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THE "ORIGINAL" BLUES BROTHERS BAND

artist BLUES BROTHERS BAND , STEVE CROPPER

REPORT

楽しさいっぱい、極上のソウル・レビュー。
続いていくことの素晴らしさ。

 世の中には"不確かなもの"と"間違いないもの"がある。ブルース・ブラザーズ・バンドのライブは後者だ。"間違いなく"いい。"間違いなく"楽しい。"今日はダメだった"なんてことがない。何度目であろうが、メンバーたちが登場して音が鳴った瞬間、"これこれ、これですよ"と昂っちゃう。

 初めから煽ったりするわけではない。『サタデーナイト・ライヴ』のバンド奏者を23年間努めるなどして70年代から活躍するレオン・ペンダーヴィスがさりげなく味わい深い鍵盤を弾くところから始まり、バンド柱のスティーヴ・クロッパーがステージ正面で少し前に出てギターを弾き出すあたりはまだ落ち着いたトーンなのだが、あとから凄腕ギタリストのジョン・トロペイ(*まもなくスティーヴ・ガッドやルー・マリーニらをフィーチャーした自己バンドでの公演も控えてますね)と、クロッパーと並ぶバンド柱であるサックスのルー・マリーニを中心にしたホーン隊が加わると、途端にそこにグルーヴが生まれる。そしてジョン・ベルーシ&ダン・エイクロイドの役割を担うヴォーカルのトミー・マクドネルとロブ・パパロッツィが登場するや一気に華やぎが。で、ふたりが腕くんで向き合ったり後ろ向いたりするところに「She Caught The Katy」のあのイントロがかぶされば、ブワ~っと頭に浮かばないわけにはいかない映画『ブルース・ブラザース』の始まりのシーン。そんな序盤の組み立てだけでもう、"うまいなぁ。ショーのなんたるかを熟知してんなぁ"と唸ってしまうのだ。

 因みにヴォーカルのマクドネルとパパロッツィ、とりわけエイクロイドの役割を担うパパロッツィは、歌も(動きも)いいが、それにも増してハーモニカがすこぶる上手い。とてつもなく上手い。今回それを改めて実感。何度かある彼のハーモニカ・ソロは聴きどころのひとつだと、ここにしっかり書いておこう。

 さて、見どころ聴きどころは中盤以降さらにモリモリになっていくわけだが、そのうちのひとつが、3人目のヴォーカリストであるボビー"スウィートソウル"ハーデン(あ、そうそう、もうけっこう前からバンドはヴォーカリスト3人体制なんですよ。いいんですよ、それがまた)が全身黒から全身白へと衣装を変えてキャブ・キャロウェイの「Minnie The Moocher」を歌うそれ。映画版よろしくハイディハイディハイディハ~イとやれば、客がそれに応え......っていうコール&レスポンスによって、ブルーノートがあのシカゴの教会になったよう。ハーデンは動きも軽やかだし声にも柔らかな弾力があり、このバンドのよき推進力になったよなぁと、これまた改めて実感させられた一場面だった。

 そして終盤はヴォーカリスト3人が揃って、みんなが知ってるあれやこれやの代表曲を。ザッツ・ソウルレビュー。楽しいったらありゃしない。それとあと、クロッパーと共にずっとバンドを前に進めてきたマリーニ(この日は寿司ネタが描かれたTシャツを着てました)がひとりひとりメンバーを紹介して、観客に感謝の弁を述べるところ。そこからは彼のバンド愛とか、ここまで続けてきたことの誇りとか、いろいろ感じられてグッときた。メンバーの誰かが亡くなったりして変わっても、それでも続いていく(続けていく)ことの素晴らしさ。それも多いに感じられたショーだった。


text : 内本順一(うちもとじゅんいち)
音楽ライター。一般誌や音楽ウェブサイトでコラムやインタビュー記事を担当し、ライナーノーツも多数執筆。ブルース・ブラザーズの影響下にある関西のバンド、ザ・たこさんを愛し、両者の共演を願い続けている。


Photo by Tsuneo Koga

●THE "ORIGINAL" BLUES BROTHERS BAND
2017 6.2 fri., 6.3 sat., 6.5 mon., 6.6 tue.  ブルーノート東京
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●JOHN TROPEA BAND featuring STEVE GADD, "BLUE" LOU MARINI, LARRY FARRELL, LEON PENDARVIS, ZEV KATZ & DAVE RIEKENBERG with special guest RANDY BRECKER
2017 6.11 sun.  モーション・ブルー・ヨコハマ
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2017 6.12 mon., 6.13 tue.  ブルーノート東京
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SET LIST

2017 6.2 FRI.
1st
1. GREEN ONIONS
2. PETER GUNN THEME
3. SOUL FINGER
4. GOING BACK TO MIAMI
5. SHE CAUGHT THE KATY
6. MESSIN’ WITH THE KID
7. FLIP, FLOP & FLY
8. SHOTGUN BLUES
9. MINNIE THE MOOCHER
10. SWEET HOME CHICAGO
11. SOUL MAN
EC1. YOU GOT ME RUNNIN’
EC2. EVERYBODY NEEDS SOMEBODY TO LOVE
 
2nd
1. GREEN ONIONS
2. PETER GUNN THEME
3. SOUL FINGER
4. GOING BACK TO MIAMI
5. SHE CAUGHT THE KATY
6. MESSIN’ WITH THE KID
7. GROOVE ME
8. SHOTGUN BLUES
9. MINNIE THE MOOCHER
10. SWEET HOME CHICAGO
11. SOUL MAN
EC1. CHEAPER TO KEEP HER
EC2. FUNKY NASSAU
EC3. EVERYBODY NEEDS SOMEBODY TO LOVE

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