LIVE REPORTS

ARTIST ARCHIVES

MONTHLY ARCHIVE

VIDEO ARCHIVES


STEVE GADD BAND "WAY BACK HOME" Tour featuring MICHAEL LANDAU, KEVIN HAYS, JIMMY JOHNSON & WALT FOWLER

artist MICHAEL LANDAU , STEVE GADD

VIDEO

REPORT

原田和典のBloggin' BLUE NOTE TOKYO


超満員のファンの熱狂的な反応を受けて、スティーヴ・ガッド・バンドの公演がスタートしました。メンバーはウォルト・フォウラー(フリューゲルホーン、トランペット)、マイケル・ランドウ(ギター)、ジミー・ジョンソン(ベース)、そしてガッドという不変のラインナップ。そこにケヴィン・ヘイズがフェンダー・ローズとアコースティック・ピアノ、そしてヴォーカル(!)で加わります。

ケヴィン参加の知らせは、ぼくをさらに楽しみな気持ちにさせてくれました。彼は'90年代に頭角を現し、名門ブルーノート・レーベルからワールド・デビューを果たした才人です。少年の頃からベテラン・ピアニストのルー・スタインにジャズ奏法を師事、音楽院ではビル・シャーラップと同窓でした。その後、本格的なプロ活動に転じ、ソニー・ロリンズ、ドナルド・ハリソン(クリスチャン・スコットの叔父)、クリス・ポッターらと共演。2011年には、ジャズと現代音楽をつなぐ俊英パトリック・ジマーリの楽曲を、ブラッド・メルドーとのピアノ連弾で表現しています(アルバム『Modern Music』)。ケヴィンの参加はガッド・バンドの音楽に新たな色彩を付け加え、豊かなモダン・ジャズ経験を反映したのであろうタッチやハーモニーは、マイケル・ランドウのロック色の濃いギター・プレイと深いコントラストを描きました。

「The Windup」、「The Long Way Home」などは前回のライヴでも演奏された曲ですが、そのときはラリー・ゴールディングスのハモンド・オルガンが活躍しており、ちょっと土臭いというか、サザン・ロック的な印象も受けたものです。ケヴィンのピアノが入ることによって響きがどう変わったか、昨年のステージもご覧になった方にはより強く実感していただけると思います。「Green Foam」はウォルト、マイケル、ケヴィンの会心のソロが続くジャム・セッション風ナンバー。ガッドは腕を高く掲げ、思いっきり抜けの良い音でビートを刻みます。ザ・クルセイダーズ(メンバーの相次ぐ他界で消滅してしまいました)の十八番「Way Back Home」も、まるで最初からガッド・バンドのために作られたものであるかのように響きました。まずマイケルがギターでカッティングを始め、それに乗ってウォルトのフリューゲルホーンとジミーのベースがテーマ・メロディをユニゾンで奏でます。演奏がしばらく続いたところでガッドとケヴィンが入り、やがてアップ・テンポに。ケヴィンのアドリブ・パートは鍵盤とスキャットのユニゾンです。意表を突く展開、スリリングなアレンジに、ぼくは時間を忘れました。

もちろんガッドのソロも「The Windup」「Sly Boots」など、いろんな場所で登場します。ソリストとしての凄味、サポートに回った時の渋さ、そして迫力。現在のガッドの幅広い魅力が、このライヴに注ぎ込まれています。ライヴは7日までオフ日なく続きます。
(原田 2016 12.5)


Photo by Tsuneo Koga

SET LIST

2016 12.4 SUN.
1st
1. THE WIND UP
2. THE LONG WAY HOME
3. GREEN FOAM
4. COUNTRY
5. WAY BACK HOME
6. DUKE'S ANTHEM
7. SLY BOOTS
EC. BLUES FOR…
 
2nd
1. THE WIND UP
2. CAVALIERO
3. GREEN FOAM
4. AFRICA
5. COUNTRY
6. WAY BACK HOME
7. DESU
8. SLY BOOTS
EC. BLUES FOR…

INDEX