2017 4.14 fri., 4.15 sat. @Blue Note Tokyo / 2017 4.16 sun. @Motion Blue Yokohama
KURT ROSENWINKEL'S CAIPI BAND @BLUE NOTE TOKYO
artist ANTONIO LOUREIRO , KURT ROSENWINKEL
原田和典のBloggin' BLUE NOTE TOKYO
「これは今年のベスト・アクトではないか!」
聴いているうちに鳥肌が立ち、動悸が早くなりました。どの曲もメロディ、リズム、ハーモニーすべてが美しく、幻想的で、ポップ。メンバー全員が絡み合いながら展開される音作りは、まるで大きなつづれおりのようです。
トップ・ギタリスト、カート・ローゼンウィンケル率いる"カイピ・バンド"が、最新傑作『カイピ』の香り高さを、ついに日本のファンにライヴで繰り広げる日がやってきました。これまでにも古典的なモダン・ジャズから、Qティップとの共同プロデュース『ハートコア』まで多彩な作品を発表してきたカートですが、今回はブラジル音楽への愛を全面的に吐露。鬼才アントニオ・ロウレイロを含む気鋭たちと共に紡ぎ出す世界は、むちゃくちゃ風通しが良く、徹底的に快いものです。カートのギターの音色はいわゆる「ジャズ」を演奏している時とはまた異なり、ちょっとパット・メセニーのギター・シンセサイザー風。バンドの演奏パターンはまずメロディを提示し、ラスト近くになって即興が含まれるアレンジが中心でした。その即興部分におけるカートはアグレッシヴなまでに弾きまくり、それがまたメロディ部分の優しさ、滑らかさと鮮やかなコントラストを描きます。彼はまた、曲によってちょっとハスキー&低めの声でリード・ヴォーカルもとりました。「カートって、歌もうまいんだ」と、ぼくはあらためて彼の多才ぶりに唸らされました。
ステージ前方で、カートと並んでパフォーマンスするペドロ・マルチンスも大変な逸材。名匠アミルトン・ヂ・オランダが賞賛を寄せ、2011年、18歳の時にアルバム『Sonhando Alto』でデビューしました。高くやわらかな歌声、広がりのあるキーボード・プレイ、ギターでは曲によってリード・パートもサイド・パートもこなします。彼に限らず、ロウレイロ、ピアノのオリヴィア・トラマー(リッチー・バイラークも絶賛するドイツ出身の気鋭)、ベースのフェデリコ・エリオドーロもコーラスが堪能です。女性(オリヴィア)の声+男性の高めの声+男性の低めの声が重なった「Casio Vanguard」のコーラス部分の美しさ、そして後半のサンバヘギ(samba reggae)的展開への移り変わり、まさしく息もつかせぬ展開です。
ペドロ・アスナールがいた頃のパット・メセニー・グループや、坂本龍一とアート・リンゼイの共演作などが大好物のリスナーにも、思いっきり訴えるサウンドだと思います。「ブルーノート東京」に集まったファンはみんな笑顔でこのライヴを聴いたでしょうし、演奏後、ステージ中央に集まって肩を組んだメンバーの表情は、実にさわやかで、達成感に溢れていました。ジャンル、国籍、世代、ジェンダーの区別を問わない彼らの現在進行形サウンドの、なんとピースフルなことか。カイピ・バンドが今後もコンスタントな活動を続け、第2弾、第3弾と作品を発表してくれることを願ってやみません。
(原田 2017 4.15)
Photo by Takuo Sato
●KURT ROSENWINKEL'S CAIPI BAND
- Japan Tour 2017 -
2017 4.14 fri., 4.15 sat. ブルーノート東京
2017 4.16 sun. モーション・ブルー・ヨコハマ
2017 4.14 FRI.
1st | |
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1. | CAIPI |
2. | KAMA |
3. | CASIO VANGUARD |
4. | ALL IS WELL |
5. | SONG FOR OUR SEA |
6. | LITTLE DREAM |
7. | CASIO ESCHER |
8. | LITTLE B |
EC. | PORTUGUESE |
2nd | |
1. | CAIPI |
2. | KAMA |
3. | CASIO VANGUARD |
4. | TIME MACHINE |
5. | KNOW THE ANSWER |
6. | CHROMATIC B |
7. | INTERSCAPE |
8. | RECOGNIZED |
9. | HOLD ON |
EC. | LITTLE B |