2017 7.15 sat., 7.16 sun.
The EXP Series #12 / THE FUNKY KNUCKLES
artist CALEB McCAMPBELL , THE FUNKY KNUCKLES
原田和典のBloggin' BLUE NOTE TOKYO
スナーキー・パピーの盟友バンド(といっていいでしょう)、ザ・ファンキー・ナックルズの来日公演が始まりました。ナックルには"げんこつ"という意味がありますが、たしかに彼らのステージは音のパンチが降り注ぐかのようです。しかしそれは痛みの代わりに快感を伴う、ファンキーでありながら、ドラマティックでもあり、ジャズの豊かな伝統も感じさせると同時に、交響楽(シンフォニー)的でもあるという超ワイドレンジな音のパンチです。ザ・ファンキー・ナックルズの6人は、愛のこもったグルーヴたっぷりのサウンドで、聴き手をノックアウトするのです。
グループは2010年、テキサス州ダラスで結成されました。その2年後にスナーキー・パピーのマイケル・リーグのレーベル"グラウンドアップ"からアルバム・デビュー、第2作『Meta-Musica』がiTunesジャズ・アルバム・チャートの1位になったことで一気に名を広めました。全メンバー中、最も日本のファンになじみ深いのはキーボードのケレブ・マッキャンベルでしょうか。この春にもスタンリー・クラークのバンドで来日したばかりの才人です。そのときはステージ上手側で、どちらかというスタンリーの長大なベース・ソロのサポートにまわっていましたが、今回は下手側に位置し、これでもかと複数のキーボードを駆使します。ケレブはまた、ユーモアたっぷりのMCも担当し、場内の盛り上がりに大きく貢献していました。
ケレブは「ぼくらの演奏はだいたい1曲15分ぐらいかかるんだ」と語ります。たしかに1曲は長めで、その中に様々なムードやテンポの変化が盛り込まれている感じです。どの曲も、乗りの良さと徹底した構成力が共存していますが(あれほど細かな"キメ"を含むアンサンブルを、まったく譜面を使わず軽々とプレイしていたのも衝撃的でした。暗譜しているのでしょう)。ぼくが「うわぁ!」と心の中で感嘆の声をあげたのは「Wise Willis」と「Me Too」のメドレーです。まずはセドリック・ムーアが図太い音色でドラム・ソロを演じ、つづいてケレブがパイプ・オルガン風の音色でイントロを奏でます。続いてトランペットのイヴァン・ワイスとテナー・サックスのベン・ボルケスが"これが4ビートで演奏されていたら、ベニー・ゴルソンの曲と間違えるひともいるのではないかな"といいたくなるような哀調を帯びたメロディを、ファンキーなリズムに乗せて吹きます。その後ベンのアドリブ・ソロに入りますが、いつしかギターのフィル・アロニーが別のモチーフを導き出して、シャッフル・リズム風の展開に。2ホーンが再び参加して少ししてからリズム隊が急に静かになり、Jポップでいうところの"落ちサビ"のような流れになりますが、それもつかの間、ケレブ~セドリック~ベースのウェス・スティーブンソンが一体となってワルツ・リズムを打ち出し、そのうえでトランペットとサックスがモード・ジャズ風のメロディを奏するとテンポは急上昇、フィルがアーミングを用いながらハード・ロックのギタリストばりに弾きまくります。かと思えば今度はケレブがヴォコーダーを使ってスキャットを熱唱し、ラストは全員一丸となって大音量で爆走、ここしかないというタイミングで最後の一音を、見事に決めました。
この初来日公演で、ザ・ファンキー・ナックルズは何倍もファン層を広げることでしょう。スナーキー・パピーとの対バンもぜひ見てみたいものです。公演は本日も開催されます。
(原田 2017 7.16)
Photo by Takuo Sato
2017 7.15 SAT.
1st | |
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1. | KYLE’S DANCE |
2. | MOORISH |
3. | WISE WILLIS |
4. | ME TOO |
5. | MICRO CLOWN |
6. | CAPT. SANDALS |
7. | NEW BIRTH |
EC. | YO, THIS IS THE KNUCKS |
2nd | |
1. | MYSTERY SONG |
2. | RAIN JOURNEY |
3. | 16 BARS |
4. | SHIELD OF FAITH |
5. | ARISE |
6. | DANG IT’S HOT |
EC. | NEW BIRTH |