LIVE REPORTS

ARTIST ARCHIVES

MONTHLY ARCHIVE

VIDEO ARCHIVES


RONALD BRUNER, Jr. @BLUE NOTE TOKYO

artist RONALD BRUNER, Jr.

REPORT

原田和典のBloggin' BLUE NOTE TOKYO


ついにこの日がやってきました! 超絶重量級グルーヴ・マシーン、ロナルド・ブルーナーJr.が傑作ファースト・ソロ・アルバム『Triumph』を携えて堂々の登場です。スタンリー・クラーク、カマシ・ワシントン、チャカ・カーン等と来日しているロナルドですが、自身のユニットによる日本公演はこれが初めて。先月は実弟のベース奏者サンダーキャット(スティーブン・ブルーナー)も我が国で熱演したばかり。やはり弟であるキーボードのジャミール・ブルーナーも評判を集めていますし、ブルーナー兄弟は現代の音楽シーンに欠かすことのできない台風の目と断言できるはずです。父親はダイアナ・ロスやテンプテーションズと共演したロナルド・ブルーナーSr.。とんでもない天才一家です。

ステージに目を移すと、いやがおうも視界に飛び込んでくるのが中央に配置された巨大なドラム・セットです。テリー・ボジオや往時のビリー・コブハムほどではないとはいえ、おびただしい数のシンバル、タム、3個のバスドラが配置された図は"要塞"という言葉がぴったりです。蛍光スティックを恐ろしい速さで動かしながら、ロナルドはまるで音のカーペットを敷きつめるようにプレイを続けていきます。無駄ひとつない動き、粒のそろった音色、すべての音がタムやシンバルの"いちばん豊かに鳴る位置"に命中しているといえばいいでしょうか。目の前で演奏ぶりを確認しているのに、それでもなお「ほんとうに彼には2本の腕、2本の脚しかついてないのか?」と疑問に思わずにいられない凄さです。スティックを降ろしてタムを鳴らし、その反動を利用してスティックをあげてシンバルの裏側をヒットして図太いトーンを出す場面に、鳥肌の立たないドラム・ファンはいないと思います。

ワン・セットで、彼のドラム・ソロが聴ける時間は決して長くありません。つまりほとんどの時間、サポートに徹しています。そのサポートに使われるテクニックとエネルギーがすごいのです。バンド・サウンドの中心は、間違いなく彼のプレイです。怒涛のようなドラミングに煽られ、ソリストたちが極限まで燃え上がるのです。そして今回、ロナルドはシンガーとしての魅力も発揮します。弾き語りならぬ、叩き語りです。優しくセクシーな声でラヴ・ソングを歌い、その合間に歯切れ良いフィル・インを入れます。セカンド・ドラマーのラマー・カーター(ラファエル・サディークらと共演)も曲によって参加し、心地よいアクセントで主役の歌を鼓舞していました。

演目はチック・コリアに捧げた「Chick's Web」(デニス・ハムとランディ・エマタのツイン・キーボードが効果的でした)、故ジョージ・デュークをしのんで選曲された「Geome Deome」、メロウな一面を押し出した「Whenever」などアルバム収録曲が中心。CDを先に聴いてライヴに行っても楽しめること間違いなしですし、さきにライヴを体験した方はCDも欲しくなること間違いなしです。『Triumph』についてぼくは、「ミュージック・マガジン」誌に寄稿しましたので、そちらもぜひご覧いただけると幸いです。「ブルーノート東京」公演は終了してしまいましたが、本日27日と28日は「コットンクラブ」に登場します。ドラマー、歌手、リーダーとして乗りに乗るロナルド・ブルーナーJr.の世界を、ぜひどうぞ!
(原田 2017 5.27)


Photo by cherry chill will


●RONALD BRUNER, Jr.
2017 5.27 sat., 5.28 sun.  コットンクラブ
詳細はこちら

SET LIST

2017 5.26 FRI.
1st
1. LEAD BOOTS
2. TO YOU / FOR YOU
3. WHENEVER
4. CHICK’S WEB
5. SOMETIMES
6. GEOME DEOME
EC. NAUTILUS
 
2nd
1. LOUD JAZZ
2. SHE’LL NEVER CHANGE
3. OPEN THE GATE
4. SOMETIMES
5. ONE NIGHT
6. TAKE THE TIME
7. CHECK THE RHYME
EC. NAUTILUS

INDEX