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原田和典のBloggin' BLUE NOTE TOKYO


スペイン北東部バルセロナから若手気鋭のアンドレア・モティスがやってきたのも記憶に新しいところですが、昨日からは北西部のガリシア州、ア・コルーニャ県に生まれた大御所、ルス・カサルが「ブルーノート東京」に登場しています。表情豊かな歌声、エレガントなパフォーマンスは、あらゆるヴォーカル・ファンを魅了することでしょう。イル・ディーヴォのカルロス・マリンも、彼女の大ファンとして知られています。

ルスは'80年にレコード・デビューを果たし、'82年に初アルバムをリリース。ペドロ・アルモドバル監督の「ハイヒール」にも代表曲「Piensa En Mi」が使われています。スペインはもとより、メキシコやニューヨークでも高い人気を誇り、スペイン初のポップ・シンガーとしてパリの名門"オランピア劇場"にも登場しています。そんな彼女の演唱を、手の届くような距離で楽しめるのは快挙のひとことに尽きます。

バック・メンバーはフラン・ルビオ(ピアノ)、ピーター・オテオ(ベース)、ティノ・ディ・ジェラルド(ドラムス)。個人的には元パコ・デ・ルシア・バンドのメンバー、ティノの参加も見どころのひとつでした。彼はきめ細かなドラム・プレイを聴かせるだけではなく、巧みにバック・コーラスをつけ、さらに曲によってドラムの椅子を離れてアコースティック・ギターでルスをサポートしました。曲目は日本での最新作『ラ・パシオン』からのナンバーが中心。メリハリに富んだルスのスペイン語ヴォーカルに、ジャズへの造詣も深い3人の楽器演奏が、自由自在に絡みます。日本ではとくにペレス・プラード楽団の演奏でヒットしたスタンダード・ナンバー「Historia De Un Amor」(ある恋の物語)、「Mar Y Cielo」、「Alma Mia」など、60年も70年も前に書かれた楽曲を、ルスは現代に、さわやかに蘇らせます。もちろん「Piensa En Mi」も聴かせてくれましたし、作者ジャクソン・ブラウン自身から賞賛を浴びたというカヴァー「These Days」(青春の日々)も、もちろん歌いました。まさにベストといえる選曲で、ルスは日本のファンをもてなしてくれるのです。

スタンド・マイクの前に立って熱唱し、両手を大きく広げたり、自分を抱きしめるようなポーズをとったり、天高く指さしたり。華麗なアクションもまた、このライヴの大きな見ものです。そして"おじぎ"の美しさ! 格調高さと親しみやすさを兼ね備えたルス・カサルのステージは、14日まで続きます。
(原田 2017 5.13)


Photo by Yuka Yamaji

SET LIST

2017 5.12 FRI.
1st
1. MAR Y CIELO
2. ALMA MIA
3. HISTORIA DE UN AMOR
4. ENTRE MIS RECUERDOS
5. NO ME IMPORTA NADA
6. UN NUEVO DIA BRILLARA
7. PIENSA EN MI
8. GRACIAS A LA VIDA
9. CENIZAS
10. THESE DAYS
11. NO,NO Y NO
12. UN ANO DE AMOR
EC1. LO ERES TODO
EC2. PLANTADO EN MI CABEZA
 
2nd
1. MAR Y CIELO
2. ALMA MIA
3. HISTORIA DE UN AMOR
4. ENTRE MIS RECUERDOS
5. NO ME IMPORTA NADA
6. UN NUEVO DIA BRILLARA
7. PIENSA EN MI
8. GRACIAS A LA VIDA
9. CENIZAS
10. THESE DAYS
11. NO,NO Y NO
12. UN ANO DE AMOR
EC1. LO ERES TODO
EC2. PLANTADO EN MI CABEZA
EC3. DAME UN BESO
EC4. ALMAS GEMELAS

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