2017 2.9 thu., 2.10 fri., 2.11 sat.
THE BRAND NEW HEAVIES
artist SULENE FLEMING , THE BRAND NEW HEAVIES
歌える新シンガーを擁して、まさに"ブラン・ニュー"なショウを展開!
インコグニートやジャミロクワイとともに、1990年代初頭のアシッド・ジャズ期にシーンの前線に飛び出したUKジャジー・ファンク・グループが、ザ・ブラン・ニュー・ヘヴィーズだ。彼らはロンドン郊外の高校生仲間3人で組んだバンドであり、その時々に才ある女性シンガーを起用することで、輝きと生命感を得てきた。エンディア・ダヴェンポート、サイーダ・ギャレット、カーリーン・アンダーソン、近年のドーン・ジョセフなど、中央に立つ顔ぶれはそれぞれに能力とキャラが立っていた。
そして、1年半ぶりとなる今回の来日公演で、彼らはまた新しい才能を連れてきた。新ヴォーカリストは、スリーン・フレミングという。英国のジャズ・ファンク界においてはこの人ありと知られてきた実力者で、彼女は昨年のインコグニートのブルーイのプロジェクト"シトラス・サン"にも同行。また、ジャミロクワイの初期ドラマーだったニック・ヴァン・ゲルターとの連名で、『ラヴランド』というアルバムを2015年に出してもいる。そんな彼女は、2016年からザ・ブラン・ニュー・ヘヴィーズのツアーに関わっている。
さらに、ここに来て彼らには大きな変化があって、不動の3人のオリジナル・メンバー中の一人であるドラマーのヤン・キンケイドが今回同行していない。だが、代わりとなるルーク・ハリスはブリストル派鬼才のトリッキーのお友達で、彼の新プロジェクトであるスキルド・メカニクスにも参加している御仁。そりゃ、なんの問題があろうか。事実、パーティ感覚をふりまくギターのサイモン・バーソロミュー、ゴツゴツとベースを弾き倒していくベースのアンドリュー・レヴィ、そして手慣れたマナーで客に働きかけるスリーン・フレミングを中心とする、全8人による実演は"鉄板"。「ネヴァー・ストップ」、「ドリーム・カム・トゥルー」、「ユー・アー・ザ・ユニヴァース」らキラー・チューンとともに(それを持つことって、なんと素敵なこと也)、ザ・ブラン・ニュー・ヘヴィーズは見事にロンドンの躍動とドキドキを送り出していた。
それにしても、新シンガーのスリーンの歌えること! 線が太く、コントロール抜群。これは、ザ・ブラン・ニュー・ヘヴィーズの印象が一番強いエンディア・ダヴェンポートもびっくりではないか。たとえば、彼ら最大級のヒット曲である「ドリーム・オン・ドリーマー」はじっくりとした歌唱のもと披露され、これまでになく彫りの深い余韻を持つ仕上がりになるなど、フロントが新しくなったご利益は随所に表れていた。また、彼女の達者なスキャットとサイモンのやんちゃなギター・ソロが密な掛け合いを見せるなど、彼女が悠々と大きな声で歌えることで、逆に演奏陣の活躍の場が拡大していると思わせるのも、今回の彼らのショウの要点ではないか。楽曲やバンド・サウンドなど黄金の回路を引き継ぎつつも、"ブラン・ニュー"なザ・ブラン・ニュー・ヘヴィーズの姿がそこに仁王立ちしていた。
text : 佐藤英輔
出版社勤務を経て、フリーランスの物書きとなる。グルーヴと飛躍する感覚と酔狂さがある音楽が好み。ライヴを中心に扱ったブログはこちらから
Photo by Tsuneo Koga
2017 2.9 THU.
1st | |
---|---|
1. | INTRO |
2. | DIAMOND LIGHT |
3. | NEVER STOP |
4. | SOMETIMES |
5. | DREAM ON DREAMER |
6. | MIDNIGHT AT THE OASIS |
7. | B*N*H* |
8. | BROTHER SISTER |
9. | DREAM COME TRUE |
10. | SPEND SOME TIME |
EC. | YOU ARE THE UNIVERSE |
2nd | |
1. | INTRO |
2. | DIAMOND LIGHT |
3. | NEVER STOP |
4. | SOMETIMES |
5. | DREAM ON DREAMER |
6. | MIDNIGHT AT THE OASIS |
7. | B*N*H* |
8. | BROTHER SISTER |
9. | SWEET FREEEK |
10. | SPEND SOME TIME |
11. | STAY THIS WAY |
EC1. | YOU ARE THE UNIVERSE |
EC2. | DREAM COME TRUE |