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DAVID SANBORN

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原田和典のBloggin' BLUE NOTE TOKYO


たった一音で「あっ、彼だ!」とわかる唯一無二のパーソナリティ。アルト・サックスの巨匠、デヴィッド・サンボーンが、今年も"王道"をブルーノート東京に響かせています。

1曲目は、なんとスティーヴィー・ワンダーの名曲「Another Star」。リフレイン部分をベースのアンドレ・ベリー、キーボードのマーク・スティーブンスがスキャットで歌い、サンボーンも途中からそれに合流します。「みんな、一緒に歌おう!」と観客に呼びかけるサンボーンの姿を、ぼくは初めて見ました。続いてはグラミー受賞作『ダブル・ヴィジョン』から大定番「Maputo」。サンボーンはメロディを大きくフェイクし、'70年代のアート・ペッパーのような超高音も交えながら熱演します。チャカ・カーン、テイク6など数々のミュージシャンと共演し、ジョージ・デュークからも才能を高く評価されていたマークのキーボード・ソロもフィーチャーされました。

「Camel Island」も「Maputo」同様、'80年代からのレパートリーですが、去年に引き続き抜擢された岡部洋一がパンデイロで小気味よいアクセントを入れ、ちょっとサンバ風に生まれ変わりました。ぼくが彼の演奏を初めて聴いたのは今から25年も前、ブラジルの鬼才ギター奏者バーデン・パウエルのライヴで、でした。「なんて繊細で、歌うように打楽器を操るひとなのだろう」と思ったのですが、サンボーン・グループの音楽にも見事、溶け込んでいます。岡部は後半、コンガで絶品のソロも披露。ただ叩くだけではなく、10本の指を(ピアノを弾くように)それぞれ別個に動かし、さざ波のような音を立てて耳を奪いました。

目下の最新作『タイム・アンド・ザ・リヴァー』からの自作「Ordinary People」、ディアンジェロのカヴァー「Spanish Joint」に続き、誰もが待っていたであろう「Run for Cover」へ。いうまでもなく'80年代、マーカス・ミラーがサンボーンに提供した曲です。マーカスも先日の「Blue Note JAZZ FESTIVAL in JAPAN 2016」で演奏していたので、同フェスに足を運んだ方はいっそう楽しく聴き比べができるのではと思います。ここではアンドレ・ベリーのベースがフィーチャーされました。サンボーンのバンドに参加する前は、デイヴ・コーズやトム・スコットとも共演、ルイス・ジョンソン亡き後"ブラザーズ・ジョンソン"の二代目ベーシストにも選ばれた名手で、マーカスとベース・バトルを行なったこともあります。この日はマーカスへの敬愛を感じさせるスラッピングから始まり、やがてコード(和音)弾きや、チョーキングを用いたソロへ。ハンク・ジョーンズと来日した時は洗練された4ビート・プレイを聴かせたビリー・キルソンも、サンボーンのもとではファンキーなドラム・プレイに集中します。

エネルギッシュな気鋭サイドメンに囲まれ、サンボーンは気持ちよさそうにサックスを吹きまくっていました。公演は12月3日までオフ日なしで続きます。
(原田 2016 12.1)

Photo by Yuka Yamaji

SET LIST

2016 11.30 WED.
1st
1. ANOTHER STAR
2. MAPUTO
3. CAMEL ISLAND
4. ORDINARY PEOPLE
5. SPANISH JOINT
6. RUN FOR COVER
EC. THE DREAM
 
2nd
1. ANOTHER STAR
2. MAPUTO
3. CAMEL ISLAND
4. ORDINARY PEOPLE
5. SPANISH JOINT
EC. THE DREAM

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