2017 6.25 sun.
DEBBIE SLEDGE from SISTER SLEDGE with NIELS LAN DOKY TRIO plays "Soul Music"
artist DEBBIE SLEDGE , NIELS LAN DOKY
原田和典のBloggin' BLUE NOTE TOKYO
これは興味深いステージです。ディスコ黄金時代を象徴するユニット"シスター・スレッジ"の一員であるデビー・スレッジと、デンマークの人気ジャズ・ピアニストであるニルス・ラン・ドーキーの共演。しかもテーマが"ソウル・ミュージック"! いったいどんなエキサイティングな内容になるのか、ぼくはわくわくしながら会場に向かいました。
まず先にインストゥルメンタル演奏があり、その後デビーが登場するのかなと思ったのですが、1曲目から4人全員でステージを飾ります。楽器はすべてアコースティックです。オープニングはマーヴィン・ゲイが'77年にリリースした「Got to Give It Up」、続いては比較的近年のナンバーからファレル・ウィリアムズの「Happy」。デビーは幅広い声域を生かしながら軽やかに歌い、ニルスも存分にロング・ソロを繰り広げます。
続いてはデビーの自作「My Theme」。ニルスは"パフォーマンスするたびに違う雰囲気になる曲なので、今日も展開がどうなっていくかわからない"と演奏前に語りました。ぼくは「ポップスで、"先がわからない"という曲は珍しいな」と思ったのですが、聴いて「なるほど」と感じました。これはデビーなりのモード・ジャズなのです。彼女は伸びやかなロング・スキャットを披露。ニルスもドラマティックなピアノ・プレイで彼女の熱唱に応えます。デビーとニルスは2014年1月、コペンハーゲンで初めて出会ったそうです。共演したところとてもうまくいき、それが英国、フランス、そして今回の日本公演につながりました。アーマッド・ジャマルの名演「Poinciana」風のリズムを打ち出すニクラス・バーデレーベン(ドラムス)とトビアス・ダル(ベース)も快調です。
「みんな、ジェイムズ・ブラウンは好き?」という問いかけの後は、'60年代の名曲「There Was a Time」と「It's a Man's Man's Man's World」を熱唱します。"この世は男の世界。だけど女がいなけりゃ何も生まれやしない"というジェイムズの歌詞を、女性のデビーが歌うのは実に新鮮です。ほかにもプリンスの「Kiss」や、ユージーン・マクダニエルズが書き(彼は「Feel Like Makin' Love」の作者でもあります)、レス・マッキャンの歌とピアノで広まった「Compared to What」などを快唱しました。
「あの曲はやらないのかな」と思っていたら、ニルスがエレガントなイントロを弾き始めます。ボサ・ノヴァ風のリズムが強まったころ、観客の拍手と声援が一段と大きくなります。そうです、お待ちかねの「We Are Family」です。ナイル・ロジャースとバーナード・エドワーズの黄金コンビがプロデュースした、超特大ヒット曲。ぼくは「ブルーノート東京」で行なわれたナイルのライヴでも聴いたことがありますが、まさか本家本元のデビーの歌声で楽しめるとは夢にも思いませんでした。後半では、ファンとリフレインを大合唱し、さらに場内を盛り上げました。
ニルスとデビーのステージは、本日、明日と続きます。こちらの演目は25日とは若干異なり、新作『インプロヴィゼーション・オン・ライフ』からのナンバーを中心にした構成。ヴォーカルにはもうひとり、アマンダ・トムセンも加わります。日本とデンマークの外交関係樹立150周年にふさわしい、豪華な夜はまだまだ続きます。
(原田 2017 6.26)
Photo by Makoto Ebi
●本日からはヴォーカルにアマンダ・トムセンも加わり、
最新作"Improvisation on Life"をフィーチャーする公演が開催!
NIELS LAN DOKY TRIO "Improvisation on Life"
featuring DEBBIE SLEDGE from SISTER SLEDGE & AMANDA THOMSEN
2017 6.26 mon., 6.27 tue. ブルーノート東京
2017 6.25 SUN.
1st & 2nd | |
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1. | GOT TO GIVE IT UP |
2. | HAPPY |
3. | MY THEME |
4. | THERE WAS A TIME |
5. | IT’S A MAN’S MAN’S MAN’S WORLD |
6. | KISS |
7. | COMPARED TO WHAT |
8. | NATURE BOY |
9. | WE ARE FAMILY |
EC. | HARLEM |