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原田和典のBloggin' BLUE NOTE TOKYO


ファンク、ラテン、ジャズ、ロックのダシが利いた、たまらなく香り高いブイヤベース。それがウォーの音楽です。結成は1969年、米国西海岸カリフォルニアのロング・ビーチにて。'66年にはサンタナ、'67年にはスライ&ザ・ファミリー・ストーンがそれぞれサンフランシスコで、'68年にはタワー・オブ・パワーがオークランドで産声をあげています。当時のウエスト・コーストには、音楽の女神がいたのかもしれません。

現在のウォーは、唯一のオリジナル・メンバーであるキーボード奏者ロニー・ジョーダンを中心とする7人編成で、そのプログラムは、"ベスト・オブ・ウォー"といえるものばかり。ロニーが「この曲、知ってるよな?」と観客に問いかけ、イントロが鳴り出すと盛大な声援や拍手が沸き起こるという展開が、この日何度あったことでしょう。バンドが「The Cisco Kid」の演奏を始めると、ロニーは客席に入りこみます。「歌いたいひとはいるか?」。それに応えた男性が渋い声でリフレインを歌い切り、ロニーを大いに喜ばせる場面もありました。

「Spill the Wine」で一度リラックスさせた後、ロニーの「君たちを銀河に連れていこう。10,9,8・・・」というカウントダウンで始まったのはディスコ調の「Galaxy」。ここではテナー・サックスのスコット・マーティンとハーモニカのスタンリー・ベーレンスが熱いソロの応酬を繰り広げました。スコットはポンチョ・サンチェス、モンゴ・サンタマリア、ティト・プエンテらラテン界の巨匠との共演でも知られるベテラン。スタンリーはニューヨーク・ブロンクス出身でアリス・クーパー、ルース・ブラウン、ジミー・スミス(ジャズ・オルガンの巨匠)、ウィリー・ディクソン等との共演を経て2011年、ウォーに参加しました。年季の入ったファンの中には「ウォーのハーモニカ=リー・オスカー」というイメージをお持ちの方もいらっしゃるかもしれませんが、スタンリーのブルース色の濃い、土臭い、絞り出すようなフレーズは確実にグループに新しい魅力を付け加えています。ラストは「Why Can't We Be Friends?」と「Low Rider」の2連発。ロニーはキーボードと歌のほか、カウベルを叩いたり、客席にVサインを掲げたり、ジャンプしたりと大忙し。メンバー全員が勢いのあるプレイを聴かせてくれましたが、なかでも来年70歳を迎える彼の覇気は格別です。本日もウォーは最高に躍動的なサウンドで"ラブ&ピース"を伝えてくれるに違いありません。
(原田 2017 5.16)

Photo by Great The Kabukicho

SET LIST

2017 5.15 MON.
1st & 2nd
1. ME AND BABY BROTHER
2. SLIPPIN’ INTO DARKNESS
3. THE CISCO KID
4. SPILL THE WINE
5. GALAXY
6. ALL DAY MUSIC
7. SO
8. WHY CAN’T WE BE FRIENDS?
9. LOW RIDER

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