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THE BRAND NEW HEAVIES

artist SULENE FLEMING , THE BRAND NEW HEAVIES

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歌える新シンガーを擁して、まさに"ブラン・ニュー"なショウを展開!

 インコグニートやジャミロクワイとともに、1990年代初頭のアシッド・ジャズ期にシーンの前線に飛び出したUKジャジー・ファンク・グループが、ザ・ブラン・ニュー・ヘヴィーズだ。彼らはロンドン郊外の高校生仲間3人で組んだバンドであり、その時々に才ある女性シンガーを起用することで、輝きと生命感を得てきた。エンディア・ダヴェンポート、サイーダ・ギャレット、カーリーン・アンダーソン、近年のドーン・ジョセフなど、中央に立つ顔ぶれはそれぞれに能力とキャラが立っていた。

 そして、1年半ぶりとなる今回の来日公演で、彼らはまた新しい才能を連れてきた。新ヴォーカリストは、スリーン・フレミングという。英国のジャズ・ファンク界においてはこの人ありと知られてきた実力者で、彼女は昨年のインコグニートのブルーイのプロジェクト"シトラス・サン"にも同行。また、ジャミロクワイの初期ドラマーだったニック・ヴァン・ゲルターとの連名で、『ラヴランド』というアルバムを2015年に出してもいる。そんな彼女は、2016年からザ・ブラン・ニュー・ヘヴィーズのツアーに関わっている。

 さらに、ここに来て彼らには大きな変化があって、不動の3人のオリジナル・メンバー中の一人であるドラマーのヤン・キンケイドが今回同行していない。だが、代わりとなるルーク・ハリスはブリストル派鬼才のトリッキーのお友達で、彼の新プロジェクトであるスキルド・メカニクスにも参加している御仁。そりゃ、なんの問題があろうか。事実、パーティ感覚をふりまくギターのサイモン・バーソロミュー、ゴツゴツとベースを弾き倒していくベースのアンドリュー・レヴィ、そして手慣れたマナーで客に働きかけるスリーン・フレミングを中心とする、全8人による実演は"鉄板"。「ネヴァー・ストップ」、「ドリーム・カム・トゥルー」、「ユー・アー・ザ・ユニヴァース」らキラー・チューンとともに(それを持つことって、なんと素敵なこと也)、ザ・ブラン・ニュー・ヘヴィーズは見事にロンドンの躍動とドキドキを送り出していた。

 それにしても、新シンガーのスリーンの歌えること! 線が太く、コントロール抜群。これは、ザ・ブラン・ニュー・ヘヴィーズの印象が一番強いエンディア・ダヴェンポートもびっくりではないか。たとえば、彼ら最大級のヒット曲である「ドリーム・オン・ドリーマー」はじっくりとした歌唱のもと披露され、これまでになく彫りの深い余韻を持つ仕上がりになるなど、フロントが新しくなったご利益は随所に表れていた。また、彼女の達者なスキャットとサイモンのやんちゃなギター・ソロが密な掛け合いを見せるなど、彼女が悠々と大きな声で歌えることで、逆に演奏陣の活躍の場が拡大していると思わせるのも、今回の彼らのショウの要点ではないか。楽曲やバンド・サウンドなど黄金の回路を引き継ぎつつも、"ブラン・ニュー"なザ・ブラン・ニュー・ヘヴィーズの姿がそこに仁王立ちしていた。


text : 佐藤英輔
出版社勤務を経て、フリーランスの物書きとなる。グルーヴと飛躍する感覚と酔狂さがある音楽が好み。ライヴを中心に扱ったブログはこちらから


Photo by Tsuneo Koga

SET LIST

2017 2.9 THU.
1st
1. INTRO
2. DIAMOND LIGHT
3. NEVER STOP
4. SOMETIMES
5. DREAM ON DREAMER
6. MIDNIGHT AT THE OASIS
7. B*N*H*
8. BROTHER SISTER
9. DREAM COME TRUE
10. SPEND SOME TIME
EC. YOU ARE THE UNIVERSE
 
2nd
1. INTRO
2. DIAMOND LIGHT
3. NEVER STOP
4. SOMETIMES
5. DREAM ON DREAMER
6. MIDNIGHT AT THE OASIS
7. B*N*H*
8. BROTHER SISTER
9. SWEET FREEEK
10. SPEND SOME TIME
11. STAY THIS WAY
EC1. YOU ARE THE UNIVERSE
EC2. DREAM COME TRUE

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