2017 4.10 mon., 4.12 wed., 4.13 thu.
BOOKER T. JONES
artist BOOKER T.
原田和典のBloggin' BLUE NOTE TOKYO
まずは精鋭メンバー3人がステージに登場し、ファンファーレのようなフレーズを高らかに響かせます。つづいてドラマーのダリアン・グレイが"東京のみんな、調子はどうだい? サム&デイヴ、オーティス・レディングなどと共演してきたロックンロール・ホール・オブ・フェイム、生きる伝説ことブッカー・T・ジョーンズの登場だ!"と熱く観客を煽り、場のボルテージを一気に高めます。大きな拍手のなか、ステージに登場したブッカーが弾き始めたのは「Hang 'em High」。もちろん往年の彼が率いていたバンド"ブッカー・T&ジ・MG's"の代表曲のひとつですが、ヒップホップを吸収したに違いないリズム・セクション、息子のテッド・ジョーンズによるロック色の濃いギター・サウンドが、この曲に新たな色彩を付け加えます。そして御大も、ほほえみをたたえながら、本当に丁寧に丁寧にオルガンを弾いていきます。この曲も、やはりこの夜プレイされた「Green Onions」や「Soul Limbo」にしても、おそらくブッカーは世界中のオーディエンスの前で通算何千、何万回も演奏してきたはずです。しかし旋律を荒っぽく崩したり、大向こうを狙うような派手な弾きまくりはしません。わかりやすく、メロディをしっかりと伝えてくれます。そこにぼくはブッカーの、曲や音楽に対する敬意を感じました。ここ数十年のライヴでは恒例となっているギターの弾き語りでは、"私はブルースで育ったようなものなんだ"という前置きから歌われた「Mannish Boy」が聴きものでした。シカゴ・ブルースの巨星マディ・ウォーターズが歌い、ローリング・ストーンズもカヴァーした重量級ナンバーですが、ブッカーは決してシャウトすることなく、ギターを指弾きしながら、むしろ"しっとり"という形容がぴったりきそうな歌唱を繰り広げます。「Grandma's Hands」ではテッドがリード・ヴォーカルをとり(歌い方が父親に似ています)、間奏では親子によるギターの掛け合いも聴かせてくれました。
「Green Onions」が大ヒットしたとき、ブッカーはまだ17歳だったそうです。以来50数年間、彼は音楽シーンの中心で、さまざまな名曲をつくり、さまざまなセッションを重ねてきました。MC中に飛び出すアルバート・キング、サム&デイヴ、ビル・ウィザース、ボブ・ディラン等とのエピソードは文字通りの値千金、改めて彼が「名曲の立役者」であったことが実感できました。近作『The Road From Memphis』にはザ・ルーツとのコラボで収録されているローリン・ヒルのカヴァー「Everything Is Everything」が取り上げられたのも、個人的にはとても嬉しかったです。ラストのバラード「When Something Is Wrong With My Baby」(サム&デイヴへの提供曲)では、1コーラス目をオルガンの弾き語り、長めのブレイク(休符)のあとに始まった第2コーラス目以降はギターの弾き語りで届けてくれました。スタンディング・オベイションの中、にこやかにステージを降りたブッカー。明日12日、そして13日の公演も限りなく期待大です!
(原田 2017 4.11)
Photo by Great The Kabukicho
2017 4.10 MON.
1st | |
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1. | HANG ’EM HIGH |
2. | SOUL DRESSING |
3. | BORN UNDER A BAD SIGN |
4. | GREEN ONIONS |
5. | MANNISH BOY |
6. | GRANDMA’S HANDS |
7. | KNOCKIN’ ON HEAVEN’S DOOR |
8. | HIP HUG HER |
9. | SOUL LIMBO |
10. | EVERYTHING IS EVERYTHING |
11. | TIME IS TIGHT |
EC. | WHEN SOMETHING IS WRONG WITH MY BABY |
2nd | |
1. | POUND IT OUT |
2. | BOOT-LEG |
3. | BORN UNDER A BAD SIGN |
4. | GREEN ONIONS |
5. | HEY JOE |
6. | KNOCKIN’ ON HEAVEN’S DOOR |
7. | PURPLE RAIN |
8. | HIP HUG HER |
9. | SOUL LIMBO |
10. | EVERYTHING IS EVERYTHING |
11. | TIME IS TIGHT |
EC. | TAKE ME TO THE RIVER |