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ALFREDO RODRIGUEZ TRIO with RICHARD BONA presented by QUINCY JONES PRODUCTIONS

artist ALFREDO RODRIGUEZ , RICHARD BONA

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原田和典のBloggin' BLUE NOTE TOKYO


クインシー・ジョーンズが認めた才人、アルフレッド・ロドリゲス。キューバ出身、現在はアメリカを拠点に活動する彼が3年ぶりにブルーノート東京に戻ってきました。しかも今回は、カメルーンが生んだスーパースター、リチャード・ボナをスペシャル・ゲストに迎えてのステージです。

プログラムはまず、ロドリゲス(ピアノ)、同じくキューバ出身のマイケル・オリヴェイラ(ドラムス)、ブラジル生まれのムニール・ホッスン(ベース)によるトリオ演奏から始まりました。セカンド・アルバム『Invasion Parede』のタイトル曲で息の合った高速アンサンブルを披露した後は、「Besame Mucho」をしっとりと。かつてロベルト・フォンセカもブルーノート東京で演奏し、先週おこなわれたばかりのロイ・ハーグローヴの来日公演でも聴くことができたラテンのスタンダード・ナンバーです。とんでもなくリズミカルなベース・ライン、音量を抑えに抑えたドラムス(ブラッシュではなく、わらを束ねたような道具を使っていました)を従えたロドリゲスは原曲の旋律を徐々に発展させながら、切れ味鋭いタッチと厚みのあるハーモニーで、この曲を再生します。そして最新作『Tocororo』からの「Yemayá」では、ヴォコーダーを使った歌唱も聴かせてくれました。ホッスンはベースに加え、スタンドに固定されているギターも演奏しました。

「音楽家としても人間としても敬愛する彼と、一緒に演奏できるのは光栄だ」というロドリゲスの紹介を受けて、お待ちかねのリチャード・ボナが登場します。『Tocororo』でも彼はゲスト参加していましたが、その顔合わせがついにライヴで聴けたのです。「アフリカのルーツに捧げて」という前置きでプレイされたのは、最新作からの「Raíces (Roots)」。ボナはもちろんベースとヴォーカルを兼任、やわらかな歌声とロドリゲスのヴォコーダーが端麗なハーモニーを紡ぎます。続いてボナが超絶的なベース・ソロを聴かせた後、ファンなら知らぬ者のない人気曲「O Sen Sen Sen」へ。ホッスンのカラッとした音色のギター・カッティングも絶品です。余談ですが彼はジョー・ザヴィヌル率いる最後期の"ザヴィヌル・シンジケート"に在籍していたことがあります。ボナも90年代に同バンドで腕を磨いたことがありますので、期せずしてここでザヴィヌル・バンドの先輩・後輩が顔を合わせたわけです。本編ラストは、新作からのナンバーに戻って「Ay, Mamá Inés」。1927年に作曲されたラテンの超古典です(ジャズ・サックス奏者のチャーリー・パーカーもとりあげています)。ボナはベース・ソロを弾きながら、そのオクターヴ上をスキャットで歌いました。また、後半ではメンバー全員によるコーラスも披露されました。

鳴りやまない拍手を受けて始まったのは、ブエナ・ヴィスタ・ソシアル・クラブがリヴァイヴァル・ヒットさせたラテン・スタンダード「Guantanamera」。ロドリゲスたちはテンポを何度も変えながら、メロディにどんどんヴァリエーションを加えていきます。組曲のような壮大な展開に、ぼくは時間を忘れて引き込まれました。このライヴに足を運ぶまで、個人的には「ロドリゲスは自作自演中心」というイメージがあったのですが、この日はスタンダード曲満載。おかげで彼の新しい魅力を知った思いがします。はたして本日は、どんなレパートリーを届けてくれるのでしょうか。
(原田 2017 3.8)


Photo by Tsuneo Koga

SET LIST

2017 3.7 TUE.
1st
1. THE INVASION PARADE
2. BESAME MUCHO
3. SNAILS IN THE CREEK
4. YEMAYÁ
5. RAÍCES (ROOTS)
6. O SEN SEN SEN
7. AY, MAMÁ INÉS
EC. GUANTANAMERA
 
2nd
1. THE INVASION PARADE
2. BESAME MUCHO
3. SOL
4. SNAILS IN THE CREEK
5. YEMAYÁ
6. RAÍCES (ROOTS)
7. O SEN SEN SEN
8. EYALA
9. AY, MAMÁ INÉS
EC. GUANTANAMERA

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