2016 7.6 wed., 7.7 thu., 7.8 fri., 7.9 sat., 7.10 sun.
TOWER OF POWER
artist TOWER OF POWER
原田和典のBloggin' BLUE NOTE TOKYO
いつもいつも溢れんばかりのグルーヴ感と最高のハピネスを届けてくれるのが、タワー・オブ・パワー(TOP)です。夏の来日も、もう風物詩となって久しいですが、今回は飛び切りの"ハッピー"がふたつあります。まずひとつは、ベースの重鎮ロッコ・プレスティアが前線に戻ってきてくれたこと。腎臓移植も見事に成功、彼とは50年来の友人でグループのリーダー格であるテナー・サックスのエミリオ・カスティーヨはロッコを見て「笑顔が戻ってきたし、目がキラキラしているよ」と、復帰に大喜びです。手術前は椅子に座ってベースを弾いていた記憶がありますが、今回は両足をどっしりと地面につけての堂々たるプレイです。とにかくロッコの復活は、全TOPファンから大きな拍手で迎えられるはずです。そしてもう一つのハッピーは、今回が初来日となる新ヴォーカリスト、マーカス・スコットです。出身はソウル・ミュージックの都、テネシー州メンフィス。声量、リズム感ともに申しぶんなく、バラードでは客席に入りこみ、女性ファンの肩に手をかけながら美声を響かせるという伊達男ぶりも見せてくれました。
'78年にリリースされたアルバムのタイトル曲である「We Came to Play」でいきなり観客の心をつかみ、ジェイムズ・ブラウンの「It's A New Day」を彷彿とさせるギター・リフを持つ「Soul with a capital S」では"カントリーもラップもビッグ・バンド・スウィングも趣味じゃない。俺が聴きたいのはただひとつ、ソウルフル・ソングなんだ"と、嬉しくなるようなことを熱唱してくれます。「(To Say The Least) You're The Most」ではホーン・セクションの振り付けもバッチリ決まり、マーカスはステージ狭しと動き回り、その熱い歌声でロジャー・スミスのオルガンと掛け合いを演じました。
バリトン・サックス奏者のスティーブン・ドク・クプカはマウスピースからしぶきを飛ばしながら豪快な低音を響かせ、デヴィッド・ガリバルディのドラムスはロッコがベースに復帰したためかさらに力強くうねります。「TOPのドラムの椅子は彼のためにあるんだ。だけど彼は4度グループに復帰しているんだよ、なぜって3回も脱退したんだからね(笑)。だけど1998年以来、ずっと一緒に演奏している。TOPには数々のドラマーが去来したけれど、デヴィッドの域には誰も達することができなかったよ」と、エミリオはMCで力強く語っていました。
ほかにもクリスタルのマウスピース(だと思います)を使って超人的なハイノートを出すトランペット奏者のサル・クラッチオーロ、やはりトランペット担当でもこちらはアドリブに妙味を発揮するアドルフォ・アコスタ、骨太なサックス・ブロウが印象的なトム・ポリッツァー、6年ぶりのソロ・アルバム『From the Ground Up』も好評のギター奏者ジェリー・コーテスも快演。全員が光り輝くバンド、それがTOPなのです。
大定番中心にファンを熱狂させた初日ステージでしたが、来年には全曲新曲からなるニュー・アルバムをリリースするとのこと。ベイエリア・ファンク最強の"スティル・ヤング・マン"たちは、これからも爆走しつづけてくれそうです。
(原田 2016 7.7)
Photo by Takuo Sato
2016 7.6 WED.
1st | |
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1. | WE CAME TO PLAY |
2. | SOUL WITH A CAPITAL "S" |
3. | CAN'T YOU SEE (YOU DOIN' ME WRONG) |
4. | TO SAY THE LEAST YOU'RE THE MOST |
5. | DOWN TO THE NIGHTCLUB |
6. | WILLING TO LEARN |
7. | GET YO' FEET BACK ON THE GROUND |
8. | SO I GOT TO GROOVE |
9. | SO VERY HARD TO GO |
10. | WHAT IS HIP |
EC. | YOU'RE STILL A YOUNG MAN |
2nd | |
1. | I LIKE YOUR STYLE |
2. | AIN'T NOTHIN' STOPPIN' US NOW |
3. | YOU OUGHT TO BE HAVING FUN |
4. | ONLY SO MUCH OIL IN THE GROUND |
5. | YOU STRIKE MY MAIN NERVE |
6. | JUST ENOUGH AND TOO MUCH |
7. | AS SURELY AS I STAND HERE |
8. | MAYBE IT'LL RUB OFF |
9. | DON'T CHANGE HORSES (IN THE MIDDLE OF A STREAM) |
10. | THIS TIME IT'S REAL |
11. | SOUL VACCINATION |
12. | SO VERY HARD TO GO |
13. | WHAT IS HIP |
EC. | SOULED OUT |