2017 5.23 tue., 5.24 wed., 5.25 thu.
STANLEY CLARKE
artist CALEB McCAMPBELL , STANLEY CLARKE
原田和典のBloggin' BLUE NOTE TOKYO
1970年代に衝撃のデビューを果たして以来、華やかそのもののベース・プレイで第一線に立ちつづけるスタンリー・クラーク。近年は若手発掘の名人としても知られる彼が、最新ユニットを率いて公演中です。
前半はエレクトリック・ベースを用いたパフォーマンスが続きます。エッジの立った高音、コード(和音)やスラップ奏法を交えたプレイは、まさしくワン&オンリー。メロディにアドリブにと、大きな手や長い指がフレット上を踊るように動きます。サポートはルスラン・シロタ、ケレブ・マッキャンベル、マイケル・ミッチェルという気鋭揃い。ルスラン(2006年のスタンリー公演で「ブルーノート東京」初登場)はフェンダー・ローズ系の音色を多用し、ケレブはベンド(音程を上下にずらすテクニック)も用いながらシンセサイザーを弾きまくりました。ツイン・キーボードが生み出すコントラストも、このバンドの面白さのひとつです。ドラムスのマイケルはグループ最年少で今年23歳。話題の"テキサス人脈"のひとりで、幼いころからジェイソン"JT"トーマスやボビー・スパークス(先日スナーキー・パピーで来日)と交流がありました。無駄のない上半身の動き、肉眼で捉えられないほど早いスティックさばきは、まるで千手観音です。すさまじい手数による大迫力のプレイは、ライヴに接したすべてのファンに興奮をもたらすことでしょう。それでいて、抑えるところはしっかり抑えるのも、このバンドの魅力。チャールズ・ミンガスが書き、ジェフ・ベックもとりあげたバラード「Goodbye Pork Pie Hat」は、スタンリー・クラーク・バンドの"静"の一面があらわれた快演でした。
後半、スタンリーはアップライト・ベースに持ち替えます。エフェクターを使ったプレイは、カマシ・ワシントン・バンドの気鋭マイルス・モズリーにも影響を与えているのではないでしょうか。勢いよくリード・メロディを奏で、ソロ・パートでは弦を弾くことにとどまらず、胴体を叩いてパーカッションのような効果を生み出していました。オーラスでは、チック・コリア&リターン・トゥ・フォーエヴァー在籍時代のレパートリーである「No Mystery」を演奏。チックへの敬愛を強く感じさせるルスランのアコースティック・ピアノにスタンリーのベースが絡み、さらなる興奮を届けました。
公演は25日まで続きますが、スタンリー・バンドの門下生は以降も次々とブルーノート東京に姿を見せてくれます。翌26日には元メンバーのロナルド・ブルーナーJr.が自身のユニットで登場し(27日と28日はコットンクラブで公演)、7月半ばにはケレブが今度は自身中心のユニット"ザ・ファンキー・ナックルズ"で来日。Blue Note JAZZ FESTIVAL in JAPAN 2017にはカマシ・ワシントンの出演も決定しています。かつてアート・ブレイキー、デクスター・ゴードン、スタン・ゲッツなど父親のような世代に抜擢されて腕を磨いたスタンリーは、今、自らが"長"となってネクスト・ジェネレーションに刺激を与えているかのようです。
(原田 2017 5.24)
Photo by Tsuneo Koga
●RONALD BRUNER, Jr.
2017 5.26 fri. ブルーノート東京
2017 5.27 sat., 5.28 sun. コットンクラブ
●The EXP Series #12
THE FUNKY KNUCKLES
2017 7.15 sat., 7.16 sun. ブルーノート東京
2017 5.23 TUE.
1st | |
---|---|
1. | WILD DOG |
2. | LOPSY LU |
3. | GOODBYE PORK PIE HAT |
4. | BRAZILIAN LOVE AFFAIR |
5. | SONG TO JOHN |
EC. | NO MYSTERY |
2nd | |
1. | WILD DOG |
2. | LOPSY LU |
3. | GOODBYE PORK PIE HAT |
4. | BRAZILIAN LOVE AFFAIR |
5. | SONG TO JOHN |
EC. | MOTHERSHIP CONNECTION |