2017 5.3 wed., 5.4 thu.
The EXP Series #10 / ANDREA MOTIS & JOAN CHAMORRO QUINTET -EMOTIONAL DANCE-
artist ANDREA MOTIS , JOAN CHAMORRO
原田和典のBloggin' BLUE NOTE TOKYO
「重鎮バリトン&ベース奏者が、15歳の天才女性シンガーとコラボ・・・・バリトン・サックスとベースの双方で高い評価を集める異色の存在がジョアン・チャモロです。このアルバムは彼と注目の逸材、アンドレア・モティスのコラボレーションを収めたもので、現代ヨーロッパ・ジャズ屈指の若手女性ミュージシャンといわれるアンドレアのプレイを初めて大きくフィーチャーしたCDとしても話題沸騰しています。アンドレアはアルトやソプラノ・サックス、トランペットを演奏し、歌も歌います」
これは2010年にレコーディングされたアルバム『Joan Chamorro / Andrea Motis / Presenta Andrea Motis Feat. Bobby Gordon』が輸入盤取扱店を通じて国内発売される際に、ぼくが書いた文章です。そして2012年の次作『Feeling Good』用には、こう記しました。
「名コンビの第2弾。17歳になったアンドレアの歌声に注目・・・・ジョアン・チャモロはマドリッドの音楽院のジャズ教授としても活動しています。そしてアンドレア・モティスは、その生徒です。アンドレアの才能に圧倒されたジョアンは、直ちに彼女を自身のグループに招きます。このアルバムはコンビ結成の第2作目。アンドレアは1995年生まれとのことですから、今年まだ17歳。しかしその歌声は、キュートな中にも深みがあり、いかにジャズを深く愛しているかが伝わってくるものです」
大変な逸材であることは当時から存じあげていましたが、ここまでの人気者になるとは予想だにしなかった、というのが本音です。スペインのTemps RecordやDiscmediからコツコツと作品を出していたところを名門インパルス・レーベルに認められて21歳でワールド・デビュー。その第1作『エモーショナル・ダンス』が話題を集め、ついに「ブルーノート東京」初公演。初日のファースト・セットから驚くほどの大入り満員、怒涛のような拍手と歓声がオーディエンスから巻き起こります。いろんな楽器ができるところを、あえてトランペットとヴォーカルに絞り、女性版チェット・ベイカー風のスタイルでプレゼンテーションしたところも成功した理由のひとつかもしれません。
プログラムは英語曲が7割、ほかはポルトガル語、スペイン語、カタラン語といったところ。「I Didn't Tell Them Why」「Emotional Dance 」などオリジナル・ナンバーに加え、20世紀の名曲も次々と取り上げられました。しかしそこにちょっとしたひねりを加えるのがアンドレア流で、たとえばビリー・ホリデイが名唱を残す「He's Funny That Way」にはボサ・ノヴァ風のアレンジが施され、先日行なわれたヘレン・メリルの日本ラスト公演でも歌われた「You'd Be So Nice To Come Home To」はちょっと気怠いテンポとスウィンギーなテンポの2種を使い分けながら進行します("August Moon"という歌詞を"Highest Moon"と変えていました)。またアンドレアは『ナンシー・ウィルソン&キャノンボール・アダレイ』というアルバムが大好きなようで、そこから「The Old Country」、「Never Will I Marry」という通好みのレパートリーも聴かせてくれました。師匠のジョアン・チャモロ(今回はベースに専念)、'80年代から活動するピアノの名手イグナシ・テラーザを含むバックも、アンドレアの歌とトランペットをキメ細かに引き立てます。また前述「Never Will I Marry」ではドラムスのエステベ・ピ(1977年生まれ)が、アート・ブレイキー直系のロング・ソロで盛り上げました。彼にしろ、アンドレアにしろ、本当にグッド・オールド・デイズのジャズを愛し、熱心に聴いています。
公演は本日も開催されます。バルセロナから世界へと飛翔するアンドレアがおくる会心のステージをお見逃しなく!
(原田 2017 5.4)
Photo by Takuo Sato
2017 5.3 WED.
1st | |
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1. | I’M AN ERRAND GIRL FOR RHYTHM |
2. | THE OLD COUNTRY |
3. | HE’S FUNNY THAT WAY |
4. | EMOTIONAL DANCE |
5. | YOU’D BE SO NICE TO COME HOME TO |
6. | CARINHOSO |
7. | I DIDN’T TELL THEM WHY |
8. | IF YOU GIVE THEM MORE THAN YOU CAN |
9. | NEVER WILL I MARRY |
10. | VALERIE |
11. | LOUISIANA O ELS CAMPS DE COTO |
EC. | BESAME MUCHO |
2nd | |
1. | ON A SENTIMENTAL SIDE |
2. | I’M AN ERRAND GIRL FOR RHYTHM |
3. | EMOTIONAL DANCE |
4. | NEVER WILL I MARRY |
5. | QUE RESTE-T-IL |
6. | I DIDN’T TELL THEM WHY |
7. | VALERIE |
8. | LA GAVINA |
9. | HE’S FUNNY THAT WAY |
10. | SENOR BLUES |
11. | CARINHOSO |
12. | FLOR DE LIS |
EC1. | POOR BUTTERFLY |
EC2. | BESAME MUCHO |