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The EXP Series #11 / BRANDEE YOUNGER

artist BRANDEE YOUNGER , RAVI COLTRANE

REPORT

原田和典のBloggin' BLUE NOTE TOKYO


"リスペクト・トゥ・アリス・コルトレーン&ドロシー・アシュビー"、そう呼びたくなるステージでした。新世代ジャズ・ハープ奏者、ブランディ・ヤンガーが話題作『Wax & Wane』を携えて遂に初来日。興味深いメンバーと共に、スピリチュアルでファンキーな世界を繰り広げています。

オープニングは先ごろ登場したアリスのコンピレーション『World Spirituality Classics 1: The Ecstatic Music of Alice Coltrane Turiyasangitananda』から「Rama Rama」。黒田卓也のバンドで来日したことも記憶に新しいラシャーン・カーター(ベース)とアダム・ジャクソン(ドラムス)のコンビが送り出す強靭なリズムに乗って、ブランディのハープが音を紡ぎます。実をいうとぼくはジャズ・コンボで演奏されるハープを、今回初めてライヴで聴きました(エドマール・カスタネーダのアルパ演奏に接したことはありますが)。舞うような両手両腕の動き、華麗なトーンに圧倒されるばかりです。

つづく「Games」はドロシーのナンバー。ここからアン・ドラモンドのフルート、マーク・ホイットフィールドのギターが加わります。アンはピアノ奏者ケニー・バロンやヴィブラフォン奏者ステフォン・ハリスのバンドでも活動した逸材。そしてマークはロイ・ハーグローヴ、ジョシュア・レッドマン、クリスチャン・マクブライド等とほぼ同じ時期にジャズ界に颯爽と登場した"'90年代の若手"です。先日まで「コットンクラブ」にファミリー・バンドを率いて出演していましたが、そのまま日本に残って今度はブランディたちと合流したわけです。

アリス作「Blue Nile」からは、このラインナップにサックス奏者のラヴィ・コルトレーンが加わります。巨星ジョン・コルトレーンとアリスの間に生まれたサラブレッドであり、フライング・ロータスのいとこ。敬愛するアリスの息子と一緒にプレイすることは、ブランディにとっても大変な喜びでしょう。ラヴィの逞しい吹奏と、アルペジオを多用したブランディのハープ・プレイが触発しあうように曲を盛り上げていきます。さらにスタンリー・カウエル作「Effi」(ミュージック・インクやボビー・ハッチャーソンの演奏でご存知の方も少なくないと思います)では、ブランディの友人である日本在住のサックス奏者レイモンド・マクモーリンも合流。絡み合う3本の管楽器に、さまざまな和音でバックをつけるブランディのニュアンスに富んだ爪弾きにも聴きほれました。後半では「Essence of Ruby」や「Respected Destroyer」といった自作曲もじっくりと披露、コンポーザーとしての才能にもただならぬものを感じさせました。

まだまだ物珍しい「ハープで演奏されるジャズ」ですが、ブランディのパフォーマンスに接すれば、「この楽器ってこんなにジャズにぴったり合うのか」と、誰もが認識を新たにすることでしょう。公演は本日も開催されます。
(原田 2017 6.29)


Photo by cherry chill will

SET LIST

2017 6.28 WED.
1st
1. RAMA RAMA
2. GAMES
3. BLUE NILE
4. AWARENESS
5. EFFI
6. SOUL VIBRATIONS
7. ESSENCE OF RUBY
EC. WAX AND WANE
 
2nd
1. RAMA RAMA
2. GAMES
3. BLUE NILE
4. AWARENESS
5. EFFI
6. SOUL VIBRATIONS
7. ESSENCE OF RUBY
8. RESPECTED DESTROYER
EC. WAX AND WANE

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