2017 4.16 sun., 4.17 mon., 4.18 tue.
SNARKY PUPPY
artist SNARKY PUPPY
原田和典のBloggin' BLUE NOTE TOKYO
カート・ローゼンウィンケル・カイピ・バンド(最終日はソールド・アウトになりました)の興奮と感動がさめやらぬなか、昨日からはスナーキー・パピーのステージです。ブルーノート東京に初登場したのは2013年のことですが、それから4年、改めて説明の必要がないほどの超人気ユニットへと躍進しました。「よく、こんなにオーディエンスを収容できたなあ」といいたくなるほどの超満員。観客もミュージシャンも、みんな笑顔です。
場内にみなぎる、いまにもはちきれそうな高揚感を受けて、スナーキー・パピーはしょっぱなから熱演につぐ熱演を繰り広げます。しかも今回はオルガンとキーボードに、あの名手ボビー・スパークスが参加しているのです。2012年にはジョージ・デュークとスタンリー・クラークの"クラーク=デューク・プロジェクト"(ちなみに故デュークは、今度発売されるロナルド・ブルーナーJr.のソロ・アルバムでも演奏しています)、2013年にはロイ・ハーグローヴの"RHファクター"でブルーノート東京の舞台を踏んでいるスパークスですが、この日のプレイもその名の通り「スパークしている」としかいいようのないものでした。すさまじく緩急の変化に富んだオルガン・プレイ、聴いていて思わず腰が動いてしまうクラヴィネット・・・やはり"RHファクター"で来日経験のあるドラマーのジェイソン・JT・トーマスの加入もあって、今回のスナーキー・パピーはより一層ファンク度、ソウル度アップです。ぼくは20世紀の終わりに「元祖コテコテ・デラックス」という本を書いたことがありますが、当時スナーキー・パピーがいたら、真っ先にとりあげていただろう、と確信しました。
リーダーのマイケル・リーグは決して目立たず4弦ベースでじっくりとアンサンブルの底辺を支え、小川慶太はさまざまなパーカッションを自在に操りながらリズムのコクを高めます。新作『Culcha Vulcha』からの、ブラジル音楽を取り入れた「Semente」も、ぼくはとても興味深くききました。というのはカート・ローゼンウィンケル・カイピ・バンドもブラジル音楽に強く影響を受けているからです。でもカートがミナス・インスパイア系だとすれば、スナーキーの同曲にはバイヨン風味もあって、個人的にはノルデスチ・インスパイア系と呼びたい気分でした。トランペットとフェンダー・ローズを兼任するジャスティン・スタントン、クリス・ブロックのテナー・サックスとフルートを瞬時に使い分ける早業も見事。マイク・マー(Maher)はトランペットもフリューゲルホーンも絶品、とくに後者のトーンはブラス楽器の輝かしさ+トランペットとは異なる独特の太さ・柔らかさを兼ね備えたもので、'90年代頃までのトム・ハレルに十分匹敵する、すばらしく秀逸なフリューゲルホーン・プレイであると感じ入ったのは自分だけではないと思います。
ちょっとビートルズの「You Won't See Me」を思わせるメロディも聴こえる「Quarter Master」で幕を閉じた初日ファースト・セット。空前絶後の32枚組CD『World Tour 2015 Collector's Edition Box Set』を出しているほどの"根っからのライヴ・バンド"、スナーキー・パピーの、今このときに放つ音をぜひ、目の前で体感してください。公演は18日まで!
(原田 2017 4.17)
Photo by Tsuneo Koga
2017 4.16 SUN.
1st | |
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1. | GØ |
2. | GROWN FOLKS |
3. | KITE |
4. | TAROVA |
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EC. | QUARTER MASTER |
2nd | |
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EC. | SHOFUKAN |