initiate」におけるクリスの内部奏法(ピアノに張ってある弦をつまびく)も大きな聴きどころのひとつでした。どこまでも整理された音響が印象的だったアルバムに対し、ライヴはより生々しく、ごつごつした響きで迫ってくるのも魅力です。場内はもちろん超満員、すべての音が消え去った後の客席は、まさしくスタンディング・オベイション状態でした。

ゴーゴー・ペンギンの持つ勢い、サウンドの神秘を、とにかく目の前で味わっていただきたいのです。公演は本日まで開催されます。次回の来日はまだか!と、ぼくはもう気持ちが先走っています。
(原田 2016 4.3)


Photo by Tsuneo Koga

SET LIST

2016 4.2 SAT.
1st
1. GBFISYSIH
2. MURMURATION
3. ONE PERCENT
4. KAMALOKA
5. BREAK
6. BRANCHES BREAK
7. IN AMBER
8. THE LETTER
9. FADING : FEIGNING
10. INITIATE
11. ALL RES
12. GDB
EC. HOPOPONO
 
2nd
1. ALL RES
2. UNSPEAKABLE WORLD
3. KAMALOKA
4. BREAK
5. BRANCHES BREAK
6. INITIATE
7. OCEAN IN A DROP
8. HOME
9. THE LETTER
10. TO DROWN IN YOU
11. PROTEST
EC1. GDB
EC2. HOPOPONO

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