2017 6.15 thu., 6.16 fri., 6.17 sat., 6.18 sun.
BILL FRISELL : WHEN YOU WISH UPON A STAR featuring PETRA HADEN, THOMAS MORGAN & RUDY ROYSTON
artist BILL FRISELL , PETRA HADEN
原田和典のBloggin' BLUE NOTE TOKYO
今週のブルーノート東京は、名ギタリストの登場が続きます。ジョン・トロペイに続いて、昨日からはビル・フリゼールの公演が行われています。
フリゼールはこの1月上旬、チャールズ・ロイドのバンド"マーヴェルズ"の一員として登場し、絶好調のプレイを聴かせたばかり。それから半年もたたないうちに、自身のユニットで戻ってきてくれたのは「嬉しい」のひとことです。彼はオリジナル曲と共に、よく知られたポップス・ナンバーも数多く演奏します。その解釈が、また絶品なのです。あまりにもよく知られたメロディが、彼独特のト―ン、ハーモニー、リズム感によって、新鮮そのものの響きとして呈示されていきます。それは、まるで錬金術のようです。
ぼくが見た初日も、「こんな有名で古典的な曲が、これほどまでにフレッシュに生まれ変わるなんて!」と声をあげたくなることが何度もありました。共演メンバーはルディ・ロイストン(ドラムス)、トーマス・モーガン(ベース)、ペトゥラ・ヘイデン(ヴォーカル)という実力者たち。ぼくはいきなり冒頭の「When You Wish Upon a Star」でノックアウトされました。フリゼールもモーガンもロイストンも明確なリズムを刻みません。彼らは絡み合うように音を出して、幻想的なムードを生み出します。そこにペトゥラの清らかで伸びのある歌声がスッと入り込みます。それぞれが自分の体内にあるリズムに従いながら、四者四様の"星に願いを"を表現し、それが重なりあって、シンフォニーのような音の厚みで迫ってくる、といえばいいでしょうか。
プログラムの中盤では、同名異曲を続けて演奏するという面白い趣向も見せてくれました。ひとつはバート・バカラックが作曲し、ディオンヌ・ワーウィックやシラ・ブラックの歌でヒットした「Alfie」、そしてもうひとつはサックス奏者ソニー・ロリンズが書いた「Alfie」です。前者はペトゥラの美声のショウケースというべきアレンジで、フリゼールはそこにぴったり寄り添うようなコード(和音)で"歌伴の名手"ぶりをいかんなく発揮します。そして後者では、モーガンとロイストンが刻む歯切れ良い4ビートにのって、「グルーヴィー」と呼びたくなるような長尺のアドリブを披露。ぼくはロン・カータ―やエルヴィン・ジョーンズとの共演盤など、いわゆるモダン・ジャズの巨星と演奏しているフリゼールのアルバムも聴いています。しかし、ここまでモダン・ジャズを感じさせる彼のアプローチを聴いたのは、この日が初めてです。まさかロリンズのヴァージョンに入っているケニー・バレルのプレイを意識したわけではないでしょうが、フリゼールがここまで"ジャズ保守本流"に徹したプレイを行なうとは、完全に予想外でした。
公演は18日まで続きますが、1回として同じセットリストがないとのこと。多彩なレパートリーを持っているフリゼールだけに、どんな曲がどんなアレンジで提供されるのか、期待はいやがおうにも高まります。
(原田 2017 6.16)
Photo by Yuka Yamaji
2017 6.15 thu.
1st | |
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1. | WHEN YOU WISH UPON A STAR |
2. | IT CHANGES |
3. | TO KILL A MOCKINGBIRD, PART1&2 |
4. | ALFIE |
5. | ALFIE’S THEME |
6. | LUSH LIFE |
7. | YOU ONLY LIVE TWICE |
EC. | WHAT THE WORLD NEEDS NOW |
2nd | |
1. | MOON RIVER |
2. | THE GODFATHER |
3. | THE SHADOW OF YOUR SMILE |
4. | ONCE UPON A TIME IN THE WEST |
5. | BAMA DRAMA |
6. | THE WINDMILLS OF YOUR MIND |
7. | GOLDFINGER |
EC. | WHAT THE WORLD NEEDS NOW |