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原田和典のBloggin' BLUE NOTE TOKYO


まずは精鋭メンバー3人がステージに登場し、ファンファーレのようなフレーズを高らかに響かせます。つづいてドラマーのダリアン・グレイが"東京のみんな、調子はどうだい? サム&デイヴ、オーティス・レディングなどと共演してきたロックンロール・ホール・オブ・フェイム、生きる伝説ことブッカー・T・ジョーンズの登場だ!"と熱く観客を煽り、場のボルテージを一気に高めます。大きな拍手のなか、ステージに登場したブッカーが弾き始めたのは「Hang 'em High」。もちろん往年の彼が率いていたバンド"ブッカー・T&ジ・MG's"の代表曲のひとつですが、ヒップホップを吸収したに違いないリズム・セクション、息子のテッド・ジョーンズによるロック色の濃いギター・サウンドが、この曲に新たな色彩を付け加えます。そして御大も、ほほえみをたたえながら、本当に丁寧に丁寧にオルガンを弾いていきます。この曲も、やはりこの夜プレイされた「Green Onions」や「Soul Limbo」にしても、おそらくブッカーは世界中のオーディエンスの前で通算何千、何万回も演奏してきたはずです。しかし旋律を荒っぽく崩したり、大向こうを狙うような派手な弾きまくりはしません。わかりやすく、メロディをしっかりと伝えてくれます。そこにぼくはブッカーの、曲や音楽に対する敬意を感じました。ここ数十年のライヴでは恒例となっているギターの弾き語りでは、"私はブルースで育ったようなものなんだ"という前置きから歌われた「Mannish Boy」が聴きものでした。シカゴ・ブルースの巨星マディ・ウォーターズが歌い、ローリング・ストーンズもカヴァーした重量級ナンバーですが、ブッカーは決してシャウトすることなく、ギターを指弾きしながら、むしろ"しっとり"という形容がぴったりきそうな歌唱を繰り広げます。「Grandma's Hands」ではテッドがリード・ヴォーカルをとり(歌い方が父親に似ています)、間奏では親子によるギターの掛け合いも聴かせてくれました。

「Green Onions」が大ヒットしたとき、ブッカーはまだ17歳だったそうです。以来50数年間、彼は音楽シーンの中心で、さまざまな名曲をつくり、さまざまなセッションを重ねてきました。MC中に飛び出すアルバート・キング、サム&デイヴ、ビル・ウィザース、ボブ・ディラン等とのエピソードは文字通りの値千金、改めて彼が「名曲の立役者」であったことが実感できました。近作『The Road From Memphis』にはザ・ルーツとのコラボで収録されているローリン・ヒルのカヴァー「Everything Is Everything」が取り上げられたのも、個人的にはとても嬉しかったです。ラストのバラード「When Something Is Wrong With My Baby」(サム&デイヴへの提供曲)では、1コーラス目をオルガンの弾き語り、長めのブレイク(休符)のあとに始まった第2コーラス目以降はギターの弾き語りで届けてくれました。スタンディング・オベイションの中、にこやかにステージを降りたブッカー。明日12日、そして13日の公演も限りなく期待大です!
(原田 2017 4.11)


Photo by Great The Kabukicho

SET LIST

2017 4.10 MON.
1st
1. HANG ’EM HIGH
2. SOUL DRESSING
3. BORN UNDER A BAD SIGN
4. GREEN ONIONS
5. MANNISH BOY
6. GRANDMA’S HANDS
7. KNOCKIN’ ON HEAVEN’S DOOR
8. HIP HUG HER
9. SOUL LIMBO
10. EVERYTHING IS EVERYTHING
11. TIME IS TIGHT
EC. WHEN SOMETHING IS WRONG WITH MY BABY
 
2nd
1. POUND IT OUT
2. BOOT-LEG
3. BORN UNDER A BAD SIGN
4. GREEN ONIONS
5. HEY JOE
6. KNOCKIN’ ON HEAVEN’S DOOR
7. PURPLE RAIN
8. HIP HUG HER
9. SOUL LIMBO
10. EVERYTHING IS EVERYTHING
11. TIME IS TIGHT
EC. TAKE ME TO THE RIVER

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